公開日 2009/03/04 12:06
“オール新潟”の実力やいかに − Formyselfのアンプ/スピーカーを試す
県内の技術を総動員
書き出しから私事になるが、記者は新潟県長岡市で生まれ、高校卒業までの18年間を過ごした。最近では中越地震によって、不幸なかたちでクローズアップされた長岡だが、日本有数の豪雪地帯でもあるこの町は、最近では大河ドラマ「天地人」の舞台の一つとしても注目を集めている(と長岡の人は信じている)。
わざわざこんな事を書いたのは、今回紹介する「Formyself」ブランドを展開するショップ、(有)セレクション越後屋が長岡市に店舗を構えているからだ。
地方の疲弊が叫ばれて久しいが、長岡市もその例に漏れない。最近では駅前の大通りもどんどんシャッター通り化し、閉鎖されたビルや店舗を、市が次々に買い上げている始末。とにかく街全体に活気がないのだ。そんなところから新製品の情報が届いたのは意外であり、新鮮な驚きを感じた。しかもショップの住所を見ると、記者が高校の帰り際、毎日のようにたむろしていた友人宅から、歩いて数分のところにある。俄然興味が湧いた。
■“オール新潟”の技術で作り上げられた製品
Formyselfの小型オーディオアンプ「FMS2009001」とスピーカー「FMS2009002」(関連ニュース)は、長岡だけでなく、新潟県内の技術がふんだんに採用された製品だ。
アンプの外板はステンレスで、ポリッシュ加工は新潟市西蒲区の小林研業が担当している。なおこの会社は、現在世界で最も売れているポータブルオーディオプレーヤーの鏡面仕上げを担当したとされていることでも有名だ。
スピーカーについては、バックロードスピーカーで有名な新潟県三条市の(株)長谷弘工業の代表・長谷川安衛氏がユニットをチューニング。さらに、底面のバスレフパイプは新潟市のNeb Tune代表の根布征義氏の協力を得た。ほかにも、スピーカーのエンクロージャー素材は長岡市の安達紙器工業(株)が製造したバルカナイズトファイバーで、接着や加工は長岡市の新潟タキロン加工(株)が行った。さらに、最終のアッセンブルに協力したのは上越市のウエタックス(株)だ。
Formyselfの製品は、まさに“オール新潟"の技術で作り上げられているのだ。これを知って思わず元新潟県民の血が騒ぎ、ぜひ音を聴いてみたくなった。
■音質インプレッション
製品のプロフィールはニュース記事を参照いただくとして、さっそく自宅での試用/試聴インプレッションに移ろう。
箱から製品を取り出してみると、まずアンプの小型さ、シンプルな意匠にあらためて驚かされる。印字類が一切無いミニマルなデザインで、ポリッシュ加工のレベルの高さは言うまでもない。iPodの鏡面仕上げと同様に指紋は付きやすいが、ポータブル機と違って頻繁に触るものではないので問題にはならないだろう。アンプの外観には非常に好感を持った。
なお、スピーカー端子は背面に、RCA/USB端子は左側面に装備しているのだが、正面から見た際にケーブル類が丸見えになってしまうので、この端子の配置は少々気になった。小型化やケーブルの脱着のしやすさを優先したのはわかるが、できれば背面に端子類を集中させてほしかった。なお本機にはデジタルアンプとアナログアンプの2つが内蔵されており、RCA入力はアナログアンプで、USB入力はデジタルアンプでそれぞれ出力を行う。
スピーカーは一転してオーソドックスな外観。バッフルの下にブランド名のバッジが装着されている。ただし5cmのユニットを2基搭載しているのは、この手のスピーカーの構成としては珍しい。このスピーカーには大きな特徴が二つあり、一つは吸音材を一切使用していない点。もう一つはバスレフポートが底面に設けられている点だ。
それでは音を聴いてみよう。まずはiPodのアナログ出力を、ステレオミニ-RCAケーブルでアンプに接続し、アナログアンプの音を試してみた。もちろんiPodのD/A変換能力に依存する部分もあるが、レンジはさほど広くない。低音の力強さも不足気味で、バスドラムなどに歪みも感じた。分解能も高いとは言えない。物量が物を言うアナログアンプの音は、同価格帯のプリメインアンプなどと比べ明らかに力不足だ。ただし低音については、前述したとおりバスレフポートが底面に設けられているので、下に敷く材質を変えたり、インシュレーターなどを使ったりすれば改善は可能だろう。
