公開日 2018/07/23 10:00
CHORD、DAC「Hugo TT 2」とパワーアンプ「Etude」を今秋発売。単体アップサンプラーも初披露
開発者が詳細を解説
タイムロードは、同社が取り扱うCHORDの新製品内覧会を開催。今年5月に開催されたHIGH END 2018 MUNICHで発表されたステレオ・パワーアンプ「Etude」とDAC/プリ・ヘッドホンアンプ「Hugo TT 2」を国内初披露した。
・「Etude」予価70万円前後 2018年秋発売予定
・「Hugo TT 2」予価70万円前後 2018年秋発売予定
またサプライズとして、旗艦CDトランスポート「Blu MKII」に搭載されたアップサンプラーを単体コンポーネント化した「Hugo M scaler」を披露した。本機については発売時期や価格は未定とのこと。
発表会にはCHORD Electronicsの創立者でありCEOであるジョン・フランクス氏、DAC開発を一手に手がけるロバート・ワッツ氏らが登場。製品の詳細について説明を行った。
■DAVEに最適化されたパワーアンプ「Etude」
Etudeは、D/Aコンバーター「DAVE」と同じ “Coralシリーズ” にラインナップされたステレオ・パワーアンプ。DAVEが搭載する高性能なプリアンプ機能を最大限活かすことを念頭に開発されたという。従ってDAVEをDAC+プリ、Etudeをパワーアンプとして組み合わせることが想定されている。
ベースとなる筐体サイズはDAVEと同じとコンパクトで、質量も約3kgしかないが、AB級のアナログアンプであり、出力150W/ch(4Ω)、ダンピングファクター5,000という高い駆動力を誇る。本機を2台用いたブリッジ接続にも対応、モノラルパワーアンプとしても使用できる。ブリッジ接続時の出力は300W/ch(8Ω)。
Etudeという名前はフランス語で「練習曲」「勉強」「学び」を表す言葉。DAVEが与えてくれた気づき・学びを具現化するべく開発されたことから、この名前が付けられたという。
CHORDのアンプとして初めて採用されたという「フィードフォワード回路」を搭載したことが大きな特徴。
フィードフォワード回路は1980年代にRobert Cordell氏が考案。ネガティブフィードバック(負帰還)が起こった事象の結果を受けてから補正を行うのに対し、フィードフォワードは入力信号を監視して回路上に起こりうるエラーを予め予測し、エラーの起こった信号に対して逆相を合成することで最終的に理想的な特性を獲得できるとする手法だ。
Etudeでは、Cordell氏の考案した回路設計をベースに、片チャンネルあたり4つのネガティブフィードバックと2つのフィードフォワードを実装することで、従来比10倍という超高速スルーレートを実現したという。これにより、DAVEの備える驚異的な過渡特性と低歪み、高S/Nをストレートに増幅できるという。また、Etudeの優れた過渡特性を示す具体例として、100kHzの矩形波を完全再現できると紹介された。
増幅素子には本機専用にカスタムされたMOS FETをチャンネルあたり8基使用している。また、電源部には同社が設立当初から手がけてきた高効率なスイッチング電源を採用する。
コンパクトながらアナログアンプによる大出力を実現するために、航空機のブラックボックスで使用されるものを応用したというウルトラローノイズの小型冷却ファンを4基、本体に内蔵。ヒートシンクも兼ねる筐体と組み合わせることで、放熱対策も徹底している。
入力端子はXLRバランス×1、RCAアンバランス×1。出力はスピーカー端子を1系統備える。外形寸法は340W×150H×145Dmm。
■デスクトップ向けDACの第二世代「Hugo TT 2」
「Hugo TT 2」は、据え置き型のUSB-DAC/プリ・ヘッドホンアンプ。2015年に発売された「Hugo TT」の後継モデルとなる。「TT」は “Table Top” の意味で、デスクトップ用途を意識したコンパクトなモデルとなる。
もともとHugo TTは、同社のポータブルDAC/ヘッドホンアンプ「Hugo」を据え置き用途に発展させたモデルだった。
HugoからD/A変換部を継承していたHugo TTに対して、Hugo TT 2はD/A変換部を本機のために新規開発。現行モデル「Hugo 2」を上回る性能を備えたD/A変換部を搭載した。
CHORDのD/Aコンバーターは、FPGAに独自のWTAフィルターを構築し、ディスクリート構成のパルスアレイDACと組み合わせてD/A変換を行う独自DACを搭載していることが特徴だ。
Hugo TT 2のWTAフィルターのタップ長は98,304。従来のHugo TTの26,368タップから大幅な性能向上を果たした。またこのタップ長は、Hugo 2および「Qutest」の49,152タップを大きく上回り、フラグシップである「DAVE」の164,000に迫るものだ。
