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公開日 2022/11/09 11:47
NTTが音響ブランド「nwm」立ち上げ。独自技術の耳をふさがないイヤホン2機種を発表
独自のPSZ技術を搭載
NTTソノリティは、NTTが開発した耳元だけに音を閉じ込める世界初の「パーソナライズドサウンドゾーン」(以下PSZ)技術などを用いたデバイスやサービスを提供する、NTTグループ初のコンシューマー向け音響ブランド「nwm(ヌーム)」を立ち上げた。
新ブランド設立の狙いについて同社は、リモートワークやWEB会議、音楽や動画のオンライン配信サービスなど、個別のデジタル音声音響コンテンツに触れる機会が増えた現状を踏まえ、「リアルな社会や人との隔絶」が新たな社会課題になっていると指摘。分断ではなく、自分の世界と周囲の世界をシームレスにつなぐために、PSZ技術を軸とした音響製品やサービスを「nwm」を通じて提供するとのこと。
同ブランドの軸となるPSZ技術とは、製品の装着部位から一定の距離で、搭載機のドライバーが発する音波(正相)に対し、逆相の音波を当てることで音波同士を打ち消し合い、周囲の音漏れを防ぐというもの。耳元に小さなカプセルのような音の空間が生まれるため、耳を塞がなくても周囲への音漏れを最小限に防ぐことができる。
この度のブランド新設に合わせ、耳をふさがないイヤホン“パーソナルイヤースピーカー”の有線/無線の各タイプ2機種を発表。PSZ技術が組み込まれ、誰かが話す声や環境音などの「周囲の音」や「自分の声」を遮断せず、“リアルな周囲とつながる”ことを重視したイヤホンになっているとアピールする。
本日から発売を開始する有線タイプの「nwm MWE001」は、12mm径のドライバーユニットを搭載するオープンイヤー構造のイヤホン。価格は8,250円(税込)。現在の取り扱いはAmazonのECサイトのみとのことだが、将来的には量販店での取り扱いを目指すとしている。
ドライバーユニットを耳の上部に配置して離れた位置から音を届ける設計としたことで周囲の音との干渉を防ぎ、PSZ技術の採用によりドライバーが耳から離れているにも関わらず、少ない音漏れを実現した。
音漏れの実測については、PSZ技術を用いたオープンイヤー型イヤホンの耳元の騒音レベルと15cm離れた位置に置いた音漏れ測定マイクの騒音レベルによる比較試験を実施。結果として、耳元では通常イヤホンで音楽を再生する程度の大きさである80dBを観測しながら15cm離れた音漏れ測定マイクでは43dBとなり、「大きく音漏れを低減できている」と同社は強調している。
耳をふさがない着用スタイルのほか、重量は左右で9g(コード含まず)という軽量設計となっており長時間の着用でも快適な装着感を実現すると謳う。付属のテールチップを使用することで耳へのフィット感を向上させることが可能だ。
ケーブル長は約1.2mとなっており、楽曲の再生や一時停止、着信の応答や通話終了が可能なインラインタイプのコントローラー、全指向型のマイクユニットを装備する。周囲の音を聞き取りながらオンライン会議でも自然なコミュニケーションが取れるとアピールしている。
再生周波数帯域は100Hz – 20kHz、出力音圧レベルは84dB、最大入力は40mW、インピーダンスは32Ωとなっている。
無線タイプの「nwm MBE001」は予約販売という形で発売は来春。「Indiegogo」「GREEN FUNDING」で今冬にクラウドファンディングを実施する。搭載ドライバーは有線モデル同様12mmのものを搭載する。
Bluetoothバージョンは5.2となっており、コーデックはSBC/AAC/apt Xに対応予定。連続再生時間は約6時間、バッテリー充電は約2.5時間となる。付属品としてキャリングケースを用意するがバッテリーは非搭載となっている。質量は9.5g(片側)。
