• ブランド
    特設サイト
公開日 2017/03/14 19:45

アナログターンテーブルブランド「ウェルテンパード」の“独創性”とは? ― フランク・デンソン氏に訊く

物理学者が生み出した「ユニーク」
井上千岳
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
■物理学者による斬新な発送と緻密な構想

ウェルテンパードは大変ユニークな構成のプレーヤーで、また音質も非常に素晴らしいが、いまひとつオーディオファンの間でよく理解されているようではないのが残念である。ちょうど生産を担当するフランク・デンソン氏にお話を伺ったこともあるので、それも交えて掘り下げてみることにしたい。

昨年秋の東京インターナショナルオーディオショウの開催に合わせて来日したWell Tempered Lab.のFrank Denson氏(左)と同氏の会社であるDENCO AUDIOのMike Thomson氏(右)。この両氏が現在のウェルテンパードのキーマンとなる

ウェルテンパードはウィリアム・ファイアバー(William Firebaugh)という人物が創始したブランドと、一応は言うことができる。「一応」というのは同氏がウェルテンパード・ラボを設立したのではないからで、氏のアイデアに基づいて現在ではニュージーランドで製造が行われている。その工房を主宰するのが、フランク・デンソン氏というわけである。

ファイアバー氏は物理学者で、長年航空関係の研究に携わってきた。アメリカ人だが、1986〜87年ごろ日本に滞在していたことがある。実はそのとき、私はファイアバー氏に会ったことがあるそうなのだ。まだいまのような仕事を始める前で、場所も何のために行ったのかも忘れたが、言われてみれば確かに覚えている。物静かな人物で、静電型のスピーカーを非常に小さな音で鳴らしていたのが印象的であった。当時提唱され始めていた音場型の再生法である。あれがファイアバー氏であったかといまにして思うのだが、肝心なことは全て忘れてしまった。

それはともかくファイアバー氏の斬新な発想と緻密な構想に基づいて、1988年ごろアメリカのトランスペアレント社で生産されたことが、ウェル・テンパードの始まりである。その当時、デンソン氏は自身が経営するDenco Audioというニュージーランドの会社でウェル・テンパードの取り扱いを開始した。とはいえ、当時はニュージーランドの輸入規制の問題もあり、完成品ではなくキットの形で輸入していたのだという。

その後、2003年にはトランスペアレントからスタナノグ・オーディオに生産および販売が移ることとなった。スタナノグ・オーディオは、その販売を米国内に限定したこともあり、その後しばらくウェル・テンパードは、アメリカ国内のみでのブランドとなった。

少々複雑な経緯を辿ったウェルテンパードの歴史を話すデンソン氏。現在のウェルテンパードは、歴史を知るデンソン氏の下で生産されている

ふたたび世界へとその製品が流通するようになったのは、2007年にデンソン氏がニュージーランドにてウェルテンパードを立ち上げてからのことで、以来デンソン氏の下で製造が行われるようになった。

比較的早い時期から取り扱いが行われていながら、我が国での認知度がいまひとつなのは、こういう事情にもよるのかもしれない。

次ページウェルテンパードの代名詞、ピボットを持たないトーンアーム

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 ビックカメラ、「ブラックフライデー」セールを11/16より開始。ECサイトでは11/15 22時より先行販売スタート
2 USB-Cで何ができる?!iPhoneユーザーなら知っておきたい「できること」総ざらい
3 可愛すぎる、でも本格派のCDプレーヤー。Shanling「EC Smart」で始めるデスクトップCDオーディオのススメ
4 【ミニレビュー】グランプリ受賞の実力、フルテックの電源ケーブル「Origin Power NCF(G)」
5 【速報】「オーディオ銘機賞2025」受賞モデルを一挙公開!「金賞」「特別大賞」ほか「ネットオーディオ大賞」も新設
6 <ヘッドフォン祭>DAP市場震撼? FIIOから超コスパ機「JM21」。ブランド初のフルサイズストリーマー「S15」も
7 「Nintendo Music」速攻レビュー。何が聴ける?使い勝手は?さっそく使ってみた
8 耳を塞がない “軟骨伝導” の音質が大幅アップ!オーディオテクニカ「ATH-CC500BT2」をシーン別にチェック
9 「VAIO」をノジマが子会社化
10 初めてのスクリーンなら シアターハウス「WCBシリーズ」が推し!高コスパで“王道シアター”
11/12 10:19 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX