公開日 2015/02/17 11:52
いよいよ 3/1開局「スカパー! 4K」の魅力は“スカパーっぽさ”。スポーツを4K/60p生中継
REGZAで4K録画も可能に
本日2月17日より、東芝のレグザZ10Xシリーズがアップデートによって4K放送の録画に対応した。Z10Xは4K放送を内蔵チューナーで受信・視聴できるテレビとして、現在のところ国内唯一の製品で、4K放送録画対応機器としても、シャープの外付けレコーダー「TU-UD1000」に次いで2モデル目。来る3月1日には、世界初の4K商用放送「スカパー!4K総合」の開始も控えており、本格的な4K放送時代の到来を見据えたアップデートと言える。
今回、レグザZ10Xの4K放送録画対応、そして「スカパー!4K」放送の狙いについて、東芝でREGZAシリーズの商品企画を担当する本村裕史氏と、スカパー!でサービス開発を担当している今井豊氏に話を訊いた。
■4Kでも録画・再生の使い勝手は2K同様
レグザZ10Xにとって、4K放送録画がどのよう行えるかを最初に説明していこう。
まず、「スカパー!4K」は、「スカパー!4K 映画」(Ch.595)と「スカパー!4K 総合」(Ch.596)から編成される専門チャンネル。「スカパー!4K 総合」は「スカパー!プレミアムサービス」の加入があれば無料で視聴でき、「スカパー!4K 映画」については作品毎に課金するPPVで提供される。
録画は、一般的には外付けのスカパー!チューナーが必須。だが、東芝のレグザZ10Xシリーズは対応チューナーを内蔵するため、すでに放送開始している「Channel 4K」も、3月に開始予定の「スカパー!4K 映画」「スカパー!4K 総合」もそのまま視聴できる。
4K放送の録画・再生方法は「通常の2Kの番組を録画するのと同じ操作手順で録画できますし、再生も2Kと同じ操作感です」(本村氏)という。
番組表から放送を選んで録画予約もできるし、HDD上に録画した番組も今までの地デジやBS/CSの番組とも区別されない。録画はDRモードで行われ、「Channel 4K」の場合は3,840×2,160/60pのHEVCでビットレートが35Mbpsのため、1TBのHDDで53時間の録画に相当する計算だ。
2Kでの録画コンテンツとの違いとして、録画リスト上でプレビュー再生が行われない点があるが、それ以外は全く同じ。現行のレグザユーザーなら、「スカパー!4K」を録画したコンテンツであることを特に意識せず操作できる。「4Kを特別扱いしない」というのは、筆者のようにすでに日常的に4K放送を視聴しつつも、フルHDのテレビ放送も観るようなユーザーにとって、実に使いやすい形となっている。
ただし録画については「放送サイド、つまりスカパー!さんでコピー禁止のフラグを立てて運用なさっているコンテンツに関しては録画できません」(本村氏)とのこと。このあたりは現行の有料放送の運用ルール通りだ。
なお、本インタビューとは別で筆者が取材したところ、「スカパー!4K 総合」についてはコピーワンスで録画に対応、「スカパー!4K 映画」については原則としてPPV(ペイ・パー・ビュー)で放送されるため、録画禁止の扱いになるようだ。こういった有料チャンネルの録画の運用ルールは、現行の「スカパー!プレミアムサービス」を踏襲したものと言える。
■“スカパー!っぽい番組を”編成する「スカパー!4K総合」
世界初の商用4K放送として2つのチャンネルを立ち上げることになるスカパー!が放送開始に賭ける想いも大きい。
「我々も参加している『Channel 4K』は、4K自体のプロモーションという位置づけで、コンテンツは各社が4Kを持ち寄ることが前提です。そのため、2Kコンテンツと同じように番組としてのエンターテイメント性を重視しているのか、技術的な部分で実験的に見せようとしているのか、制作元によってバラバラなのです」(今井氏)。
「一方、スカパー!4K 総合では、テレビとしてエンターテイメントになるものを作ろうという姿勢で考えていまして、弊社のスカチャンやBSスカパー!で放送している音楽ライブやスポーツなど“スカパー!の番組っぽく見えるもの”を放送していきます」。
スカパー!4Kで提供される番組についてはすでに発表されている情報(関連ニュース)を参照してほしいが、いかにも4Kのテスト放送というものだけでなくスポーツ、ドキュメンタリー、音楽と多岐に渡る。
さて、4Kコンテンツを提供するにはVODという方法もあるわけだが、テレビ放送がVODと決定的に異なるのは、生中継も行うことだ。
