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公開日 2018/06/29 18:35
RME「Digiface AVB」が対応する、次世代伝送方式「AVB」とは?/オーディオ向け新DACも
RMEの新製品をレポート
(株)シンタックスジャパンは、同社が取り扱うRMEについて、768kHz/24bit対応の単体DAC「ADI-2 DAC」やAD/DAコンバーター「ADI-2 Pro FS」、そして今回の日本での発表会が初めての発表となるMADI/AVBコンバーター「M-32 Proシリーズ」を始めとした新製品群をさる2018年6月13日に発表した。
発表された製品については本稿後半をご覧いただくとして、ここで特に注目したいキーワードが「AVB」という規格である。
AVBは正式名称を「IEEE 802.1 AVB」という。AVBとは「Audio Video Bridge(オーディオ・ビデオ・Bridge)」の意味で、アメリカの電子工学・電子工学技術の学会であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.=電気電子技術者協会)によって制定された。ちなみに、かつてオーディオインターフェースの伝送規格として主流だったFireWireや家庭用AV機器に採用されたi.LINKも、IEEEによって定められた規格だった。
AVB方式を端的に言えば、家庭内のオーディオ機器やビジュアル機器をパソコンに接続して、ハイクオリティな音楽や動画をストリームするための方式を規定するものである。
AVB方式のポイントは、通信にはあくまでイーサネットを活用するということだ。イーサネットは、汎用性や構築費用が廉価であること、伝送速度、取り扱いやすさ、伝送距離、電力供給面など、家庭内のマルチメディア機器接続に用いる上で必要な要素をひと通り備えていると言える。ここにマルチメディア伝送を行う仕組みを追加して、家庭内の機器を全て収容する「ユニバーサル・リンク」を提供するのがAVB方式の目的となる。
イーサネットを活用した伝送規格はこれまでも登場してきた。現在もプロオーディオの世界で注目されるAES 67準拠のAUDIO Oevr IP規格として「Dante」や「Ravenna」などだ。これらの規格とAVBの最も大きな違いは、AVBが映像まで視野に入れた規格であるということだ。音楽であれ映像であれ最終的には視聴者のもとに届くわけで、その伝送において双方が同規格で統一されれば、利便性と拡張性の両面でアドバンテージとなる。
AES67を規定するAES(Audio Engineering Society)も、「AVBはネットワーク伝送に必要な要件を収めた非常に優れた規格」と述べている。さらにはアメリカ・カリフォルニア州に本拠をおく世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社 シスコシステムズも、「次世代ネットワーク伝送のあるべき姿」としてAVBが持つその優位性を高く評価する。
AVB方式そのものは、2011年に登場したMac OS「Lion」で実装されていた。本サイトでも、当時海上忍氏がその概要を解説している(関連リンク)。
それから7年の時を経たいま、iMac Proでは10GBもの伝送容量を誇るAVB方式の伝送に対応したイーサネットを備えるまでとなった。先日、RMEが発表した製品のなかには、Digiface AVBや冒頭に名前を出したM-32 ProシリーズといったAVB対応機もあった。実はAVBは、Mac OS環境であれば特にオーディオインターフェースを必要とせず伝送をすることができる。注目すべきは、Digiface AVBはWindows環境にてAVBプロトコル・スタックを使ったオーディオ伝送の管理を実現するということだ。つまりこれら製品の登場は、AVBに収める音声を扱うにあたり、制作面とは切っても切り離せないOSの自由度が広がったことを意味する。
ここにきてAVB方式が注目を集める背景には、長らくAVB方式が発展途上だったということがある。この間に目まぐるしく変化と進化を繰り返してきたが、ここに来てAVB方式は今後の伝送方式のスタンダードとしての存在感を示し始めている。
ここで思い出されるのが、RMEの開発スタンスである。以前、同社のファウンダーであり現会長であるマティアス・カーステンズ氏にインタビューした際に次のようなことを話していた。
「音楽にとって、必要と思われることしかRMEはやらない。音楽に必要なものであれば最高峰の技術とサウンドを持った製品を生み出すのがRMEの設計ポリシーです」。
思えば、RMEはいち早く192kHz/24bitに対応したUSBオーディオインターフェースを市場に送り出し、光ファイバーによる長距離伝送規格MADIを採用したインターフェースを開発するなど、市場においてその後のキーとなった製品を生み出してきた実績がある。この言葉を額面通りに捉えるのであれば、AVBも今後、音楽にとって必要な環境になっていくはずだ。
ちなみに、AVBを規定する団体である「Avnu Alliance」には、RMEのような音響機器メーカーのほか、BMWやGMといった自動車メーカーもその名を連ねる。自動運転が進む自動車業界では、車内エンタテイメント(カー・インフォテイメント)の在り方に根本的な変革が訪れているのはご存知のとおりだ。今後5Gなどの大容量伝送が可能となれば、AVBは車載の領域でも大きなアドバンテージを持つことになる。
