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公開日 2006/10/02 16:20

テレビポータルサービス、「安心・簡単」がキーワードの「アクトビラ」を発表

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「acTVila」のロゴ
テレビポータルサービス(株)は、2007年2月1日より開始するデジタルテレビを対象としたテレビポータルサービス「アクトビラ(acTVila)」の発表会を本日行った。

同社は、シャープ(株)、ソニー(株)、ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(SCN)、(株)東芝、(株)日立製作所、松下電器産業(株)の6社が共同で設立した、ブロードバンド接続機能を持つデジタルテレビ向けに共通のテレビポータルサービスを提供する事業会社(関連ニュース)。発表会では、同社代表取締役社長の大野誠一氏が、本サービス立ち上げの背景と今後の展望を説明した。

大野誠一氏

同氏は、2003年の地上デジタルテレビ放送開始後薄型テレビ市場が大きく拡大しており、2010年には1,300万台超のマーケットになるだろうと指摘。また、ネット接続もアナログ電話回線から、イーサネットやTCP/IPを標準実装した双方向規格のブロードバンド環境が普及してきているとし、「2001年のBSデジタル放送の開始から、ネットテレビの時代が始まっている」と説明した。

このようにインフラが整備されテレビの基本性能も向上したことを受け、消費者の間では家電がネット対応することへの期待が高まっていることが、今回のサービスを支える土台になっているという。


テレビの性能の推移

インフラとハード性能の向上を指摘
2003年4月にシャープ、ソニー、東芝、日立、松下の家電メーカー5社によって設立された「デジタルテレビ情報化研究会」は、ブラウザなどデジタルテレビの通信(HTML)標準仕様の策定を行ってきた。また、同5社で2006年2月にDTVポータル検討ワーキンググループを結成。端末技術仕様や、ポータル事業形態の検討などを行っているという。この技術仕様は10月3日より開催されるCEATECにて展示される。

大野氏は、同社の果たすべき役割を「ユーザーおよびサービス事業者に対する『安心・安全』『簡単・便利』なサービス環境の提供」であると定義し、テレビポータルサービスの必要性を3つ挙げた。


本サービスにおける同社の位置づけ

テレビポータルの必要性

ユーザーとコンテンツ事業者に環境を提供することだと説明
ひとつは、テレビならではの「安心・安全」「簡単・便利」なサービス環境を実現することだ。以前から家庭の中心にあったテレビはユーザーの信頼感が厚い。パソコンのように、ユーザー側にリテラシーを求めるものではなく、飽くまで家電としての使いやすさを追求し、そこにネットワーク機能を付け加える。また、安全なネットワークの世界として「Walled Garden」という概念を導入。これは同社によって吟味された安全な情報を提供するものだ。同氏は「ネットはよく広い海に例えられるが、『Walled Garden』はよく整備されたプライベートビーチと言える」と語った。

ふたつめは、メーカーや機種の違いに制約されることなく、多種多様なサービスを利用できるサービス環境を提供することだ。この実現のため、同社はオープンな共通プラットフォームを設定し、既存のISPやネットワークに依存することなく、ユーザーに平等なサービスを提供できる環境を整える。

最後に、多くのサービス事業者が容易に参入できるテレビ向けサービス環境を提供することだ。サービスレイヤーを水平分業型に設定し、サービス業者のオープンな参画を受け入れる。


「安心・安全」「簡単・便利」を強調した

サービスのロードマップ

TVを中心とした幅広い民生機器対象のDLサービスを目指す
同社の役割は、ユーザーとコンテンツプロバイダーの間に入り、快適なサービスを提供するための環境を整備することである。サービスのロードマップとしては、2007年2月1日に画像とテキストによるサービスを開始。その後2007年度中にはストリーミングVODサービス、2008年度中にダウンロードサービスなどを順次開始していく予定だという。DRMは家電向けの独自DRM「マリーン」を標準搭載する予定。大野氏は、「『アクトビラ(acTVila)』は“TV”を介したネットワークへの重要な『トビラ』として、“active”&“alive”な情報サービスの提供を促進し、インタラクティブな“village”を創造していく、という意味が込められている。安心で安全な新しいテレビの楽しみ方を提供していくと共に、オープンプラットフォームにより多様なサービス事業者の参入を促し、市場を創造していきたい」と抱負を述べた。

発表会で上映した「acTVila」のPR映像


「acTVila」のロゴと大野氏

以下、発表会で行われた質疑応答の主な内容を掲載する。

Q.アクセス回線の帯域はどのくらいのものを考えているのか。また、今回発表されたサービス内容と似たプラットフォームがNTTにあるが、これについてどう考えるか。

A.回線の帯域については、各々のサービス事業者と協議していく。なるべく幅広い帯域にしたいと考えている。NTTとは、市販のテレビをターゲットにしている点に差異がある。重なる部分もあるが、連携する部分もあるだろう。

Q.本サービス開始までに、対応する端末の売り上げ台数はどの程度を目標にしているのか。

A.具体的な台数については各メーカーの商品企画の判断によるので、我々は何も言えないが、国内デジタルテレビの過半数が本サービスに対応したものになることを望んでいる。

Q.Tナビで考えると、対応したテレビの出荷数に対して、実際にサービスにアクセスしている人が少ないのではないか。これに対して対策はあるのか。

A.確かに現状では購入者の10〜15%しか使用していない。しかし今後サービスの魅力を高めるとともに、無線LANやPLCなどで接続性をアップさせるつもりだ。各メーカーで協力し認知度も高め、多くの方に気軽に使ってもらえるようにしたい。

Q.既存のテレビはどのように本サービスに対応すればいいのか。

A.各メーカーから安価なセットボックスを販売し、それを手持ちのテレビに設置してもらうことなどで対応しようと考えている。

Q.DRMの「マーリン」とは何か。

A.家電機器業界が中心になり設定したDRMシステム。軽くて実装が容易などの利点がある。詳細についてはCEATECでの展示を見てもらいたい。

Q.海外で本サービスを展開する予定はあるのか。

A.インフラが違うこともあり、当分国内をベースに展開していくことを考えている。

Q.Tナビはアクトビラに統合されるのか。

A.基本的にそうだ。

Q.「Walled Garden」のようなクローズドさを保ちつつ、PCで同様なサービスを展開する予定はあるのか。また、コンテンツの審査はどこでどのような基準で行われるのか。

A.本サービスはまずテレビから始めたが、それは飽くまでスタートラインである。パソコン向けサービスは今後協議していくことになるだろう。審査のしくみはまだ具体的でないので何とも言えない。

Q.既存のVODサービスとどのように住み分けていくのか。

A.VODサービスを行っている会社と話し合い、合致するところは協力していきたいと考えている。

(Phile-web編集部)

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