App StoreやSiri対応の実力とは
第4世代「Apple TV」レビュー。「テレビの未来はアプリ」は本当か?
■HDMI CECを初めて採用。電源やボリューム連動が可能に
さて、第3世代Apple TVからの変更点で、地味ながら使い勝手の向上に大きく寄与するのがHDMI CECの採用だ。AVファンなら「いまさらHDMI CECって…」と思うかもしれないが、実は第3世代までのApple TVは、HDMI CECに対応していなかったのだ。
HDMI CECの「CEC」は「Consumer Electronics Control」の略称で、つまりはHDMIケーブルを使って、機器間制御を行うための規格。たとえばBDレコーダーを立ち上げるとテレビの電源が自動的に入り、入力が切り替わるといったことは、AVファンならずとも日常的に体験しているだろう。この一連の動作にHDMI CECが使われている。
HDMI CECは最近できた規格などではなく、10年近く前から存在しているものだ。この規格を使って、自社機器同士のリンクを強化し、ユーザーの囲い込みをねらうような動きも、かつては積極的に行われていた。
第4世代Apple TVはこのHDMI CECに対応したことで、Apple TVの電源を入れるとテレビの電源も連動してONになり、音量調整もHDMIを介して行えるようになった。今回のテストではApple TVをAVアンプに接続したが、AVアンプ側でHDMI CEC信号をパススルーしてテレビに送るため、Apple TVの電源ON → AVアンプとテレビが自動電源ON、という操作が可能になった。スリープ時にも同様に、テレビとAVアンプの電源が連動してOFFになる。
HDMI CECに対応したことで大変便利になったが、歴代Apple TVのユーザーからすると「どうしてもっと早く対応してくれなかったのか」と嘆きたくもなる。これまでAVアンプの電源を入れてセレクターを動かし、同時にテレビの電源も入れて入力を切り替え、その上でApple TVの電源をONにし…とやっていた時間を返して欲しい。というのは冗談にしても、それだけこの地味な進化は、実使用時の快適さを高めている。
■4Kには非対応。理由はいくらでも思いつくが…
第4世代Apple TVは、プロセッサーに64ビットのA8チップを搭載している。これはiPhone 6と同じもので、A9やA9Xなどアップルの最新チップと比べると旧世代だが、第3世代機がA5を搭載していたことを思えば、かなりパワーアップしたといえる。
実際に表示はとてもスムーズで、全体的な操作感はキビキビしている。どのアプリを使っても、待たされる感覚はほとんどない。
そのほかの仕様は、HDMIはバージョン1.4。Wi-FiはIEEE 802.11acに対応している。イーサネットは10/100BASE-T対応。Bluetoothは 4.0に対応している。
一方、AVファンにとっては残念な仕様もある。第4世代Apple TVは4Kには非対応で、フルHDまでの対応となっているのだ。米国でも日本でも、大型のテレビは4Kが主流となっているこの時代に、不可解な選択と言わざるを得ない。