わざわざこんな事を書いたのは、今回紹介する「Formyself」ブランドを展開するショップ、(有)セレクション越後屋が長岡市に店舗を構えているからだ。
地方の疲弊が叫ばれて久しいが、長岡市もその例に漏れない。最近では駅前の大通りもどんどんシャッター通り化し、閉鎖されたビルや店舗を、市が次々に買い上げている始末。とにかく街全体に活気がないのだ。そんなところから新製品の情報が届いたのは意外であり、新鮮な驚きを感じた。しかもショップの住所を見ると、記者が高校の帰り際、毎日のようにたむろしていた友人宅から、歩いて数分のところにある。俄然興味が湧いた。
■“オール新潟”の技術で作り上げられた製品
Formyselfの小型オーディオアンプ「FMS2009001」とスピーカー「FMS2009002」(関連ニュース)は、長岡だけでなく、新潟県内の技術がふんだんに採用された製品だ。
アンプの外板はステンレスで、ポリッシュ加工は新潟市西蒲区の小林研業が担当している。なおこの会社は、現在世界で最も売れているポータブルオーディオプレーヤーの鏡面仕上げを担当したとされていることでも有名だ。
スピーカーについては、バックロードスピーカーで有名な新潟県三条市の(株)長谷弘工業の代表・長谷川安衛氏がユニットをチューニング。さらに、底面のバスレフパイプは新潟市のNeb Tune代表の根布征義氏の協力を得た。ほかにも、スピーカーのエンクロージャー素材は長岡市の安達紙器工業(株)が製造したバルカナイズトファイバーで、接着や加工は長岡市の新潟タキロン加工(株)が行った。さらに、最終のアッセンブルに協力したのは上越市のウエタックス(株)だ。
Formyselfの製品は、まさに“オール新潟"の技術で作り上げられているのだ。これを知って思わず元新潟県民の血が騒ぎ、ぜひ音を聴いてみたくなった。
■音質インプレッション
製品のプロフィールはニュース記事を参照いただくとして、さっそく自宅での試用/試聴インプレッションに移ろう。
箱から製品を取り出してみると、まずアンプの小型さ、シンプルな意匠にあらためて驚かされる。印字類が一切無いミニマルなデザインで、ポリッシュ加工のレベルの高さは言うまでもない。iPodの鏡面仕上げと同様に指紋は付きやすいが、ポータブル機と違って頻繁に触るものではないので問題にはならないだろう。アンプの外観には非常に好感を持った。
なお、スピーカー端子は背面に、RCA/USB端子は左側面に装備しているのだが、正面から見た際にケーブル類が丸見えになってしまうので、この端子の配置は少々気になった。小型化やケーブルの脱着のしやすさを優先したのはわかるが、できれば背面に端子類を集中させてほしかった。なお本機にはデジタルアンプとアナログアンプの2つが内蔵されており、RCA入力はアナログアンプで、USB入力はデジタルアンプでそれぞれ出力を行う。
スピーカーは一転してオーソドックスな外観。バッフルの下にブランド名のバッジが装着されている。ただし5cmのユニットを2基搭載しているのは、この手のスピーカーの構成としては珍しい。このスピーカーには大きな特徴が二つあり、一つは吸音材を一切使用していない点。もう一つはバスレフポートが底面に設けられている点だ。
それでは音を聴いてみよう。まずはiPodのアナログ出力を、ステレオミニ-RCAケーブルでアンプに接続し、アナログアンプの音を試してみた。もちろんiPodのD/A変換能力に依存する部分もあるが、レンジはさほど広くない。低音の力強さも不足気味で、バスドラムなどに歪みも感じた。分解能も高いとは言えない。物量が物を言うアナログアンプの音は、同価格帯のプリメインアンプなどと比べ明らかに力不足だ。ただし低音については、前述したとおりバスレフポートが底面に設けられているので、下に敷く材質を変えたり、インシュレーターなどを使ったりすれば改善は可能だろう。