公開日 2009/09/01 13:18
ソニーの液晶マスモニ「BVM-L170」の実力を山之内 正が徹底テスト
100万円強で買える“BVM”
●ハイアマにとって憧れの存在だったBVMモニター
放送局やプロダクションなど映像制作者に向けてソニーがBVMシリーズを発売したのは1979年のことだ。それ以来30年間、映像プロフェッショナルの現場に欠かせない存在として支持を集め、トリニトロンCRTの生産が完了したいまも多くの場面で現役のマスターモニターとして活躍している。画像判断のためのリファレンスとして、これほど揺るぎない地位を築いたディスプレイは他に例がないと言っていい。
BVMは映像製作現場における基準機としての役割以外にも、様々な用途でユーザーの期待に応えてきた。メーカーで映像評価のリファレンスとして使われることは珍しくないし、自宅のリファレンスモニターとして愛用してきたハイアマチュアの個人ユーザーもいる。マスターモニターそのものはAVファンが日常的に接する機器ではないが、高画質を求める者にとって「BVM」の名は特別な意味を持つ存在であり続けたのだ。
その歴史あるBVMシリーズも時代と環境の変化に無縁ではいられない。スタジオでは寿命を迎えたCRTモニターを置き換える必要に迫られ、次世代BVMを求める声は日増しに高まっていく。
●マスモニもついに液晶時代に突入
その期待に応えて2007年末、液晶マスターモニターの第一号機、BVM-L230が登場した。LEDバックライトを採用した23型のWUXGA(1,920×1,200画素)パネルで広色域を実現し、倍速駆動&黒挿入によって動解像度を改善するなど、最新技術を投入して話題を集めた。マスモニもついに液晶時代に突入したのである。
そのBVM-L230の基本構成を受け継ぎつつ小型化を図ったのが、今春発売されたBVM-L170である。パネルは17型にダウンサイジングされたが、解像度はフルHD(1,920×1,080)をキープ。倍速駆動に加え、マルチカラースペース対応など、基本性能はすべて継承したうえで、HDMI端子を新たに搭載するなど、進化も遂げている(BVM-L230は後継機のBVM-L231でHDMIに対応)。DC24V駆動対応はフィールド用途を想定した17型だけの仕様である。
価格は別売のコントロールユニット、BKM-16Rと組み合わせて100万円強(1,155,000円、税込み)とBVM-L230の約半分に抑えられ、コストパフォーマンスが大幅に向上した。この価格なら自宅に1台導入してみようという人がいても不思議ではない。
ソニーがBVMシリーズにおいて液晶方式の採用に踏み切ったのは、マスターモニターに必要な条件を満たすことができると判断したからだが、当然ながら既存の技術を組み合わせるだけではプロフェッショナルの厳しい要求を満たすことはできない。開発に当たっては「正確な色」、「正確な画像」、「高い信頼性」という3つの基準を満たす「TRIMASTER(トライマスター)」の概念を導入し、デバイス開発から手がけることになった。
17インチのフルHDパネルは10bit駆動に対応し、バックライトにはLEDを採用。色の正確な再現を狙うとともに、内蔵するRGBセンサーと温度センサーによって色データやユニフォーミティを監視するフィードバック機構を導入し、経年変化の影響を回避するシステムを完成させた。ソニーが「プレシジョンバックライトシステム」と呼ぶ自慢の技術である。
多様な入力信号には6種類の入力アダプター(オプション)で対応するほか、標準装備のHDMIとDVI-Dも広範囲の信号に対応。バックライトブリンキングを併用した黒挿入モードに切り替えることも可能で、インターレース表示モードも搭載。もちろん1080/24p信号の表示もサポートする。
高精度なキャリブレーションへの対応はマスモニとして当然のこと。それ以外の付加機能は最大8倍のピクセルズーム、2画面表示、低階調領域の確認に役立つ「ブラックディテールモード」など、枚挙にいとまがない。ブラックディテールは黒浮きが避けられない液晶モニターならではの機能で、黒レベルを通常の40%まで抑えることができる。
BKM-16RとBVM-L170はいずれもラックマウント対応(EIA19インチラック、付属ブラケット使用)だが、専用スタンドを使用すると両者を連結して設置できるため、ラックマウントを利用しなくても操作性は良好だ。
