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公開日 2014/11/25 16:33
ソニー、'15年にモバイル事業を構造改革 − ゲームはクラウドTV「PS Vue」などで収益強化
PS4+ネットワーク連携でゲーム事業促進
ソニーは本日、同社の各事業責任者が投資家向けに今後の事業の方向性を説明するイベント「Sony IR Day 2014」の2日目を開催した。本記事では、午前中に行われた「ゲーム&ネットワークサービス分野」と「モバイル・コミュニケーション分野」の内容について紹介していく。
なお本イベントの1日目が開催された18日には、ソニー(株)代表執行役 社長 兼 CEOの平井一夫氏が登場し、'14年上半期に営業権の減損1,760億円を計上し経営が悪化したモバイル・コミュニケーション分野(MC)について「モバイル事業はソニーにとって最大の事業であり、安定した収益をとれるようにするのは喫緊の課題」とコメントするなどしていた(関連ニュース)。
同部門については既に発表されている通り、11月16日付けでソニー・モバイルの社長が鈴木国正氏から十時裕樹氏へ交代している。18日の時点で平井氏は「新社長の十時氏のもと、新経営体制で収益構造安定化のため、スピード感をもって取り組んでいく」と述べていた。そして本日、具体的な施策が新社長である十時氏の口から直接語られた。
また、クラウドベースの新しいテレビサービス「プレイステーション ヴュー(PS Vue)」(関連ニュース)の開発が発表されているゲーム&ネットワークサービス分野からは、同サービスに代表されるように、PS4とネットワークの連携システムによる新提案によって同事業を強化していく計画が語られた。
■吉田CFO「'14年度が無配となることを大変重く受け止めている」
本イベントの冒頭では、ソニー(株)代表執行役 EVP CFO 吉田憲一郎氏が登場し、挨拶を行った。吉田氏は「2014年度は平井CEOの指揮のもと“構造改革をやりきる年”として取り組みを行ってきた。しかし、残念ながら通期で2,300億円の損失計上する見通しとなってしまったこと、無配転落について大変重く受け止めている」と述べた。「一方では構造改革と連動し、中期的な事業方針の検討を進めてきた」とし、各事業の外的/内的環境に基づいて事業を安定させるよう各事業部に指示してきたことを語った。
■ゲーム&ネットワークサービス分野は、PS4+ネットワーク連携で収益強化
まずは、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント 代表取締役 社長 兼 グループCEO グループ役員 ネットワークエンタテインメント事業担当 アンドリュー・ハウス氏が登場し、ゲーム&ネットワークサービス分野について今後の事業戦略説明を行った。なお、18日に平井氏は同分野について「PSユーザー数の拡大とネットワークサービスの拡充を進める」と説明していた。ユーザー数の拡大だけでなく、ネットワークサービスを拡充させることによってユーザーひとりあたりの売上単価アップも図っていくという。
冒頭でハウス氏は、ゲーム&ネットワークサービス分野について「私はこの分野をエンターテインメントとエレキとを“橋渡しする事業”と捉えている」と述べた。なお、同事業は現時点で、2014年度通期の売上高を前年比約2,500億円増の1兆2,900億円、営業利益を350億円(前期は188億円の赤字)と見込んでいる。これは主に、PS4の販売拡大やPS Vitaの新モデル導入などのハードウェアによる増益などによるものだという。
中期事業計画としては、「進化したゲームとネットワークサービスの統合体験の提供による“プレイステーション”エコシステムの発展」を方針として、「プレイステーションユーザーの維持・拡大」と「ARPPUの向上及び関連売上の増大」の大きく2点を戦略として取り組んでいく。ハウス氏はこれにより「プレステユーザーの維持・拡大を図るとともに、魅力あるゲームやネットワーク体験を訴求し、売上・利益の拡大を目指す」と語った。2017年度の経営数値目標として、売上高1兆4,000〜1兆6,000億円、営業利益率5〜6%を掲げる。
具体的な取り組みとしては、まず機能や使いやすさの向上を含むアップデートを継続的に行っていくことで、ゲームコンソールとしてのPS4の競争力をより一層強化していく。例えば先日のファームウェアアップデートで提供された、1つのゲームを複数人のユーザー間でシェアしてプレイできる「シェアプレイ機能(関連ニュース)」などはその1つといえる。ハウス氏は「シェアプレイ機能は、そのゲームを所有していないユーザーにも内容をシェアして一緒にプレイできるという革命的なトライアルだと思う。これまでのフィードバックも含めて手応えを感じている機能。これらの取り組みによってゲームセールスを増やしていきたい」と語った。またコアユーザー層向けだけでなく、ファミリーなどのカジュアル層に向けたゲームや動画・音楽サービスを継続的に拡充して充実化させていくことで、プレステユーザーを拡大していく。