本日11月9日、NTTがパートナーを務める「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022」にて、新ブランド「nwm」および上記新製品のメディア向け発表・体験会が開催され、製品の説明に先立ち、日本電信電話株式会社代表取締役・副社長の川添雄彦氏が登壇し、PSZ技術発明の背景と今後の展望を語った。
PSZ技術は、2019年5月より同社が掲げている様々な限界を打破し、大きなイノベーションを実現する「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」の一環として開発された音響技術であると説明する川添氏。どうしても人間目線で考えてしまうテクノロジー開発という分野において、仲間同士にしか聴こえない周波数で“会話”を行うイルカの性質に着目。これまでの常識から離れ、全く違う世界観でこの課題に向き合った結果「特定箇所への音場定位」を実現させることができたという。
「NTTはPSZ技術に社会や人々の暮らしを大きく変える可能性を強く感じた」と語り、本技術のみをフィーチャーした新会社として2021年にNTTソノリティを設立。この度の音響ブランドnwmの始動に当たっては「音響ブランドでいうならBOSE、それをNTTが別の形で実現したい」と今後の展開に意気込みを示した。
続いて、技術ならびに製品についてNTTソノリティ株式会社代表取締役社長の坂井博氏がステージに登壇。PSZ技術は、オープン型の構造でありながら音を閉じ込める「究極の矛盾」を両立させる世界初の技術であると改めてアピール。「特定の空間内へ音を閉じ込めるという技術は、音響技術に携わるエンジニアの長年の夢だった」と本技術に掛ける想いを訴えた。
「特定箇所への音場定位」は、これまで非常に複雑な信号処理によるアプローチで考えられており、なかなか実現することができなかったと述懐。しかし、PSZ技術における“音の基本原理を再発見して利用する”という常識にとらわれない発想の転換から実現することができたと説明した。
ある音の波に対して、逆相である180度反対の音波を当てることで、音波同士が打ち消し合う性質に着目。通常のスピーカーは音の伝播を良くするため、ユニットを箱(キャビネット)の中に配置し、背面からの逆相音波を抑制する。一方、PSZ技術では、ユニットの背面から出る逆相音波を、音を一定の範囲に閉じ込めるために積極的に活用しているとのこと。
この原理をもとに、何百回にわたるトライアンドエラーの末に完成したハードウェアとソフトウェアによる干渉制御を行うことで「オープン型の構造でありながら音を閉じ込める技術」の完成に至った。この技術をブラッシュアップし、製品化して音による新しいコミュニケーションの形を提供するために設立されたのがNTTソノリティだ。
NTTソノリティは「音のインフラ企業」というコンセプトの下、NTTグループ内では珍しいメーカー機能を有する企業として、先進的な音響技術を活用したデバイス開発や音や音響機器にまつわる問題の解決に取り組んでいくとアピール。その流れで生まれたのがNTT初のコンシューマー向け音響ブランド「nwm」である。ブランド名は、新しい音の波を生み出し、世界中に届けたい(New Wave Maker)との思いから名付けられた。
メーカーとしての目標は「リモートワークシーンにおいて一番選ばれる音響ブランドになること。率先してリモートワークを実践し“リモートスタンダード”を掲げてきたNTTグループだからこそ、リモートワークでの音環境を技術で改善していきたい」と力を込める。
ライフスタイルの変化にあわせ、ワイヤレスイヤホン市場は2025年には4兆円規模になると予想されているが、同社の調べによると全体の10%のユーザーが密閉型のイヤホンに強い嫌悪を感じている。これに伴い潜在的なオープンイヤー市場は4000億円に到達すると予想され、グローバル市場を視野に、2025年度までにオープンイヤー型イヤホン市場でシェア10%を獲得する「大いなる挑戦」の達成を目指す。
今回発表の製品はまず日本で展開されるが、グローバル展開においては伊藤忠商事と業務提携をして進めていくとのこと。今後はPSZ技術を用いて、美術館や歌舞伎での音声ガイダンス、多言語が交わる国際会議での翻訳を含めた実用、実際にデモ展示を行った音の出る座席、音漏れのないミーティングスペースなど、耳に装着する形状や音響製品というコンセプトに縛られない製品開発も進めていくと展望を語った。
