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公開日 2008/05/20 20:08
<NHK技研公開2008>BBCと開発した新映像圧縮システムなどスーパーハイビジョン関連技術を展示
NHK放送技術研究所の一般公開展示「技研公開」が今年も開催される。一般公開は5月22日から25日まで。“技術のチカラがテレビを変える”というテーマのもと紹介されている最新の43項目の研究成果から、本項ではスーパーハイビジョンに関連する展示内容をご紹介しよう。
■3,300万画素3板式カラー撮影実験
スーパーハイビジョンのフル解像度(7,680×4,320画素)映像撮影に対応した、RGB 3板式の3,300万画素CMOS撮像素子を展示。昨年の展示会では単板で撮影した白黒映像を公開していたが、今年はフル解像度の映像から3,840×2,160画素部分を切り出し、全体を縮小したカラー映像を表示するデモが行われている。
また、画素数3,300万、フレームレート60Hz、12bit量子化のフル解像度スーパーハイビジョン信号を処理するために必要な72Gbpsの高速信号処理に対応し、様々な撮像実験に応用可能な信号処理回路の試作機を出展。あわせて、撮像素子の解像度に対応した超高解像度レンズも用意された。また従来は1色あたり同軸ケーブル16本を必要としていたフル解像度の映像伝送システムを改良し、コネクタ幅9mm×高さ14mmの12芯光マルチケーブル1本で伝送が可能な新しいシステムの試作展示も行われている。
■有機撮像デバイス
スーパーハイビジョン用の小型カメラ開発用に、赤・青・緑それぞれの色にだけ感度を持つ3枚の有機膜と、各有機膜からの信号を読み出す3つの透明な回路を交互に重ねた構造の単板カラー撮像デバイスが展示されている。
現状のスーパーハイビジョン用カメラで用いられているプリズムと3枚の撮像デバイスを使った方式では、光の利用効率が高く、高画質なカラー映像を得られる反面、カメラの小型軽量化が難しかった。有機撮像デバイスを用いた場合、入射した光は重ねた3枚の有機膜によって光の3原色に分けられ、電気信号に変換されるため、プリズムや3枚の撮像デバイスが不要となり、小型軽量化がより容易になるという。また各有機膜はそれぞれの3原色に対応した単一の色の光のみを吸収し、それ以外の色を透過させるため、光の利用効率が高く、プリズムを使ったデバイスと同等の画質を得ることができる。
今回の展示では、世界で初めてという有機撮像デバイスによるカラーの動画撮影デモも行われている。展示説明員によれば、有機撮像デバイスには従来のデバイスより微細加工が難しいという課題があり、製品化に向けた研究が今後も続けられていくという。
スーパーハイビジョン符号化システム
昨年に引き続き、スーパーハイビジョン映像信号をMPEG4 AVC/H.264に圧縮・符号化するシステムも公開された。スーパーハイビジョンの映像ソースはAVC/H.264、音声はAACに圧縮し、信号伝送の負担を軽減。隣接する展示にて、衛星放送のサービスイメージによる「高度BSデジタル放送」のデモも展開する。
2011年以降、12GHz帯のBS放送のチャンネルでは、アナログ放送の終了にともなって開放される3つのチャンネルと、世界無線通信会議2000で新たに割り当てられた4つのチャンネルが利用可能になる。NHK技研ではこの新たに生まれるチャンネルスペースを活かし、大容量データによる衛星放送を実現する「高度BSデジタル放送」方式のサービスモデルを提案している。
「高度BSデジタル放送」のサービスでは、従来よりも強力な誤り訂正符号方式を採用し、サービス時間率の低下なしに約70Mbpsの伝送を実現することができる。またBPSK/QPSK/8PSKなど従来の変調方式に加え、より多くの情報伝送が可能な「16APSK(約93Mbps)」や「32APSK(約127Mbps)」の変調方式も現在検討されているという。今回の展示では「32APSK」方式によるスーパーハイビジョン映像の伝送実験や、大容量伝送路の特徴を活かした高速な映像ダウンロードサービスのコンセプト紹介も行われている。
Dirac映像符号化システム
イギリスのBBCとNHK技研が共同開発を行った映像符号化方式「Dirac」のデモを公開。本方式はスーパーハイビジョン映像の新たな高品位な符号化方式として期待されているもので、信号を高周波成分と低周波成分に分解して解析する「wavelet変換」という手法を用いている。本方式ではオーバーラップブロック動き補償を採用することにより、ブロック処理の影響によるノイズの発生が低減できるという特徴を持っている。今後はスーパーハイビジョン映像の特性に合わせた最適化と、符号画質の向上、リアルタイム動作を実現するための研究開発が進められていくという。
スーパーハイビジョン家庭視聴イメージ
