[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第155回】今年もやります!「春のヘッドフォン祭2016」高橋敦の個人的ベスト5
■もちろん今回もやります! 高橋敦の“超”個人的目線で振り返る「春のヘッドフォン祭2016」
今回も行ってきました「春のヘッドフォン祭2016」! 例によって、本連載でも僕の個人的な注目ポイントを「超個人的ベスト5」として挙げさせていただこう。日程が東京電気通信大学声優文化研究会「三澤紗千香・水瀬いのりトークショー」等と重なっていたので参加できなかった方も多いと思う。例によって、掲載されている編集部による膨大なレポートと共に参考にしていただければと思う(ちなみに前回のベスト5はこちら)。
【第5位】出るかな?出るよね? ……だった「DA-150」が出た!
LUXMANのブースには、USB-DAC/ヘッドホンアンプ新モデル「DA-150」が展示されていた。
実はこちら、僕がその登場を期待していたモデル。先立ってひとまわり大型のモデルが「DA-200」から「DA-250」にアップデートされており、そちらの印象が実によかった。とはいえデスクトップには大きすぎるので、小型モデルも「DA-100」から「DA-150」にアップデートするはずと期待していたのだ。
その「DA-250」とも共通だが、この「DA-150」の特長のひとつは同社独自の電子制御音量調節アッテネーター「LECUA」をヘッドホンアンプ部分に採用していること。理屈は省略するがこれ、特に小音量時の音質や精度が高く、左右の誤差も極めて少ない。小音量領域の繊細な音量調整能力は、ヘッドホンリスニングでこそむしろ大きな力を発揮する。ヘッドホンアンプへの搭載は大歓迎だ。
【第4位】女神の吐息を耳元で…Goddess Bless You
もはやおなじみ、テーラーメイドブランドJust earからは、設立一周年記念の限定モデル「Goddess Bless You」が出展されていた。「女神の吐息を耳元で感じたい。そんな想いでチューニングを行いました」とのこと。
何しろチューニングのリファレンス曲に、花澤香菜さん「こきゅうとす」、悠木碧さん「SWEET HOME」といった曲が含まれていたらしいので、僕のようなタイプを狙い打ったモデルと言える。「あっぱれさんま大先生」好きの方にもおすすめと言えるだろう。お客様! お客様の中に日高里菜さんをソロデビューさせたいレコード会社の方はおられませんか!?
さて、吐息、特に女性のそれは非常に繊細だ。闇雲に明確に出すだけでは、「優しく包み込むような吐息」のはずのところで刺さりが強く出てしまったり、ではそこをソフトにほぐしておけばよいかというとすると今度は「踏み出すような決意の吐息」の勢いを表現できなくなったりする。出したい出すべき音と出すべきではない音。その高度な見極め、バランス感覚と調整技術が求められるのだ。
開発担当の松尾氏の場合、前者「出したい出すべき音」の要素は女神への情熱によって余裕でクリアだろう。しかし松尾氏の特異性は後者以降「出すべきではない音。その高度な見極め、バランス感覚」の方にこそあるようにも思える。ソニーという大企業で広く一般の音楽ファンに向けた製品を設計してきたという経験。そこで得た知見は少なくないはずだ。
松尾氏がテーラーメイドを構想した理由のひとつは「広く一般に向けた製品だと音作りで攻めきれない部分があるが、個人個人に特化すればもっと攻められる」という思いだったという。しかしその「広く一般に向けた音作り」の経験がいま「個人個人に特化した音作り」においても松尾氏の大きな武器になっている。その経験は多くのCIEM製作者がいまから望んでも得られない、特異性だ。
その特異性を得られたのは偶然といえば偶然。だがその偶然も松尾氏ご自身のルート選択があってこそ。現在が何度目のループなのかはわからないが、今回のRe: 松尾氏はハッピーエンドに向かっている予感がする。
今回も行ってきました「春のヘッドフォン祭2016」! 例によって、本連載でも僕の個人的な注目ポイントを「超個人的ベスト5」として挙げさせていただこう。日程が東京電気通信大学声優文化研究会「三澤紗千香・水瀬いのりトークショー」等と重なっていたので参加できなかった方も多いと思う。例によって、掲載されている編集部による膨大なレポートと共に参考にしていただければと思う(ちなみに前回のベスト5はこちら)。
【第5位】出るかな?出るよね? ……だった「DA-150」が出た!
LUXMANのブースには、USB-DAC/ヘッドホンアンプ新モデル「DA-150」が展示されていた。
実はこちら、僕がその登場を期待していたモデル。先立ってひとまわり大型のモデルが「DA-200」から「DA-250」にアップデートされており、そちらの印象が実によかった。とはいえデスクトップには大きすぎるので、小型モデルも「DA-100」から「DA-150」にアップデートするはずと期待していたのだ。
その「DA-250」とも共通だが、この「DA-150」の特長のひとつは同社独自の電子制御音量調節アッテネーター「LECUA」をヘッドホンアンプ部分に採用していること。理屈は省略するがこれ、特に小音量時の音質や精度が高く、左右の誤差も極めて少ない。小音量領域の繊細な音量調整能力は、ヘッドホンリスニングでこそむしろ大きな力を発揮する。ヘッドホンアンプへの搭載は大歓迎だ。
【第4位】女神の吐息を耳元で…Goddess Bless You
もはやおなじみ、テーラーメイドブランドJust earからは、設立一周年記念の限定モデル「Goddess Bless You」が出展されていた。「女神の吐息を耳元で感じたい。そんな想いでチューニングを行いました」とのこと。
何しろチューニングのリファレンス曲に、花澤香菜さん「こきゅうとす」、悠木碧さん「SWEET HOME」といった曲が含まれていたらしいので、僕のようなタイプを狙い打ったモデルと言える。「あっぱれさんま大先生」好きの方にもおすすめと言えるだろう。お客様! お客様の中に日高里菜さんをソロデビューさせたいレコード会社の方はおられませんか!?
さて、吐息、特に女性のそれは非常に繊細だ。闇雲に明確に出すだけでは、「優しく包み込むような吐息」のはずのところで刺さりが強く出てしまったり、ではそこをソフトにほぐしておけばよいかというとすると今度は「踏み出すような決意の吐息」の勢いを表現できなくなったりする。出したい出すべき音と出すべきではない音。その高度な見極め、バランス感覚と調整技術が求められるのだ。
開発担当の松尾氏の場合、前者「出したい出すべき音」の要素は女神への情熱によって余裕でクリアだろう。しかし松尾氏の特異性は後者以降「出すべきではない音。その高度な見極め、バランス感覚」の方にこそあるようにも思える。ソニーという大企業で広く一般の音楽ファンに向けた製品を設計してきたという経験。そこで得た知見は少なくないはずだ。
松尾氏がテーラーメイドを構想した理由のひとつは「広く一般に向けた製品だと音作りで攻めきれない部分があるが、個人個人に特化すればもっと攻められる」という思いだったという。しかしその「広く一般に向けた音作り」の経験がいま「個人個人に特化した音作り」においても松尾氏の大きな武器になっている。その経験は多くのCIEM製作者がいまから望んでも得られない、特異性だ。
その特異性を得られたのは偶然といえば偶然。だがその偶然も松尾氏ご自身のルート選択があってこそ。現在が何度目のループなのかはわからないが、今回のRe: 松尾氏はハッピーエンドに向かっている予感がする。
次ページ第3位は、こいつ…ただのユニバーサルじゃないぞ!?なあのイヤホン