例えば、スカパー!らしいコンテンツとしては、Jリーグがある。3月7日には「サッカー『2015明治安田生命J1リーグ1stステージ第1節ガンバ大阪×FC東京』」(3月7日/土13:50〜)を放送し、4Kのクオリティで生中継を敢行。それも1回限りではなく毎週1試合、4Kで生中継を予定している。4Kの商用放送が世界初であれば、4Kクオリティでライブ生中継を手がけるのも世界初だ。
「4Kによる画質の検証は2011年から行ってきたのですが、4K/60pの解像度でサッカーを見ると長手側、いわゆる引きの画で映しても選手の表情まで映るようになるので、ピッチ上のコミュニケーションもわかります。今までのHDのサッカー中継というのは、比較的寄って顔を見せていたのですが、4Kではボールの動きと選手一人一人が見えることでサッカーの見え方も違ってきます」と、今井氏も4K収録によるスポーツも新しい楽しみ方が広がることに期待している。この他にもスカパー!では音楽ライブについても生中継を予定している。
また、『電流爆破デスマッチ!大仁田厚vs燻R善廣初代爆破王者決定戦』(初回放送日:3月8日(日)14:30〜)も異色だ。
「4K/60pで撮った格闘技というのは、世界中にもまだないんです。選手同士の距離感、立体感というのが、インターレースの情報では出せないと思っています。4K/60p映像での室内の臨場感が出せることは、過去に収録した熊川哲也さんのバレエの4K映像でも現れていたので、新しい良さが出てくると思っています」(今井氏)
■実験的な4K映像ではなくエンタメとしての4Kチャンネルという意義
試験放送であるChannel 4Kでは、4Kの良さが伝わりやすいコンテンツとして自然の景色が繰り返し放送されているが、いくら映像が美しくても視聴者は自然番組ばかりを観るわけではない。
取材を通して今井氏が繰り返し話していたのは、4Kであっても試験的なコンテンツではなく、音楽ファン、スポーツファンに届く、エンターテイメントとしてのチャンネルを編成するということ。4K放送は商用チャンネルを編成することで、その中身で勝負する段階に進んだと言える。
取材に同席していた東芝の本村氏も「画質をアピールしやすいコンテンツとして、店頭デモでは風景などの、いわゆる“花鳥風月もの”をご覧いただいています。しかし、お客様はいつも花鳥風月を見たいわけでなく、やっぱりスポーツであったり、ライブであったり、バラエティであったりと、放送そのものを楽しみたいですよね。そういう意味で、TVセットメーカーとしてはスカパー!4K総合の放送を非常に楽しみにしています」と期待を語る。
筆者自身、レグザZ10Xを購入して自宅でChannel 4Kをよく観ているのだが、リピート放送の多さと、録画できない不自由さを感じていた。レグザZ10Xの4K放送録画対応のバージョンアップと3月1日の「スカパー!4K」の開局に向けて、本格的に4K放送の視聴・録画態勢を整えて臨むこととしたいと考えている。
今回、レグザZ10Xの4K放送録画対応、そして「スカパー!4K」放送の狙いについて、東芝でREGZAシリーズの商品企画を担当する本村裕史氏と、スカパー!でサービス開発を担当している今井豊氏に話を訊いた。
■4Kでも録画・再生の使い勝手は2K同様
レグザZ10Xにとって、4K放送録画がどのよう行えるかを最初に説明していこう。
まず、「スカパー!4K」は、「スカパー!4K 映画」(Ch.595)と「スカパー!4K 総合」(Ch.596)から編成される専門チャンネル。「スカパー!4K 総合」は「スカパー!プレミアムサービス」の加入があれば無料で視聴でき、「スカパー!4K 映画」については作品毎に課金するPPVで提供される。
録画は、一般的には外付けのスカパー!チューナーが必須。だが、東芝のレグザZ10Xシリーズは対応チューナーを内蔵するため、すでに放送開始している「Channel 4K」も、3月に開始予定の「スカパー!4K 映画」「スカパー!4K 総合」もそのまま視聴できる。
4K放送の録画・再生方法は「通常の2Kの番組を録画するのと同じ操作手順で録画できますし、再生も2Kと同じ操作感です」(本村氏)という。
番組表から放送を選んで録画予約もできるし、HDD上に録画した番組も今までの地デジやBS/CSの番組とも区別されない。録画はDRモードで行われ、「Channel 4K」の場合は3,840×2,160/60pのHEVCでビットレートが35Mbpsのため、1TBのHDDで53時間の録画に相当する計算だ。