スーパーハイビジョンによる映像とサウンドを家庭環境で実現するための研究も行われている。今回は3,840×2,160画素の56インチ液晶パネルを4面用いて構成した直視型ディスプレイと、上・中・下層の3チャンネルを1本のスピーカーで再生するシステムを用い、22.2チャンネルのマルチチャンネル環境を体験できるデモスペースが設けられている。
(Phile-web編集部)
■3,300万画素3板式カラー撮影実験
スーパーハイビジョンのフル解像度(7,680×4,320画素)映像撮影に対応した、RGB 3板式の3,300万画素CMOS撮像素子を展示。昨年の展示会では単板で撮影した白黒映像を公開していたが、今年はフル解像度の映像から3,840×2,160画素部分を切り出し、全体を縮小したカラー映像を表示するデモが行われている。
また、画素数3,300万、フレームレート60Hz、12bit量子化のフル解像度スーパーハイビジョン信号を処理するために必要な72Gbpsの高速信号処理に対応し、様々な撮像実験に応用可能な信号処理回路の試作機を出展。あわせて、撮像素子の解像度に対応した超高解像度レンズも用意された。また従来は1色あたり同軸ケーブル16本を必要としていたフル解像度の映像伝送システムを改良し、コネクタ幅9mm×高さ14mmの12芯光マルチケーブル1本で伝送が可能な新しいシステムの試作展示も行われている。
■有機撮像デバイス
スーパーハイビジョン用の小型カメラ開発用に、赤・青・緑それぞれの色にだけ感度を持つ3枚の有機膜と、各有機膜からの信号を読み出す3つの透明な回路を交互に重ねた構造の単板カラー撮像デバイスが展示されている。
現状のスーパーハイビジョン用カメラで用いられているプリズムと3枚の撮像デバイスを使った方式では、光の利用効率が高く、高画質なカラー映像を得られる反面、カメラの小型軽量化が難しかった。有機撮像デバイスを用いた場合、入射した光は重ねた3枚の有機膜によって光の3原色に分けられ、電気信号に変換されるため、プリズムや3枚の撮像デバイスが不要となり、小型軽量化がより容易になるという。また各有機膜はそれぞれの3原色に対応した単一の色の光のみを吸収し、それ以外の色を透過させるため、光の利用効率が高く、プリズムを使ったデバイスと同等の画質を得ることができる。
今回の展示では、世界で初めてという有機撮像デバイスによるカラーの動画撮影デモも行われている。展示説明員によれば、有機撮像デバイスには従来のデバイスより微細加工が難しいという課題があり、製品化に向けた研究が今後も続けられていくという。
スーパーハイビジョン符号化システム
昨年に引き続き、スーパーハイビジョン映像信号をMPEG4 AVC/H.264に圧縮・符号化するシステムも公開された。スーパーハイビジョンの映像ソースはAVC/H.264、音声はAACに圧縮し、信号伝送の負担を軽減。隣接する展示にて、衛星放送のサービスイメージによる「高度BSデジタル放送」のデモも展開する。
2011年以降、12GHz帯のBS放送のチャンネルでは、アナログ放送の終了にともなって開放される3つのチャンネルと、世界無線通信会議2000で新たに割り当てられた4つのチャンネルが利用可能になる。NHK技研ではこの新たに生まれるチャンネルスペースを活かし、大容量データによる衛星放送を実現する「高度BSデジタル放送」方式のサービスモデルを提案している。
「高度BSデジタル放送」のサービスでは、従来よりも強力な誤り訂正符号方式を採用し、サービス時間率の低下なしに約70Mbpsの伝送を実現することができる。またBPSK/QPSK/8PSKなど従来の変調方式に加え、より多くの情報伝送が可能な「16APSK(約93Mbps)」や「32APSK(約127Mbps)」の変調方式も現在検討されているという。今回の展示では「32APSK」方式によるスーパーハイビジョン映像の伝送実験や、大容量伝送路の特徴を活かした高速な映像ダウンロードサービスのコンセプト紹介も行われている。
Dirac映像符号化システム
イギリスのBBCとNHK技研が共同開発を行った映像符号化方式「Dirac」のデモを公開。本方式はスーパーハイビジョン映像の新たな高品位な符号化方式として期待されているもので、信号を高周波成分と低周波成分に分解して解析する「wavelet変換」という手法を用いている。本方式ではオーバーラップブロック動き補償を採用することにより、ブロック処理の影響によるノイズの発生が低減できるという特徴を持っている。今後はスーパーハイビジョン映像の特性に合わせた最適化と、符号画質の向上、リアルタイム動作を実現するための研究開発が進められていくという。
スーパーハイビジョン家庭視聴イメージ
スーパーハイビジョンによる映像とサウンドを家庭環境で実現するための研究も行われている。今回は3,840×2,160画素の56インチ液晶パネルを4面用いて構成した直視型ディスプレイと、上・中・下層の3チャンネルを1本のスピーカーで再生するシステムを用い、22.2チャンネルのマルチチャンネル環境を体験できるデモスペースが設けられている。
(Phile-web編集部)