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公開日 2006/10/05 17:31
光ディスクの標準化を日米で共同推進へ − CDs21とOSTAがシンポジウムを開催
CD、DVDをはじめとする光ディスクの普及推進について、日本国内で活動を行うCDs21ソリューションズと米国の推進団体OSTAが本日、秋葉原コンベンションセンターにおいて共同シンポジウムを開催した。
今回開催された「オプティカル・ストレージ・シンポジウム2006」は、CDs21ソリューションズと米国OSTA(Optical Storage Technology Association)の主催により開催された。例年はアメリカで開催されているシンポジウムが、今年は両団体のさらなる関係強化を推進すべく、東京での開催されることとなった。
会場には日米の光ディスク普及推進団体の関係者が集まる中、終日に渡って講演会が開催されるほか、今後の光ディスク産業の発展を目的とした議論が組み交わされる。その大きなテーマの一つとしては「光ディスクの寿命」に関する国際的な基準設定についても取り上げられることとなった。
併せて10月6日(金)には、光ディスクの寿命についての世界的な基準を作成するため、OSTAの活動にCDs21ソリューションズが参加し行っている会議である、ODAT(Optical Disk Archive Test)のワーキンググループのミーティングも開催される。両団体は今後、ヨーロッパ電子計算機工業会(略称 ECMA)との協同作業により、光ディスクに関する技術的な仕様をISO規格へ提案する考えであるという。
2001年に発足した任意団体「CDs21ソリューションズ」は、旧マルチメディアCDコンソシアムとオレンジフォーラムがコラボーレーションしてできた、CD関連業界間を複合横断的に構成した国内最大の団体である。各種のCD規格に準拠したハードウェア、ディスクメディア、ソフトウェア製品、コンテンツ製作を含む応用製品群の互換性向上への取り組を行うほか、関連サービスなどの普及促進を図り、関連業界並びにユーザーに貢献することを目的に活動を続けている。現在は光ディスクやドライブを生産している企業を中心に、国内外を含め約45社の参加企業が集う。
米OSTAとの関係については、以前より光ディスクに関する情報交換や標準化活動について連携を図ってきた経緯がある。殊にCDs21内に設立されている7つのワーキンググループより、光ディスクの寿命に関する評価基準をつくることを目的に活動する「Reliability(信頼性)WG」では、これまでにも密接な協力関係が築き上げられており、ODATの活動では2005年9月に初のミーティングも開催している。
本日のシンポジウムにて開催された講演では、CDs21ソリューションのチェアマンであるビフレステック(株)代表取締役社長の井橋孝夫氏が登壇し、CD-R、DVD-Rビジネスの今後についての見解などを述べた。
はじめに井橋氏は現状のメディアビジネスにおけるCD-RとDVD-Rの位置づけについて触れ「昨今、次世代光ディスクの登場により、CDやDVDパッケージメディアの時代は終息に向うだろうという見方もあるようだが、私はそうは考えていない」とした。今後は光ディスク、HDDをはじめとする磁気ディスク、フラッシュメモリーの3つが柱となり、それぞれの機能を活かしつつ発展して行くだろうとした井橋氏は「特に光ディスクに関しては、CD-RとDVD-Rはその用途と魅力が認められ、独自のポジションを確立すると考えている」と語った。
続けてCD-Rのメディアとしての可能性について説明した井橋氏は「“メディアの寿命は20年”と一般的に考えられているようだが、一方で現在も毎年ワールドワイドで150億程度のCD-Rが生産されているという現実がある。これをどう解釈するかが、今後のビジネスにとってのキーポイントだ。CD-Rは今後、PCデータのアーカイブやデジタル写真の保存用途に、ユーザーニーズと最もフィットする記録メディアとして活用されていくだろう」と予測を示した。光ディスクの種類と用途の違いについて井橋氏は「CD-Rが1,000円札、DVD-Rが5,000円札、次世代系メディアが10,000円札と例えてみて欲しい」と語り、「CD-Rの特性を活かして、適切な用途をユーザーに提案していくことが我々のビジネスにとって大切だ。これからも大いにマーケットを拡大していく可能性を秘めたメディアであると確信している」と強調した。