今回発表されたRMEの製品は、そんなAVB方式の可能性を飛躍させるものであるのではないか、ということが今回の発表会で強く印象に残った。
まだまだ、一般的なオーディオファンには馴染みが薄いでAVBだが、その動向には今後大きく注目すべきだろう。
発表された製品については本稿後半をご覧いただくとして、ここで特に注目したいキーワードが「AVB」という規格である。
AVBは正式名称を「IEEE 802.1 AVB」という。AVBとは「Audio Video Bridge(オーディオ・ビデオ・Bridge)」の意味で、アメリカの電子工学・電子工学技術の学会であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.=電気電子技術者協会)によって制定された。ちなみに、かつてオーディオインターフェースの伝送規格として主流だったFireWireや家庭用AV機器に採用されたi.LINKも、IEEEによって定められた規格だった。
AVB方式を端的に言えば、家庭内のオーディオ機器やビジュアル機器をパソコンに接続して、ハイクオリティな音楽や動画をストリームするための方式を規定するものである。
AVB方式のポイントは、通信にはあくまでイーサネットを活用するということだ。イーサネットは、汎用性や構築費用が廉価であること、伝送速度、取り扱いやすさ、伝送距離、電力供給面など、家庭内のマルチメディア機器接続に用いる上で必要な要素をひと通り備えていると言える。ここにマルチメディア伝送を行う仕組みを追加して、家庭内の機器を全て収容する「ユニバーサル・リンク」を提供するのがAVB方式の目的となる。
イーサネットを活用した伝送規格はこれまでも登場してきた。現在もプロオーディオの世界で注目されるAES 67準拠のAUDIO Oevr IP規格として「Dante」や「Ravenna」などだ。これらの規格とAVBの最も大きな違いは、AVBが映像まで視野に入れた規格であるということだ。音楽であれ映像であれ最終的には視聴者のもとに届くわけで、その伝送において双方が同規格で統一されれば、利便性と拡張性の両面でアドバンテージとなる。
AES67を規定するAES(Audio Engineering Society)も、「AVBはネットワーク伝送に必要な要件を収めた非常に優れた規格」と述べている。さらにはアメリカ・カリフォルニア州に本拠をおく世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社 シスコシステムズも、「次世代ネットワーク伝送のあるべき姿」としてAVBが持つその優位性を高く評価する。
AVB方式そのものは、2011年に登場したMac OS「Lion」で実装されていた。本サイトでも、当時海上忍氏がその概要を解説している(関連リンク)。
それから7年の時を経たいま、iMac Proでは10GBもの伝送容量を誇るAVB方式の伝送に対応したイーサネットを備えるまでとなった。先日、RMEが発表した製品のなかには、Digiface AVBや冒頭に名前を出したM-32 ProシリーズといったAVB対応機もあった。実はAVBは、Mac OS環境であれば特にオーディオインターフェースを必要とせず伝送をすることができる。注目すべきは、Digiface AVBはWindows環境にてAVBプロトコル・スタックを使ったオーディオ伝送の管理を実現するということだ。つまりこれら製品の登場は、AVBに収める音声を扱うにあたり、制作面とは切っても切り離せないOSの自由度が広がったことを意味する。
ここにきてAVB方式が注目を集める背景には、長らくAVB方式が発展途上だったということがある。この間に目まぐるしく変化と進化を繰り返してきたが、ここに来てAVB方式は今後の伝送方式のスタンダードとしての存在感を示し始めている。
ここで思い出されるのが、RMEの開発スタンスである。以前、同社のファウンダーであり現会長であるマティアス・カーステンズ氏にインタビューした際に次のようなことを話していた。
「音楽にとって、必要と思われることしかRMEはやらない。音楽に必要なものであれば最高峰の技術とサウンドを持った製品を生み出すのがRMEの設計ポリシーです」。
思えば、RMEはいち早く192kHz/24bitに対応したUSBオーディオインターフェースを市場に送り出し、光ファイバーによる長距離伝送規格MADIを採用したインターフェースを開発するなど、市場においてその後のキーとなった製品を生み出してきた実績がある。この言葉を額面通りに捉えるのであれば、AVBも今後、音楽にとって必要な環境になっていくはずだ。
ちなみに、AVBを規定する団体である「Avnu Alliance」には、RMEのような音響機器メーカーのほか、BMWやGMといった自動車メーカーもその名を連ねる。自動運転が進む自動車業界では、車内エンタテイメント(カー・インフォテイメント)の在り方に根本的な変革が訪れているのはご存知のとおりだ。今後5Gなどの大容量伝送が可能となれば、AVBは車載の領域でも大きなアドバンテージを持つことになる。
今回発表されたRMEの製品は、そんなAVB方式の可能性を飛躍させるものであるのではないか、ということが今回の発表会で強く印象に残った。
まだまだ、一般的なオーディオファンには馴染みが薄いでAVBだが、その動向には今後大きく注目すべきだろう。