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公開日 2015/04/25 22:09
フィリップスのAndroid TVは早くも“第2世代” 。テレビの9割をAndroid対応にする真意とは?
4K対応機種も一気に拡充予定
マルタで開催されているIFA2015グローバル・プレスカンファレンスの2日目に行われたプロダクトセミナーでは、イベントに協賛するフィリップス、TP Vision、ハイアールなどエレクトロニクスメーカーがそれぞれの製品やサービスを紹介した。
中でも最も興味深かったのが、フィリップスが2015年の新製品として発売するAndroid搭載の4Kテレビだ。会場で、同社のグローバルマーケティング・リード 欧州・ロシア プロダクトマネージャーのMarc Harmsen氏に新製品の特徴を聞いた。
TP Visionはフィリップス・ブランドのテレビにおいて、デザインや製造を行うほか、世界93カ国での販売とマーケティングも展開するテレビメーカーだ。同社は昨年の夏に初のAndroid搭載4K液晶テレビを発表。IFA2014ではフィリップスのブースでAndroid搭載テレビのラインナップを多く出展した。
さらに今年は、同社にとって“第2世代”となるAndroid搭載4K液晶テレビの発売が予定されている。Harmsen氏は「今年はAndroid TVをプラットフォームに採用するスマートテレビの構成比を、フィリップスのテレビ製品全体の90%に高めて行きます」と意気込む。5月から夏までに第1弾としてスタンダードモデルの6400シリーズ、7100/7600シリーズまでの全38機種を投入する予定だ。さらに2015年後半には8000/9000シリーズなど上位機種の拡充を目指す。うち4K(=UHD)テレビは4シリーズ・17機種をラインナップする予定だ。残念ながら日本で発売される計画は今のところ無いようだ。
同社は昨年の4月に開催されたIFA GPCでいち早くAndroid搭載テレビ「8000シリーズ」を発表した(関連ニュース)。昨年の6月末に米Googleが開発者向けイベントのGoogle I/Oで「Android TV」を正式発表するより前のタイミングで、フィリップスから“第1世代”のAndroid搭載テレビが発表され、実際に欧州を中心に2014年秋から発売されていた。他社に先駆けてAndroid搭載テレビを展開できた理由はどこにあるのだろうか。
「TP VisionはGoogleと連携しながら、Android OS 4.3“Jelly Bean”をベースにしたスマートテレビを開発していました。これが昨年発表・発売した第1世代のラインナップに搭載されてましたが、今年発売するモデルからはAndroid OS 5.0“Lollipop”ベースの、いわゆる『Android TV』がプラットフォームになります」(Harmsen氏)。
グーグルとの密接なパートナーシップにより、他社に先駆けてAndroidベースのスマートテレビを展開できたノウハウを活かすことで、「今年発売の“第2世代”モデルは、さらにスマートテレビとしての完成度に磨きがかけられています」とHarmsen氏は胸を張る。「当社の調査によれば、昨年にAndroid搭載のスマートテレビを発売する以前は、フィリップスブランドのインターネット接続機能を搭載するテレビの“ネット接続率”は6〜7割前後でしたが、Android搭載テレビ発売後は約9割に高まっています」(Harmsen氏)。
同社はAndroid TVの上位レイヤーで動く、独自のスマートUI開発に力を入れてきた。今回のイベントでは55型の7600シリーズによるデモをいち早く体験することができた。Harmsen氏は新しく生まれ変わったUIの特徴について詳細を説明してくれた。
「まずは専用リモコンから使い勝手を大きく変えています。フロントパネルの中央にはタッチパッドセンサーを設け、その右下にAndroid TVのホーム画面を起動するボタンを配置しています。このほかに、タッチパッドのすぐ上にサークルで囲んだ“Top Pics”ボタンがレイアウトされています。こちらをクリックすると、フィリップスのAndroid TV搭載テレビ独自のコンテンツ選択メニューが起動し、視聴可能なテレビの放送やVODサービスを横断して選択できる“TV on Demand”トップメニューが表示されます。コンテンツの配置はユーザーが自由にカスタマイズできるので、お気に入りのチャンネルを選択して並べることも可能です」(Harmsen氏)。