また、本分野の新たな取り組みとしては、ネットワーク連携機能の強化が挙げられる。クラウド技術を活用したストリーミングゲームサービス「プレイステーション ナウ(PS Now)」のオープンベータサービスが既に提供中であるほか、既報の通り、PS4/PS3をハードウェアとして番組を視聴できる新しいテレビサービス「プレイステーション ヴュー(PS Vue)」の提供開始も予定している。ハウス氏はこのPS Vueについて「米国の家庭で設置されている3,400万台のPS4/PS3を活用する新しいサービス」と語る。
PS Vueは、ケーブルテレビや衛星放送を必要としないクラウドベースのテレビサービスであることが特徴。上述の通りPS4/PS3をハードウェアとしてテレビ視聴が可能で、より直感的な操作性を提供するとともに、ユーザーそれぞれの好みをより反映させ、インタラクティブで革新的な新しいテレビの視聴体験を提供するという。まず11月中に米国ニューヨークでβ版サービスを招待制で提供開始する予定で、2015年3月末までに商用サービスの開始を目指している。
なお、PS4/PS3が視聴ハードウェアとして対応しているVODサービスに「Netflix」がある。このNetflixとPS Vueのサービス内容はカニバるのではないか? との指摘に対して、ハウス氏は「むしろ互いを補間し合うと思う。Netflixで動画を楽しんでいるのは、視聴料金を払って良いコンテンツを楽しみたいというユーザーだ。両サービスそれぞれに価値があり、両サービスを提供することでユーザーの満足度を高められるだろう。今後もPS4/PS3はNetflix対応を続けていく」と語った。
そのほかにも中国や南米など購買可能層の増加が期待できる地域や、中東やドイツなどゲーム文化が変化している市場での成長機会へ取り組むことで、ユーザーの維持・拡大を図る。
また、「ARPPUの向上及び関連売上の増大」については、ユーザー層に適したビデオサービスや音楽サービスを提供するなど付加価値サービスの魅力を高めることで、PS Plusの加入率と継続率を向上させ、他社サービスとの連携もしっかり持続させながら収益の拡大を図っていく。ハウス氏は「ソニーグループの中でもできるだけ安定度が高く、より良く収益貢献できるものを作っていきたい」と結んだ。
なお本イベントの1日目が開催された18日には、ソニー(株)代表執行役 社長 兼 CEOの平井一夫氏が登場し、'14年上半期に営業権の減損1,760億円を計上し経営が悪化したモバイル・コミュニケーション分野(MC)について「モバイル事業はソニーにとって最大の事業であり、安定した収益をとれるようにするのは喫緊の課題」とコメントするなどしていた(関連ニュース)。
同部門については既に発表されている通り、11月16日付けでソニー・モバイルの社長が鈴木国正氏から十時裕樹氏へ交代している。18日の時点で平井氏は「新社長の十時氏のもと、新経営体制で収益構造安定化のため、スピード感をもって取り組んでいく」と述べていた。そして本日、具体的な施策が新社長である十時氏の口から直接語られた。
また、クラウドベースの新しいテレビサービス「プレイステーション ヴュー(PS Vue)」(関連ニュース)の開発が発表されているゲーム&ネットワークサービス分野からは、同サービスに代表されるように、PS4とネットワークの連携システムによる新提案によって同事業を強化していく計画が語られた。
■吉田CFO「'14年度が無配となることを大変重く受け止めている」
本イベントの冒頭では、ソニー(株)代表執行役 EVP CFO 吉田憲一郎氏が登場し、挨拶を行った。吉田氏は「2014年度は平井CEOの指揮のもと“構造改革をやりきる年”として取り組みを行ってきた。しかし、残念ながら通期で2,300億円の損失計上する見通しとなってしまったこと、無配転落について大変重く受け止めている」と述べた。「一方では構造改革と連動し、中期的な事業方針の検討を進めてきた」とし、各事業の外的/内的環境に基づいて事業を安定させるよう各事業部に指示してきたことを語った。
■ゲーム&ネットワークサービス分野は、PS4+ネットワーク連携で収益強化