また、片chあたり10エレメントのパルスアレイDACを採用。これはQutestと同じ規模。ちなみにDAVEについては片chあたり20エレメントのパルスアレイDACを搭載している。まあ、12次のノイズシェイパーを採用。Hugo TT 2は「時間単位の分解能は81ナノ秒、-178dBまでノイズフロア変調がない」という性能を備えているとアピールされた。
電源部は、従来のHugo TTが搭載していたバッテリー電源をやめ、30ファラッド×6基のスーパーキャパシターによる電源部を搭載した。
USB入力は最大768kHz/32bit、DSD512に対応。他にも192kHz/24bit対応の光デジタル入力(2系統)、Hugo M Scalerなどから768kHz/24bitを入力できるデュアル同軸BNCデジタル入力を搭載。将来的なデュアル出力に対応する2系統のBNCデジタル出力も備える。aptX対応のBluetooth入力も内蔵している。
アナログ出力はバランスXLRとアンバランスRCAを1系統ずつ搭載。アナログ出力は、アンバランスRCA出力時で288mW RMS(300Ω)/7.3 RMS(8Ω)という高出力を誇るが、これは常により大きな出力を確保しつつ余裕を持って再生することで音質を高めるというCHORDの思想に沿ったものだという。
従来モデルにはなかったDACモード/プリモードの切替も用意。ボリューム固定出力も行える。ボリュームノブの位置は従来では筐体天面だったが、ラック内部に設置した際にもボリューム変更が行いやすいようにフロント前面に移された。筐体はアルミニウム削り出しによる高剛性シャーシを採用している。外形寸法は235W×46H×223Dmm。
■Blu MKIIのアップランプラーを単体モデル化した「Hugo M Scaler」
Hugo M Scalerは、同社の旗艦CDトランスポート「Blu MKII」(関連ニュース)で開発・採用されたアップサンプリング技術「WTA M Scaler」を単体コンポーネント化したものだ。FPGA上に構築されたM ScalerはBlu MK2とまったく同じもので、同様に1,015,808タップのフィルターによるアップサンプリングを行うことができる。
その名前が示すとおり、Hugo TT 2との組み合わせが想定されており筐体の幅と奥行きもHugo 2 TTと揃えられている。しかし、DAVE、Qutestなど同社のデュアルBNCデジタル入力を備えたDACとの組み合わせにも対応する。
本機はUSBや同軸/光などの各種デジタル入力を搭載。入力されたデジタル信号を最大768kHzにアップサンプリング、デュアル同軸端子を介してHugo 2 TTなどへ出力することができる。
上述のように今回Hugo M Scalerはサプライズで公開されたもので、現時点で発売時期や価格は未定。続報に期待したい。
・「Etude」予価70万円前後 2018年秋発売予定
・「Hugo TT 2」予価70万円前後 2018年秋発売予定
またサプライズとして、旗艦CDトランスポート「Blu MKII」に搭載されたアップサンプラーを単体コンポーネント化した「Hugo M scaler」を披露した。本機については発売時期や価格は未定とのこと。
発表会にはCHORD Electronicsの創立者でありCEOであるジョン・フランクス氏、DAC開発を一手に手がけるロバート・ワッツ氏らが登場。製品の詳細について説明を行った。
■DAVEに最適化されたパワーアンプ「Etude」
Etudeは、D/Aコンバーター「DAVE」と同じ “Coralシリーズ” にラインナップされたステレオ・パワーアンプ。DAVEが搭載する高性能なプリアンプ機能を最大限活かすことを念頭に開発されたという。従ってDAVEをDAC+プリ、Etudeをパワーアンプとして組み合わせることが想定されている。
ベースとなる筐体サイズはDAVEと同じとコンパクトで、質量も約3kgしかないが、AB級のアナログアンプであり、出力150W/ch(4Ω)、ダンピングファクター5,000という高い駆動力を誇る。本機を2台用いたブリッジ接続にも対応、モノラルパワーアンプとしても使用できる。ブリッジ接続時の出力は300W/ch(8Ω)。
Etudeという名前はフランス語で「練習曲」「勉強」「学び」を表す言葉。DAVEが与えてくれた気づき・学びを具現化するべく開発されたことから、この名前が付けられたという。
CHORDのアンプとして初めて採用されたという「フィードフォワード回路」を搭載したことが大きな特徴。
フィードフォワード回路は1980年代にRobert Cordell氏が考案。ネガティブフィードバック(負帰還)が起こった事象の結果を受けてから補正を行うのに対し、フィードフォワードは入力信号を監視して回路上に起こりうるエラーを予め予測し、エラーの起こった信号に対して逆相を合成することで最終的に理想的な特性を獲得できるとする手法だ。
