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公開日 2019/01/11 12:09
<CES>ゼンハイザー、新イヤホン「AMBEO AR One」が提案するユニークなARオーディオ体験
本国担当者に開発意図を聞いた
ドイツのプレミアムヘッドホンブランド、ゼンハイザーはCESの常連だ。2019年のブースでは特に独自の立体音響技術「AMBEO(アンビオ)」にスポットを当てて紹介している。注目の新製品は、ARヘッドセット「Magic Leap」と共同開発したイヤホン「AMBEO AR One」だ。
AMBEO AR OneはMagic Leapの公式リスニングアクセサリーとして開発されたイヤホン。販売もMagic Leapの販路に限定して、2018年11月に発売されて以降、当面は北米地域のみで展開されている。価格は250ドル(約2.6万円)。
Magic Leapの製品「Magic Leap One Creator Edition」は、透過型ディスプレイを採用するアイウェアタイプのARヘッドセットで、こちらは2018年の夏から北米で販売を開始している。NVIDIAのCPU/GPUを採用しており、ヘッドセットと専用端末をケーブルでつないで片手コントローラーで操作する。
オーディオ出力は本体に内蔵するスピーカー、または3.5mmイヤホンジャック経由になる。ゼンハイザーのAMBEO AR Oneは、日本では2018年5月に発売されたiOSデバイスにLightningで接続して、動画にバイノーラル音声トラックを録音できる「AMBEO Smart Headset」をベースにしている。Magic Leapとの接続は3.5mmのアナログイヤホン端子だ。
モバイルアプリ「AMBEO Augumented Audio Lab app」を使うと、ゼンハイザーオリジナルのARオーディオコンテンツが楽しめるほか、本体の設定や音場効果のカスタマイズなどができる。
AMBEO AR Oneが特徴として掲げる点は3つある。ひとつが本体のボタンで効果を切り替えられる「外音取り込み」だ。左右のイヤホンに搭載されているマイクを使って、外部の環境音をモニタリングする。
もうひとつは、通常のシリコンイヤーピースの他にも付属するComplyのイヤーピースによって高い遮音性が得られること。イヤホンのハウジングは密閉構造なので、外音取り込みの機能をオフにすると、ユーザーは外部からの環境音に気を散らさずに、ゲームや音楽のコンテンツに没入できる。
最後のポイントは、軽くて快適な装着感を実現したこと。アメリカではMagic Leapと別々に購入もできるので、通常の音楽リスニング用のイヤホンとしても高い性能をいかんなく発揮する。なおバッテリーはフル充電から連続16時間のリスニングに対応している。
今回、ゼンハイザーで本機の開発を指揮したVeronique Larcher氏に開発の意図を聞いた。
ゼンハイザーはコンシューマーオーディオのブランドとしての顔以外にも、マイクロフォンやワイヤレス通信技術を活かしたステージ向けのオーディオ機器などプロフェッショナルの分野にも輝かしい実績を持つブランドだ。立体音響の技術についても長年に渡って蓄積してきたノウハウがある。
それを基点に「Sennheiser 3D Immersive Audio」として、独自にオブジェクトベースの立体音響技術を開発し始め、2015年 - 2016年ごろに「AMBEO」としてブランディングを開始。これまでに360度音場をキャプチャできる、いわばAR体験の音の“入口”となるマイクロフォン「AMBEO VR MIC」が商品化され、AMBEO Smart Headsetを経て、3番目の製品がAMBEO AR Oneになる。
「このヘッドセットはゼンハイザーが提案してきた、ARオーディオ・エンタテインメントを手軽に楽しむ世界観を初めて形にできたマイルストーンである」とLarcher氏は胸を張る。開発が始まったきっかけは、ゼンハイザーと米Magic Leap社のCEO同士が出会い、Magic LeapのCEOがゼンハイザーの機材を評価用として愛用していたことから意気投合。そこからAMBEO Smart Headsetをベースに、電光石火のスピード感と柔軟性で“コラボモデル”を作ってしまったというわけだ。