まずは、(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント 代表取締役 社長 兼 グループCEO グループ役員 ネットワークエンタテインメント事業担当 アンドリュー・ハウス氏が登場し、ゲーム&ネットワークサービス分野について今後の事業戦略説明を行った。なお、18日に平井氏は同分野について「PSユーザー数の拡大とネットワークサービスの拡充を進める」と説明していた。ユーザー数の拡大だけでなく、ネットワークサービスを拡充させることによってユーザーひとりあたりの売上単価アップも図っていくという。
冒頭でハウス氏は、ゲーム&ネットワークサービス分野について「私はこの分野をエンターテインメントとエレキとを“橋渡しする事業”と捉えている」と述べた。なお、同事業は現時点で、2014年度通期の売上高を前年比約2,500億円増の1兆2,900億円、営業利益を350億円(前期は188億円の赤字)と見込んでいる。これは主に、PS4の販売拡大やPS Vitaの新モデル導入などのハードウェアによる増益などによるものだという。
中期事業計画としては、「進化したゲームとネットワークサービスの統合体験の提供による“プレイステーション”エコシステムの発展」を方針として、「プレイステーションユーザーの維持・拡大」と「ARPPUの向上及び関連売上の増大」の大きく2点を戦略として取り組んでいく。ハウス氏はこれにより「プレステユーザーの維持・拡大を図るとともに、魅力あるゲームやネットワーク体験を訴求し、売上・利益の拡大を目指す」と語った。2017年度の経営数値目標として、売上高1兆4,000〜1兆6,000億円、営業利益率5〜6%を掲げる。
具体的な取り組みとしては、まず機能や使いやすさの向上を含むアップデートを継続的に行っていくことで、ゲームコンソールとしてのPS4の競争力をより一層強化していく。例えば先日のファームウェアアップデートで提供された、1つのゲームを複数人のユーザー間でシェアしてプレイできる「シェアプレイ機能(関連ニュース)」などはその1つといえる。ハウス氏は「シェアプレイ機能は、そのゲームを所有していないユーザーにも内容をシェアして一緒にプレイできるという革命的なトライアルだと思う。これまでのフィードバックも含めて手応えを感じている機能。これらの取り組みによってゲームセールスを増やしていきたい」と語った。またコアユーザー層向けだけでなく、ファミリーなどのカジュアル層に向けたゲームや動画・音楽サービスを継続的に拡充して充実化させていくことで、プレステユーザーを拡大していく。
また、本分野の新たな取り組みとしては、ネットワーク連携機能の強化が挙げられる。クラウド技術を活用したストリーミングゲームサービス「プレイステーション ナウ(PS Now)」のオープンベータサービスが既に提供中であるほか、既報の通り、PS4/PS3をハードウェアとして番組を視聴できる新しいテレビサービス「プレイステーション ヴュー(PS Vue)」の提供開始も予定している。ハウス氏はこのPS Vueについて「米国の家庭で設置されている3,400万台のPS4/PS3を活用する新しいサービス」と語る。
PS Vueは、ケーブルテレビや衛星放送を必要としないクラウドベースのテレビサービスであることが特徴。上述の通りPS4/PS3をハードウェアとしてテレビ視聴が可能で、より直感的な操作性を提供するとともに、ユーザーそれぞれの好みをより反映させ、インタラクティブで革新的な新しいテレビの視聴体験を提供するという。まず11月中に米国ニューヨークでβ版サービスを招待制で提供開始する予定で、2015年3月末までに商用サービスの開始を目指している。
なお、PS4/PS3が視聴ハードウェアとして対応しているVODサービスに「Netflix」がある。このNetflixとPS Vueのサービス内容はカニバるのではないか? との指摘に対して、ハウス氏は「むしろ互いを補間し合うと思う。Netflixで動画を楽しんでいるのは、視聴料金を払って良いコンテンツを楽しみたいというユーザーだ。両サービスそれぞれに価値があり、両サービスを提供することでユーザーの満足度を高められるだろう。今後もPS4/PS3はNetflix対応を続けていく」と語った。
そのほかにも中国や南米など購買可能層の増加が期待できる地域や、中東やドイツなどゲーム文化が変化している市場での成長機会へ取り組むことで、ユーザーの維持・拡大を図る。
また、「ARPPUの向上及び関連売上の増大」については、ユーザー層に適したビデオサービスや音楽サービスを提供するなど付加価値サービスの魅力を高めることで、PS Plusの加入率と継続率を向上させ、他社サービスとの連携もしっかり持続させながら収益の拡大を図っていく。ハウス氏は「ソニーグループの中でもできるだけ安定度が高く、より良く収益貢献できるものを作っていきたい」と結んだ。