リモコンのリアパネルにはテンキーが配置されているので、コンテンツ検索時の文字入力もより手軽に行える。さらにAndroidのホームメニューにもフィリップスのテレビならではのサービスや、ユーザーの使い勝手を高める工夫が盛り込まれている。
「リモコンの“ホーム”アイコンをクリックするとAndroid TVのホーム画面が起動します。トップにはYouTubeやその他の動画サービスのおすすめコンテンツが並んでいる点は一般的なAndroid TVと一緒ですが、少し下にスクロールすると、アプリ一覧のすぐ上にフィリップスのテレビ専用のレコメンドコンテンツの一覧が並んでいます」(Harmsen氏)
TP Visionは2012年にLG、東芝とともにSmart TV Allianceを設立した初期メンバーだが、会員メーカーとともにスマートテレビ向けに開発してきたコンテンツプラットフォームも組み込まれている。Android TVの「Apps」メニューに並ぶ「App Gallery」を選択すると、Smart TV Allianceのコンテンツストアが起動する。Harmsen氏は「Android TVのアプリ以外にも、こちらのローカルアプリが利用できるのもフィリップス製品ならではの特徴」と説明する。
またグーグルは昨年、スマートデバイスメーカーのNestを買収したが、Android TVプラットフォームによるスマートサーモスタットとの連携は既にヨーロッパでは始まっており、製品も発売されている。フィリップスのテレビも、Android TV上で「MyLive Guard」アプリを起動すると、ホームセキュリティやホームオートメーションなど、利用できる機能のメニュー一覧が起ち上がり、宅内照明器具のコントロールやスマートロックによる施錠管理がスマートテレビ経由で行えるようになる。このあたりの機能も、Android TVのオープンなプラットフォームの特徴をベースにした、フィリップス製品のストロングポイントとしてHarmsen氏が強調する部分だ。
4Kはアプコン回路を内蔵する独自の映像エンジン「PerfectPixcel UHD Engine」を搭載し、テレビ放送やBlu-rayも高精細に楽しめる。ヨーロッパではNetflixが4K映像配信を始めており、ドイツのVODサービスプロバイダーであるMaxdome(マックスドーム)が年内に4K配信のサービスインを予定しているという。なおHDR(ハイダイナミックレンジ)については第1弾のモデルとして発売される38機種は非対応。今年の後半以降に発売を予定する4K対応の上位機種についても未定だが、「将来的には市場の動きを見ながら対応していく考え」(Harmsen氏)であるという。
ほかにもフィリップスのテレビ製品を特徴を際立たせる独自機能のひとつに「Ambilight(アンビライト)」がある。これは画面に映し出される映像を解析し、本体の外周に配置されたLEDランプの色と明るさを調節することで映像の視聴感を高めるオリジナル機能で、2004年にフィリップスが発売したテレビから搭載が始まり、以後今日まで進化を続けてきた。今年発売されるテレビは、LEDの配置と数、アルゴリズムを見直しながら新しいモードを追加した。Android TVで提供されるゲームコンテンツの映像をより快適に楽しむために「ゲーミングモード」が加わった。またGoogle Play MusicやSpotifyなど音楽系アプリのコンテンツをテレビで楽しむ機会が増えることも想定し「ミュージックモード」も追加されている。画面に表示される映像ではなく、音楽に連動してLEDを点灯させるという、これまでのAmbilightの役割を拡張するアプローチが面白い。
「今年のスマートテレビのラインナップはデザインも一新する」とHarmsen氏。会場に展示された7600シリーズは「4Kの映像が宙に浮かんでいるようなデザインを狙った」という、ベゼルを狭額化しながらスタンドをボトムの両サイドに配置したミニマルなデザインを特徴として謳う。ベゼルやスタンドにリアルメタルをあしらった、ヨーロッパのクラフツマンシップにも注目して欲しいとHarmsen氏は語る。