またCD-RやDVD-Rを軸とした将来のビジネスモデルとして井橋氏は「インターネットの世界との協業が考えられる。コンテンツホルダーからショップがダウンロード対応コンテンツを取り寄せ、CD-RやDVD-Rに保存してユーザーに販売するというエンタープライズモデルが、近い将来に実現されると考えている」と語った。今後データアーカイブの世界をより広範囲に開拓していくことで、CD-RとDVD-Rはまだまだ市場に残り続けていくだろうと語る井橋氏は、講演の最後に「CD-Rについては、厚さ1.2mmのディスクを3,200億枚積み重ねると、ちょうど地球から月に届く距離になる。CD-Rの登場以来約10年間に、我々が売ってきた枚数はいま、その半分の距離にある。今後何年かの間にこの夢を実現できると信じている。ぜひ業界の方々と力を合わせ、これを現実のものとして行きたい」と締め括った。
本講演にはOSTAのメンバーを代表して、Software Arichitects社Lee Prewitt氏とSony Electronics社Chris Smith氏も出席し、それぞれの活動内容に関する紹介を行った。
ODATのチェアマンを務めるSmith氏は、その活動内容に関する概略を紹介した。ODATではCDs21と連携し、光ディスクの寿命に関する評価基準について、ISOやECMAなどの標準化団体に提案して行く考えであるとSmith氏は語る。今後も参加メンバーとともに光ディスクメディアのクオリティと信頼性に関する評価基準を打ち立てていくとともに、ユーザーへの啓発も併せて行っていくことがODATの活動の軸となる。Smith氏は「ユーザーに向けたプロモーション活動の一環としては、ODATの評価基準を満たし“アーカイブ・グレード”に達することが認められた製品に対して、ロゴマークを提供していくプログラムについても検討を進めている」と語り、新たな戦略の概要を明らかにし、会場の注目を浴びた。
(Phile-web編集部)
今回開催された「オプティカル・ストレージ・シンポジウム2006」は、CDs21ソリューションズと米国OSTA(Optical Storage Technology Association)の主催により開催された。例年はアメリカで開催されているシンポジウムが、今年は両団体のさらなる関係強化を推進すべく、東京での開催されることとなった。
会場には日米の光ディスク普及推進団体の関係者が集まる中、終日に渡って講演会が開催されるほか、今後の光ディスク産業の発展を目的とした議論が組み交わされる。その大きなテーマの一つとしては「光ディスクの寿命」に関する国際的な基準設定についても取り上げられることとなった。
併せて10月6日(金)には、光ディスクの寿命についての世界的な基準を作成するため、OSTAの活動にCDs21ソリューションズが参加し行っている会議である、ODAT(Optical Disk Archive Test)のワーキンググループのミーティングも開催される。両団体は今後、ヨーロッパ電子計算機工業会(略称 ECMA)との協同作業により、光ディスクに関する技術的な仕様をISO規格へ提案する考えであるという。
2001年に発足した任意団体「CDs21ソリューションズ」は、旧マルチメディアCDコンソシアムとオレンジフォーラムがコラボーレーションしてできた、CD関連業界間を複合横断的に構成した国内最大の団体である。各種のCD規格に準拠したハードウェア、ディスクメディア、ソフトウェア製品、コンテンツ製作を含む応用製品群の互換性向上への取り組を行うほか、関連サービスなどの普及促進を図り、関連業界並びにユーザーに貢献することを目的に活動を続けている。現在は光ディスクやドライブを生産している企業を中心に、国内外を含め約45社の参加企業が集う。