新ブランド設立の狙いについて同社は、リモートワークやWEB会議、音楽や動画のオンライン配信サービスなど、個別のデジタル音声音響コンテンツに触れる機会が増えた現状を踏まえ、「リアルな社会や人との隔絶」が新たな社会課題になっていると指摘。分断ではなく、自分の世界と周囲の世界をシームレスにつなぐために、PSZ技術を軸とした音響製品やサービスを「nwm」を通じて提供するとのこと。
同ブランドの軸となるPSZ技術とは、製品の装着部位から一定の距離で、搭載機のドライバーが発する音波(正相)に対し、逆相の音波を当てることで音波同士を打ち消し合い、周囲の音漏れを防ぐというもの。耳元に小さなカプセルのような音の空間が生まれるため、耳を塞がなくても周囲への音漏れを最小限に防ぐことができる。
この度のブランド新設に合わせ、耳をふさがないイヤホン“パーソナルイヤースピーカー”の有線/無線の各タイプ2機種を発表。PSZ技術が組み込まれ、誰かが話す声や環境音などの「周囲の音」や「自分の声」を遮断せず、“リアルな周囲とつながる”ことを重視したイヤホンになっているとアピールする。
本日から発売を開始する有線タイプの「nwm MWE001」は、12mm径のドライバーユニットを搭載するオープンイヤー構造のイヤホン。価格は8,250円(税込)。現在の取り扱いはAmazonのECサイトのみとのことだが、将来的には量販店での取り扱いを目指すとしている。
ドライバーユニットを耳の上部に配置して離れた位置から音を届ける設計としたことで周囲の音との干渉を防ぎ、PSZ技術の採用によりドライバーが耳から離れているにも関わらず、少ない音漏れを実現した。
音漏れの実測については、PSZ技術を用いたオープンイヤー型イヤホンの耳元の騒音レベルと15cm離れた位置に置いた音漏れ測定マイクの騒音レベルによる比較試験を実施。結果として、耳元では通常イヤホンで音楽を再生する程度の大きさである80dBを観測しながら15cm離れた音漏れ測定マイクでは43dBとなり、「大きく音漏れを低減できている」と同社は強調している。
耳をふさがない着用スタイルのほか、重量は左右で9g(コード含まず)という軽量設計となっており長時間の着用でも快適な装着感を実現すると謳う。付属のテールチップを使用することで耳へのフィット感を向上させることが可能だ。
ケーブル長は約1.2mとなっており、楽曲の再生や一時停止、着信の応答や通話終了が可能なインラインタイプのコントローラー、全指向型のマイクユニットを装備する。周囲の音を聞き取りながらオンライン会議でも自然なコミュニケーションが取れるとアピールしている。
再生周波数帯域は100Hz – 20kHz、出力音圧レベルは84dB、最大入力は40mW、インピーダンスは32Ωとなっている。
無線タイプの「nwm MBE001」は予約販売という形で発売は来春。「Indiegogo」「GREEN FUNDING」で今冬にクラウドファンディングを実施する。搭載ドライバーは有線モデル同様12mmのものを搭載する。
Bluetoothバージョンは5.2となっており、コーデックはSBC/AAC/apt Xに対応予定。連続再生時間は約6時間、バッテリー充電は約2.5時間となる。付属品としてキャリングケースを用意するがバッテリーは非搭載となっている。質量は9.5g(片側)。
「音響ブランドでいうならBOSE」NTTの音響ブランドに掛けた思い
本日11月9日、NTTがパートナーを務める「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022」にて、新ブランド「nwm」および上記新製品のメディア向け発表・体験会が開催され、製品の説明に先立ち、日本電信電話株式会社代表取締役・副社長の川添雄彦氏が登壇し、PSZ技術発明の背景と今後の展望を語った。