他にもWi-FiやDLNA機能をビルトインした点や、ヨーロッパ市場向けのテレビとしてはめずらしい、HDDなど外付記憶媒体へのテレビ録画機能なども充実する。全方位での機能強化を行っていることが、フィリップスのAndroid採用スマートテレビ“第2世代”モデルの優位性だ。
中でも最も興味深かったのが、フィリップスが2015年の新製品として発売するAndroid搭載の4Kテレビだ。会場で、同社のグローバルマーケティング・リード 欧州・ロシア プロダクトマネージャーのMarc Harmsen氏に新製品の特徴を聞いた。
TP Visionはフィリップス・ブランドのテレビにおいて、デザインや製造を行うほか、世界93カ国での販売とマーケティングも展開するテレビメーカーだ。同社は昨年の夏に初のAndroid搭載4K液晶テレビを発表。IFA2014ではフィリップスのブースでAndroid搭載テレビのラインナップを多く出展した。
さらに今年は、同社にとって“第2世代”となるAndroid搭載4K液晶テレビの発売が予定されている。Harmsen氏は「今年はAndroid TVをプラットフォームに採用するスマートテレビの構成比を、フィリップスのテレビ製品全体の90%に高めて行きます」と意気込む。5月から夏までに第1弾としてスタンダードモデルの6400シリーズ、7100/7600シリーズまでの全38機種を投入する予定だ。さらに2015年後半には8000/9000シリーズなど上位機種の拡充を目指す。うち4K(=UHD)テレビは4シリーズ・17機種をラインナップする予定だ。残念ながら日本で発売される計画は今のところ無いようだ。
同社は昨年の4月に開催されたIFA GPCでいち早くAndroid搭載テレビ「8000シリーズ」を発表した(関連ニュース)。昨年の6月末に米Googleが開発者向けイベントのGoogle I/Oで「Android TV」を正式発表するより前のタイミングで、フィリップスから“第1世代”のAndroid搭載テレビが発表され、実際に欧州を中心に2014年秋から発売されていた。他社に先駆けてAndroid搭載テレビを展開できた理由はどこにあるのだろうか。
「TP VisionはGoogleと連携しながら、Android OS 4.3“Jelly Bean”をベースにしたスマートテレビを開発していました。これが昨年発表・発売した第1世代のラインナップに搭載されてましたが、今年発売するモデルからはAndroid OS 5.0“Lollipop”ベースの、いわゆる『Android TV』がプラットフォームになります」(Harmsen氏)。
グーグルとの密接なパートナーシップにより、他社に先駆けてAndroidベースのスマートテレビを展開できたノウハウを活かすことで、「今年発売の“第2世代”モデルは、さらにスマートテレビとしての完成度に磨きがかけられています」とHarmsen氏は胸を張る。「当社の調査によれば、昨年にAndroid搭載のスマートテレビを発売する以前は、フィリップスブランドのインターネット接続機能を搭載するテレビの“ネット接続率”は6〜7割前後でしたが、Android搭載テレビ発売後は約9割に高まっています」(Harmsen氏)。
同社はAndroid TVの上位レイヤーで動く、独自のスマートUI開発に力を入れてきた。今回のイベントでは55型の7600シリーズによるデモをいち早く体験することができた。Harmsen氏は新しく生まれ変わったUIの特徴について詳細を説明してくれた。
「まずは専用リモコンから使い勝手を大きく変えています。フロントパネルの中央にはタッチパッドセンサーを設け、その右下にAndroid TVのホーム画面を起動するボタンを配置しています。このほかに、タッチパッドのすぐ上にサークルで囲んだ“Top Pics”ボタンがレイアウトされています。こちらをクリックすると、フィリップスのAndroid TV搭載テレビ独自のコンテンツ選択メニューが起動し、視聴可能なテレビの放送やVODサービスを横断して選択できる“TV on Demand”トップメニューが表示されます。コンテンツの配置はユーザーが自由にカスタマイズできるので、お気に入りのチャンネルを選択して並べることも可能です」(Harmsen氏)。