米OSTAとの関係については、以前より光ディスクに関する情報交換や標準化活動について連携を図ってきた経緯がある。殊にCDs21内に設立されている7つのワーキンググループより、光ディスクの寿命に関する評価基準をつくることを目的に活動する「Reliability(信頼性)WG」では、これまでにも密接な協力関係が築き上げられており、ODATの活動では2005年9月に初のミーティングも開催している。
本日のシンポジウムにて開催された講演では、CDs21ソリューションのチェアマンであるビフレステック(株)代表取締役社長の井橋孝夫氏が登壇し、CD-R、DVD-Rビジネスの今後についての見解などを述べた。
はじめに井橋氏は現状のメディアビジネスにおけるCD-RとDVD-Rの位置づけについて触れ「昨今、次世代光ディスクの登場により、CDやDVDパッケージメディアの時代は終息に向うだろうという見方もあるようだが、私はそうは考えていない」とした。今後は光ディスク、HDDをはじめとする磁気ディスク、フラッシュメモリーの3つが柱となり、それぞれの機能を活かしつつ発展して行くだろうとした井橋氏は「特に光ディスクに関しては、CD-RとDVD-Rはその用途と魅力が認められ、独自のポジションを確立すると考えている」と語った。
続けてCD-Rのメディアとしての可能性について説明した井橋氏は「“メディアの寿命は20年”と一般的に考えられているようだが、一方で現在も毎年ワールドワイドで150億程度のCD-Rが生産されているという現実がある。これをどう解釈するかが、今後のビジネスにとってのキーポイントだ。CD-Rは今後、PCデータのアーカイブやデジタル写真の保存用途に、ユーザーニーズと最もフィットする記録メディアとして活用されていくだろう」と予測を示した。光ディスクの種類と用途の違いについて井橋氏は「CD-Rが1,000円札、DVD-Rが5,000円札、次世代系メディアが10,000円札と例えてみて欲しい」と語り、「CD-Rの特性を活かして、適切な用途をユーザーに提案していくことが我々のビジネスにとって大切だ。これからも大いにマーケットを拡大していく可能性を秘めたメディアであると確信している」と強調した。
またCD-RやDVD-Rを軸とした将来のビジネスモデルとして井橋氏は「インターネットの世界との協業が考えられる。コンテンツホルダーからショップがダウンロード対応コンテンツを取り寄せ、CD-RやDVD-Rに保存してユーザーに販売するというエンタープライズモデルが、近い将来に実現されると考えている」と語った。今後データアーカイブの世界をより広範囲に開拓していくことで、CD-RとDVD-Rはまだまだ市場に残り続けていくだろうと語る井橋氏は、講演の最後に「CD-Rについては、厚さ1.2mmのディスクを3,200億枚積み重ねると、ちょうど地球から月に届く距離になる。CD-Rの登場以来約10年間に、我々が売ってきた枚数はいま、その半分の距離にある。今後何年かの間にこの夢を実現できると信じている。ぜひ業界の方々と力を合わせ、これを現実のものとして行きたい」と締め括った。
本講演にはOSTAのメンバーを代表して、Software Arichitects社Lee Prewitt氏とSony Electronics社Chris Smith氏も出席し、それぞれの活動内容に関する紹介を行った。
ODATのチェアマンを務めるSmith氏は、その活動内容に関する概略を紹介した。ODATではCDs21と連携し、光ディスクの寿命に関する評価基準について、ISOやECMAなどの標準化団体に提案して行く考えであるとSmith氏は語る。今後も参加メンバーとともに光ディスクメディアのクオリティと信頼性に関する評価基準を打ち立てていくとともに、ユーザーへの啓発も併せて行っていくことがODATの活動の軸となる。Smith氏は「ユーザーに向けたプロモーション活動の一環としては、ODATの評価基準を満たし“アーカイブ・グレード”に達することが認められた製品に対して、ロゴマークを提供していくプログラムについても検討を進めている」と語り、新たな戦略の概要を明らかにし、会場の注目を浴びた。
(Phile-web編集部)