CES 2019の会場では、ゼンハイザーがMagic Leapで楽しむために開発した“AR音ゲー”の「AMBEO Augmented Audio Lab for Magic Leap」を体験できた。ヘッドセットとAR Oneを装着して、AR空間に浮かぶ音のオブジェクトを操作しながら直感的に音楽トラックがつくれるという、音楽のクリエーターを支えてきたゼンハイザーらしいARアプリだ。そのイメージはYouTubeにも公開されている。
オーディオオブジェクトのトラッキング処理についてはMagic Leapの製品側のプロセッサーで行っている。AMBEOのイヤホンは心地良いARオーディオの没入感が体験できるように、高い遮音性、あるいは外音取り込み機能を提供するという補完関係にある。
実は一般的な3.5mmアナログ音声ステレオミニ端子を使っているので、スマホやオーディオプレーヤーなどにつなげて音楽リスニング用のイヤホンとしても使えてしまうようだが、オリジナルのARアプリはMagic Leapのプラットフォームでのみ配信されている。
ゼンハイザーではAMBEOの開発によって培ってきた立体音響のノウハウを活かしながら、Magic Leap以外にも多くのパートナーとARオーディオの世界を体験するためのアプリ開発を進めているとLarcher氏が語っている。AMBEOのエコシステムは順調にテイクオフを遂げて、いま着実に広がっているようだ。
そしてCESには5.1.4ch対応サウンドバー「AMBEO Soundbar」の最終試作機も展示され、体験デモを行っていた。本機もいよいよ2019年5月に欧州・アメリカから販売がスタートすることが決まり、価格も2,499ドル(約27万円)に落ち着いたという。
本機については、実はDolby Audio/DTS:Xのほか、ソニーが発表した「360 Reality Audio」がベースにしている立体音響フォーマットのMPEG-H 3D Audioとの互換性があるようだ。Chromecast built-Inにも対応して、Googleアシスタントを搭載するスマートデバイスを経由して間接的に音声コントロールもできるらしい。つまりWi-Fi機能を搭載している。
ソニーの360 Reality AudioがCESの時点ではまだ技術の概略までしか発表されていないので、他社製品との互換性についてまではまだ何とも言えないが、本機は360 Reality Audioの音声ストリームを直接受けて楽しめるワンボックススピーカーということになるかもしれない。
Larcher氏は、今後ゼンハイザーは音楽に映画、ゲーミングまで幅広い分野に渡ってARオーディオの魅力を提案していきたいと語っていた。変革しながら広がるゼンハイザーのビジネスにこれからも注目したいと思う。
AMBEO AR OneはMagic Leapの公式リスニングアクセサリーとして開発されたイヤホン。販売もMagic Leapの販路に限定して、2018年11月に発売されて以降、当面は北米地域のみで展開されている。価格は250ドル(約2.6万円)。
Magic Leapの製品「Magic Leap One Creator Edition」は、透過型ディスプレイを採用するアイウェアタイプのARヘッドセットで、こちらは2018年の夏から北米で販売を開始している。NVIDIAのCPU/GPUを採用しており、ヘッドセットと専用端末をケーブルでつないで片手コントローラーで操作する。
オーディオ出力は本体に内蔵するスピーカー、または3.5mmイヤホンジャック経由になる。ゼンハイザーのAMBEO AR Oneは、日本では2018年5月に発売されたiOSデバイスにLightningで接続して、動画にバイノーラル音声トラックを録音できる「AMBEO Smart Headset」をベースにしている。Magic Leapとの接続は3.5mmのアナログイヤホン端子だ。
モバイルアプリ「AMBEO Augumented Audio Lab app」を使うと、ゼンハイザーオリジナルのARオーディオコンテンツが楽しめるほか、本体の設定や音場効果のカスタマイズなどができる。
AMBEO AR Oneが特徴として掲げる点は3つある。ひとつが本体のボタンで効果を切り替えられる「外音取り込み」だ。左右のイヤホンに搭載されているマイクを使って、外部の環境音をモニタリングする。
もうひとつは、通常のシリコンイヤーピースの他にも付属するComplyのイヤーピースによって高い遮音性が得られること。イヤホンのハウジングは密閉構造なので、外音取り込みの機能をオフにすると、ユーザーは外部からの環境音に気を散らさずに、ゲームや音楽のコンテンツに没入できる。