PSZ技術は、2019年5月より同社が掲げている様々な限界を打破し、大きなイノベーションを実現する「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」の一環として開発された音響技術であると説明する川添氏。どうしても人間目線で考えてしまうテクノロジー開発という分野において、仲間同士にしか聴こえない周波数で“会話”を行うイルカの性質に着目。これまでの常識から離れ、全く違う世界観でこの課題に向き合った結果「特定箇所への音場定位」を実現させることができたという。
「NTTはPSZ技術に社会や人々の暮らしを大きく変える可能性を強く感じた」と語り、本技術のみをフィーチャーした新会社として2021年にNTTソノリティを設立。この度の音響ブランドnwmの始動に当たっては「音響ブランドでいうならBOSE、それをNTTが別の形で実現したい」と今後の展開に意気込みを示した。
目標は「リモートワークシーンにおいて一番選ばれる音響ブランドになること」
続いて、技術ならびに製品についてNTTソノリティ株式会社代表取締役社長の坂井博氏がステージに登壇。PSZ技術は、オープン型の構造でありながら音を閉じ込める「究極の矛盾」を両立させる世界初の技術であると改めてアピール。「特定の空間内へ音を閉じ込めるという技術は、音響技術に携わるエンジニアの長年の夢だった」と本技術に掛ける想いを訴えた。
「特定箇所への音場定位」は、これまで非常に複雑な信号処理によるアプローチで考えられており、なかなか実現することができなかったと述懐。しかし、PSZ技術における“音の基本原理を再発見して利用する”という常識にとらわれない発想の転換から実現することができたと説明した。
ある音の波に対して、逆相である180度反対の音波を当てることで、音波同士が打ち消し合う性質に着目。通常のスピーカーは音の伝播を良くするため、ユニットを箱(キャビネット)の中に配置し、背面からの逆相音波を抑制する。一方、PSZ技術では、ユニットの背面から出る逆相音波を、音を一定の範囲に閉じ込めるために積極的に活用しているとのこと。
この原理をもとに、何百回にわたるトライアンドエラーの末に完成したハードウェアとソフトウェアによる干渉制御を行うことで「オープン型の構造でありながら音を閉じ込める技術」の完成に至った。この技術をブラッシュアップし、製品化して音による新しいコミュニケーションの形を提供するために設立されたのがNTTソノリティだ。
NTTソノリティは「音のインフラ企業」というコンセプトの下、NTTグループ内では珍しいメーカー機能を有する企業として、先進的な音響技術を活用したデバイス開発や音や音響機器にまつわる問題の解決に取り組んでいくとアピール。その流れで生まれたのがNTT初のコンシューマー向け音響ブランド「nwm」である。ブランド名は、新しい音の波を生み出し、世界中に届けたい(New Wave Maker)との思いから名付けられた。
メーカーとしての目標は「リモートワークシーンにおいて一番選ばれる音響ブランドになること。率先してリモートワークを実践し“リモートスタンダード”を掲げてきたNTTグループだからこそ、リモートワークでの音環境を技術で改善していきたい」と力を込める。
ライフスタイルの変化にあわせ、ワイヤレスイヤホン市場は2025年には4兆円規模になると予想されているが、同社の調べによると全体の10%のユーザーが密閉型のイヤホンに強い嫌悪を感じている。これに伴い潜在的なオープンイヤー市場は4000億円に到達すると予想され、グローバル市場を視野に、2025年度までにオープンイヤー型イヤホン市場でシェア10%を獲得する「大いなる挑戦」の達成を目指す。
今回発表の製品はまず日本で展開されるが、グローバル展開においては伊藤忠商事と業務提携をして進めていくとのこと。今後はPSZ技術を用いて、美術館や歌舞伎での音声ガイダンス、多言語が交わる国際会議での翻訳を含めた実用、実際にデモ展示を行った音の出る座席、音漏れのないミーティングスペースなど、耳に装着する形状や音響製品というコンセプトに縛られない製品開発も進めていくと展望を語った。