Etudeでは、Cordell氏の考案した回路設計をベースに、片チャンネルあたり4つのネガティブフィードバックと2つのフィードフォワードを実装することで、従来比10倍という超高速スルーレートを実現したという。これにより、DAVEの備える驚異的な過渡特性と低歪み、高S/Nをストレートに増幅できるという。また、Etudeの優れた過渡特性を示す具体例として、100kHzの矩形波を完全再現できると紹介された。
増幅素子には本機専用にカスタムされたMOS FETをチャンネルあたり8基使用している。また、電源部には同社が設立当初から手がけてきた高効率なスイッチング電源を採用する。
コンパクトながらアナログアンプによる大出力を実現するために、航空機のブラックボックスで使用されるものを応用したというウルトラローノイズの小型冷却ファンを4基、本体に内蔵。ヒートシンクも兼ねる筐体と組み合わせることで、放熱対策も徹底している。
入力端子はXLRバランス×1、RCAアンバランス×1。出力はスピーカー端子を1系統備える。外形寸法は340W×150H×145Dmm。
■デスクトップ向けDACの第二世代「Hugo TT 2」
「Hugo TT 2」は、据え置き型のUSB-DAC/プリ・ヘッドホンアンプ。2015年に発売された「Hugo TT」の後継モデルとなる。「TT」は “Table Top” の意味で、デスクトップ用途を意識したコンパクトなモデルとなる。
もともとHugo TTは、同社のポータブルDAC/ヘッドホンアンプ「Hugo」を据え置き用途に発展させたモデルだった。
HugoからD/A変換部を継承していたHugo TTに対して、Hugo TT 2はD/A変換部を本機のために新規開発。現行モデル「Hugo 2」を上回る性能を備えたD/A変換部を搭載した。
CHORDのD/Aコンバーターは、FPGAに独自のWTAフィルターを構築し、ディスクリート構成のパルスアレイDACと組み合わせてD/A変換を行う独自DACを搭載していることが特徴だ。
Hugo TT 2のWTAフィルターのタップ長は98,304。従来のHugo TTの26,368タップから大幅な性能向上を果たした。またこのタップ長は、Hugo 2および「Qutest」の49,152タップを大きく上回り、フラグシップである「DAVE」の164,000に迫るものだ。
また、片chあたり10エレメントのパルスアレイDACを採用。これはQutestと同じ規模。ちなみにDAVEについては片chあたり20エレメントのパルスアレイDACを搭載している。まあ、12次のノイズシェイパーを採用。Hugo TT 2は「時間単位の分解能は81ナノ秒、-178dBまでノイズフロア変調がない」という性能を備えているとアピールされた。
電源部は、従来のHugo TTが搭載していたバッテリー電源をやめ、30ファラッド×6基のスーパーキャパシターによる電源部を搭載した。
USB入力は最大768kHz/32bit、DSD512に対応。他にも192kHz/24bit対応の光デジタル入力(2系統)、Hugo M Scalerなどから768kHz/24bitを入力できるデュアル同軸BNCデジタル入力を搭載。将来的なデュアル出力に対応する2系統のBNCデジタル出力も備える。aptX対応のBluetooth入力も内蔵している。
アナログ出力はバランスXLRとアンバランスRCAを1系統ずつ搭載。アナログ出力は、アンバランスRCA出力時で288mW RMS(300Ω)/7.3 RMS(8Ω)という高出力を誇るが、これは常により大きな出力を確保しつつ余裕を持って再生することで音質を高めるというCHORDの思想に沿ったものだという。
従来モデルにはなかったDACモード/プリモードの切替も用意。ボリューム固定出力も行える。ボリュームノブの位置は従来では筐体天面だったが、ラック内部に設置した際にもボリューム変更が行いやすいようにフロント前面に移された。筐体はアルミニウム削り出しによる高剛性シャーシを採用している。外形寸法は235W×46H×223Dmm。
■Blu MKIIのアップランプラーを単体モデル化した「Hugo M Scaler」
Hugo M Scalerは、同社の旗艦CDトランスポート「Blu MKII」(関連ニュース)で開発・採用されたアップサンプリング技術「WTA M Scaler」を単体コンポーネント化したものだ。FPGA上に構築されたM ScalerはBlu MK2とまったく同じもので、同様に1,015,808タップのフィルターによるアップサンプリングを行うことができる。
その名前が示すとおり、Hugo TT 2との組み合わせが想定されており筐体の幅と奥行きもHugo 2 TTと揃えられている。しかし、DAVE、Qutestなど同社のデュアルBNCデジタル入力を備えたDACとの組み合わせにも対応する。
本機はUSBや同軸/光などの各種デジタル入力を搭載。入力されたデジタル信号を最大768kHzにアップサンプリング、デュアル同軸端子を介してHugo 2 TTなどへ出力することができる。
上述のように今回Hugo M Scalerはサプライズで公開されたもので、現時点で発売時期や価格は未定。続報に期待したい。