リモコンのリアパネルにはテンキーが配置されているので、コンテンツ検索時の文字入力もより手軽に行える。さらにAndroidのホームメニューにもフィリップスのテレビならではのサービスや、ユーザーの使い勝手を高める工夫が盛り込まれている。
「リモコンの“ホーム”アイコンをクリックするとAndroid TVのホーム画面が起動します。トップにはYouTubeやその他の動画サービスのおすすめコンテンツが並んでいる点は一般的なAndroid TVと一緒ですが、少し下にスクロールすると、アプリ一覧のすぐ上にフィリップスのテレビ専用のレコメンドコンテンツの一覧が並んでいます」(Harmsen氏)
TP Visionは2012年にLG、東芝とともにSmart TV Allianceを設立した初期メンバーだが、会員メーカーとともにスマートテレビ向けに開発してきたコンテンツプラットフォームも組み込まれている。Android TVの「Apps」メニューに並ぶ「App Gallery」を選択すると、Smart TV Allianceのコンテンツストアが起動する。Harmsen氏は「Android TVのアプリ以外にも、こちらのローカルアプリが利用できるのもフィリップス製品ならではの特徴」と説明する。
またグーグルは昨年、スマートデバイスメーカーのNestを買収したが、Android TVプラットフォームによるスマートサーモスタットとの連携は既にヨーロッパでは始まっており、製品も発売されている。フィリップスのテレビも、Android TV上で「MyLive Guard」アプリを起動すると、ホームセキュリティやホームオートメーションなど、利用できる機能のメニュー一覧が起ち上がり、宅内照明器具のコントロールやスマートロックによる施錠管理がスマートテレビ経由で行えるようになる。このあたりの機能も、Android TVのオープンなプラットフォームの特徴をベースにした、フィリップス製品のストロングポイントとしてHarmsen氏が強調する部分だ。
4Kはアプコン回路を内蔵する独自の映像エンジン「PerfectPixcel UHD Engine」を搭載し、テレビ放送やBlu-rayも高精細に楽しめる。ヨーロッパではNetflixが4K映像配信を始めており、ドイツのVODサービスプロバイダーであるMaxdome(マックスドーム)が年内に4K配信のサービスインを予定しているという。なおHDR(ハイダイナミックレンジ)については第1弾のモデルとして発売される38機種は非対応。今年の後半以降に発売を予定する4K対応の上位機種についても未定だが、「将来的には市場の動きを見ながら対応していく考え」(Harmsen氏)であるという。
ほかにもフィリップスのテレビ製品を特徴を際立たせる独自機能のひとつに「Ambilight(アンビライト)」がある。これは画面に映し出される映像を解析し、本体の外周に配置されたLEDランプの色と明るさを調節することで映像の視聴感を高めるオリジナル機能で、2004年にフィリップスが発売したテレビから搭載が始まり、以後今日まで進化を続けてきた。今年発売されるテレビは、LEDの配置と数、アルゴリズムを見直しながら新しいモードを追加した。Android TVで提供されるゲームコンテンツの映像をより快適に楽しむために「ゲーミングモード」が加わった。またGoogle Play MusicやSpotifyなど音楽系アプリのコンテンツをテレビで楽しむ機会が増えることも想定し「ミュージックモード」も追加されている。画面に表示される映像ではなく、音楽に連動してLEDを点灯させるという、これまでのAmbilightの役割を拡張するアプローチが面白い。
「今年のスマートテレビのラインナップはデザインも一新する」とHarmsen氏。会場に展示された7600シリーズは「4Kの映像が宙に浮かんでいるようなデザインを狙った」という、ベゼルを狭額化しながらスタンドをボトムの両サイドに配置したミニマルなデザインを特徴として謳う。ベゼルやスタンドにリアルメタルをあしらった、ヨーロッパのクラフツマンシップにも注目して欲しいとHarmsen氏は語る。
他にもWi-FiやDLNA機能をビルトインした点や、ヨーロッパ市場向けのテレビとしてはめずらしい、HDDなど外付記憶媒体へのテレビ録画機能なども充実する。全方位での機能強化を行っていることが、フィリップスのAndroid採用スマートテレビ“第2世代”モデルの優位性だ。