放送局やプロダクションなど映像制作者に向けてソニーがBVMシリーズを発売したのは1979年のことだ。それ以来30年間、映像プロフェッショナルの現場に欠かせない存在として支持を集め、トリニトロンCRTの生産が完了したいまも多くの場面で現役のマスターモニターとして活躍している。画像判断のためのリファレンスとして、これほど揺るぎない地位を築いたディスプレイは他に例がないと言っていい。
BVMは映像製作現場における基準機としての役割以外にも、様々な用途でユーザーの期待に応えてきた。メーカーで映像評価のリファレンスとして使われることは珍しくないし、自宅のリファレンスモニターとして愛用してきたハイアマチュアの個人ユーザーもいる。マスターモニターそのものはAVファンが日常的に接する機器ではないが、高画質を求める者にとって「BVM」の名は特別な意味を持つ存在であり続けたのだ。
その歴史あるBVMシリーズも時代と環境の変化に無縁ではいられない。スタジオでは寿命を迎えたCRTモニターを置き換える必要に迫られ、次世代BVMを求める声は日増しに高まっていく。
●マスモニもついに液晶時代に突入
その期待に応えて2007年末、液晶マスターモニターの第一号機、BVM-L230が登場した。LEDバックライトを採用した23型のWUXGA(1,920×1,200画素)パネルで広色域を実現し、倍速駆動&黒挿入によって動解像度を改善するなど、最新技術を投入して話題を集めた。マスモニもついに液晶時代に突入したのである。
そのBVM-L230の基本構成を受け継ぎつつ小型化を図ったのが、今春発売されたBVM-L170である。パネルは17型にダウンサイジングされたが、解像度はフルHD(1,920×1,080)をキープ。倍速駆動に加え、マルチカラースペース対応など、基本性能はすべて継承したうえで、HDMI端子を新たに搭載するなど、進化も遂げている(BVM-L230は後継機のBVM-L231でHDMIに対応)。DC24V駆動対応はフィールド用途を想定した17型だけの仕様である。
価格は別売のコントロールユニット、BKM-16Rと組み合わせて100万円強(1,155,000円、税込み)とBVM-L230の約半分に抑えられ、コストパフォーマンスが大幅に向上した。この価格なら自宅に1台導入してみようという人がいても不思議ではない。
ソニーがBVMシリーズにおいて液晶方式の採用に踏み切ったのは、マスターモニターに必要な条件を満たすことができると判断したからだが、当然ながら既存の技術を組み合わせるだけではプロフェッショナルの厳しい要求を満たすことはできない。開発に当たっては「正確な色」、「正確な画像」、「高い信頼性」という3つの基準を満たす「TRIMASTER(トライマスター)」の概念を導入し、デバイス開発から手がけることになった。
17インチのフルHDパネルは10bit駆動に対応し、バックライトにはLEDを採用。色の正確な再現を狙うとともに、内蔵するRGBセンサーと温度センサーによって色データやユニフォーミティを監視するフィードバック機構を導入し、経年変化の影響を回避するシステムを完成させた。ソニーが「プレシジョンバックライトシステム」と呼ぶ自慢の技術である。
多様な入力信号には6種類の入力アダプター(オプション)で対応するほか、標準装備のHDMIとDVI-Dも広範囲の信号に対応。バックライトブリンキングを併用した黒挿入モードに切り替えることも可能で、インターレース表示モードも搭載。もちろん1080/24p信号の表示もサポートする。
高精度なキャリブレーションへの対応はマスモニとして当然のこと。それ以外の付加機能は最大8倍のピクセルズーム、2画面表示、低階調領域の確認に役立つ「ブラックディテールモード」など、枚挙にいとまがない。ブラックディテールは黒浮きが避けられない液晶モニターならではの機能で、黒レベルを通常の40%まで抑えることができる。
BKM-16RとBVM-L170はいずれもラックマウント対応(EIA19インチラック、付属ブラケット使用)だが、専用スタンドを使用すると両者を連結して設置できるため、ラックマウントを利用しなくても操作性は良好だ。