2Kでの録画コンテンツとの違いとして、録画リスト上でプレビュー再生が行われない点があるが、それ以外は全く同じ。現行のレグザユーザーなら、「スカパー!4K」を録画したコンテンツであることを特に意識せず操作できる。「4Kを特別扱いしない」というのは、筆者のようにすでに日常的に4K放送を視聴しつつも、フルHDのテレビ放送も観るようなユーザーにとって、実に使いやすい形となっている。
ただし録画については「放送サイド、つまりスカパー!さんでコピー禁止のフラグを立てて運用なさっているコンテンツに関しては録画できません」(本村氏)とのこと。このあたりは現行の有料放送の運用ルール通りだ。
なお、本インタビューとは別で筆者が取材したところ、「スカパー!4K 総合」についてはコピーワンスで録画に対応、「スカパー!4K 映画」については原則としてPPV(ペイ・パー・ビュー)で放送されるため、録画禁止の扱いになるようだ。こういった有料チャンネルの録画の運用ルールは、現行の「スカパー!プレミアムサービス」を踏襲したものと言える。
■“スカパー!っぽい番組を”編成する「スカパー!4K総合」
世界初の商用4K放送として2つのチャンネルを立ち上げることになるスカパー!が放送開始に賭ける想いも大きい。
「我々も参加している『Channel 4K』は、4K自体のプロモーションという位置づけで、コンテンツは各社が4Kを持ち寄ることが前提です。そのため、2Kコンテンツと同じように番組としてのエンターテイメント性を重視しているのか、技術的な部分で実験的に見せようとしているのか、制作元によってバラバラなのです」(今井氏)。
「一方、スカパー!4K 総合では、テレビとしてエンターテイメントになるものを作ろうという姿勢で考えていまして、弊社のスカチャンやBSスカパー!で放送している音楽ライブやスポーツなど“スカパー!の番組っぽく見えるもの”を放送していきます」。
スカパー!4Kで提供される番組についてはすでに発表されている情報(関連ニュース)を参照してほしいが、いかにも4Kのテスト放送というものだけでなくスポーツ、ドキュメンタリー、音楽と多岐に渡る。
さて、4Kコンテンツを提供するにはVODという方法もあるわけだが、テレビ放送がVODと決定的に異なるのは、生中継も行うことだ。
例えば、スカパー!らしいコンテンツとしては、Jリーグがある。3月7日には「サッカー『2015明治安田生命J1リーグ1stステージ第1節ガンバ大阪×FC東京』」(3月7日/土13:50〜)を放送し、4Kのクオリティで生中継を敢行。それも1回限りではなく毎週1試合、4Kで生中継を予定している。4Kの商用放送が世界初であれば、4Kクオリティでライブ生中継を手がけるのも世界初だ。
「4Kによる画質の検証は2011年から行ってきたのですが、4K/60pの解像度でサッカーを見ると長手側、いわゆる引きの画で映しても選手の表情まで映るようになるので、ピッチ上のコミュニケーションもわかります。今までのHDのサッカー中継というのは、比較的寄って顔を見せていたのですが、4Kではボールの動きと選手一人一人が見えることでサッカーの見え方も違ってきます」と、今井氏も4K収録によるスポーツも新しい楽しみ方が広がることに期待している。この他にもスカパー!では音楽ライブについても生中継を予定している。
また、『電流爆破デスマッチ!大仁田厚vs燻R善廣初代爆破王者決定戦』(初回放送日:3月8日(日)14:30〜)も異色だ。
「4K/60pで撮った格闘技というのは、世界中にもまだないんです。選手同士の距離感、立体感というのが、インターレースの情報では出せないと思っています。4K/60p映像での室内の臨場感が出せることは、過去に収録した熊川哲也さんのバレエの4K映像でも現れていたので、新しい良さが出てくると思っています」(今井氏)
■実験的な4K映像ではなくエンタメとしての4Kチャンネルという意義
試験放送であるChannel 4Kでは、4Kの良さが伝わりやすいコンテンツとして自然の景色が繰り返し放送されているが、いくら映像が美しくても視聴者は自然番組ばかりを観るわけではない。
取材を通して今井氏が繰り返し話していたのは、4Kであっても試験的なコンテンツではなく、音楽ファン、スポーツファンに届く、エンターテイメントとしてのチャンネルを編成するということ。4K放送は商用チャンネルを編成することで、その中身で勝負する段階に進んだと言える。
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