最後のポイントは、軽くて快適な装着感を実現したこと。アメリカではMagic Leapと別々に購入もできるので、通常の音楽リスニング用のイヤホンとしても高い性能をいかんなく発揮する。なおバッテリーはフル充電から連続16時間のリスニングに対応している。
今回、ゼンハイザーで本機の開発を指揮したVeronique Larcher氏に開発の意図を聞いた。
ゼンハイザーはコンシューマーオーディオのブランドとしての顔以外にも、マイクロフォンやワイヤレス通信技術を活かしたステージ向けのオーディオ機器などプロフェッショナルの分野にも輝かしい実績を持つブランドだ。立体音響の技術についても長年に渡って蓄積してきたノウハウがある。
それを基点に「Sennheiser 3D Immersive Audio」として、独自にオブジェクトベースの立体音響技術を開発し始め、2015年 - 2016年ごろに「AMBEO」としてブランディングを開始。これまでに360度音場をキャプチャできる、いわばAR体験の音の“入口”となるマイクロフォン「AMBEO VR MIC」が商品化され、AMBEO Smart Headsetを経て、3番目の製品がAMBEO AR Oneになる。
「このヘッドセットはゼンハイザーが提案してきた、ARオーディオ・エンタテインメントを手軽に楽しむ世界観を初めて形にできたマイルストーンである」とLarcher氏は胸を張る。開発が始まったきっかけは、ゼンハイザーと米Magic Leap社のCEO同士が出会い、Magic LeapのCEOがゼンハイザーの機材を評価用として愛用していたことから意気投合。そこからAMBEO Smart Headsetをベースに、電光石火のスピード感と柔軟性で“コラボモデル”を作ってしまったというわけだ。
CES 2019の会場では、ゼンハイザーがMagic Leapで楽しむために開発した“AR音ゲー”の「AMBEO Augmented Audio Lab for Magic Leap」を体験できた。ヘッドセットとAR Oneを装着して、AR空間に浮かぶ音のオブジェクトを操作しながら直感的に音楽トラックがつくれるという、音楽のクリエーターを支えてきたゼンハイザーらしいARアプリだ。そのイメージはYouTubeにも公開されている。
オーディオオブジェクトのトラッキング処理についてはMagic Leapの製品側のプロセッサーで行っている。AMBEOのイヤホンは心地良いARオーディオの没入感が体験できるように、高い遮音性、あるいは外音取り込み機能を提供するという補完関係にある。
実は一般的な3.5mmアナログ音声ステレオミニ端子を使っているので、スマホやオーディオプレーヤーなどにつなげて音楽リスニング用のイヤホンとしても使えてしまうようだが、オリジナルのARアプリはMagic Leapのプラットフォームでのみ配信されている。
ゼンハイザーではAMBEOの開発によって培ってきた立体音響のノウハウを活かしながら、Magic Leap以外にも多くのパートナーとARオーディオの世界を体験するためのアプリ開発を進めているとLarcher氏が語っている。AMBEOのエコシステムは順調にテイクオフを遂げて、いま着実に広がっているようだ。
そしてCESには5.1.4ch対応サウンドバー「AMBEO Soundbar」の最終試作機も展示され、体験デモを行っていた。本機もいよいよ2019年5月に欧州・アメリカから販売がスタートすることが決まり、価格も2,499ドル(約27万円)に落ち着いたという。
本機については、実はDolby Audio/DTS:Xのほか、ソニーが発表した「360 Reality Audio」がベースにしている立体音響フォーマットのMPEG-H 3D Audioとの互換性があるようだ。Chromecast built-Inにも対応して、Googleアシスタントを搭載するスマートデバイスを経由して間接的に音声コントロールもできるらしい。つまりWi-Fi機能を搭載している。
ソニーの360 Reality AudioがCESの時点ではまだ技術の概略までしか発表されていないので、他社製品との互換性についてまではまだ何とも言えないが、本機は360 Reality Audioの音声ストリームを直接受けて楽しめるワンボックススピーカーということになるかもしれない。
Larcher氏は、今後ゼンハイザーは音楽に映画、ゲーミングまで幅広い分野に渡ってARオーディオの魅力を提案していきたいと語っていた。変革しながら広がるゼンハイザーのビジネスにこれからも注目したいと思う。