公開日 2014/07/16 14:21
【レビュー】JVCの新ウッドコーンオーディオ「EX-HR9」と「EX-HR7」を聴き比べ
トップエンドとミドルクラスでの音質傾向の違いは?
JVCから新登場のコンパクトコンポ「EX-HR」シリーズ。「ウッドコーン」スピーカーと「K2」技術の搭載、いまどきBluetoothもUSB-DACも搭載せずCD再生におおよそ特化していることが特徴的だ。
シリーズにはトップエンドの「EX-HR9」、ミドルクラスの「EX-HR7」、エントリーの「EX-HR5」が用意されている。以前にはEX-HR9と従来機のARシリーズとの比較試聴を行ったが(関連記事)、今回は新シリーズのなかでEX-HR9とEX-HR7をピックアップして比較しつつ紹介していこう。この2モデルはスピーカーがドライバー構成からして異なっており、音質傾向のちがいは単なる上位・下位のそれではないというのがポイントだ
■スペック面ではどこが違う?
まずはレシーバー部(プレーヤー&アンプ部)を見てみよう。
EX-HR9のみに装着されている両サイドのウッドパネルは、雰囲気作りであると同時に、不要振動制御が主な狙い。両モデル共通装備の底面MDF材アークベースも同様の狙いだ。底面のインシュレーター(脚部)は、EX-HR9のみ真鍮無垢削り出し。本シリーズはCDプレーヤーが一体化されているため、そこから発生する振動への対策が重要。EX-HR9はその点がより入念だ。
しかしアコースティックな部分の差に対して、エレクトリックあるいはデジタルな部分の能力はおおよそ同等。独自のデジタルアンプ技術の最新版「New DEUS」、非ハイレゾ=CD再生時に高域成分やダイナミクスを推測補完してハイレゾに接近させる「New K2テクノロジー」といった主要技術は共通だ。
両モデルの最大の差異はやはりスピーカー。EX-HR9は口径9cmのフルレンジ1基。EX-HR7は11cmウーファーと2cmツイーターによる2ウェイ。
EX-HR9のフルレンジドライバーの振動板では表側に十字に貼られているチェリーの薄板「異方性振動板」は、EX-HR7のウーファーの裏側にも同じように貼られている。磁気回路後部に設置される音響パーツ「八角形ウッドブロック」も、メイプルとチェリーと木種は異なるが、同様に装備。
しかし共通点は多いにせよ、フルレンジと2ウェイ、それに伴うキャビネット容積のちがいは、やはり大きい。
また、EX-HR9ではチェリー無垢材と明記されているキャビネット材は、EX-HR7では特に記載がない。「無垢材」にこだわりたい方は確認した方がよいだろう。
■音質傾向の違いは?
実際の音質がどのように異なるのかだが、木材の暖かみを生かしつつもスパンとした抜けや膨らませすぎない音像ですっきり感もあるEX-HR9。対して中低域の太さや厚みをどんと確保したEX-HR7というのが、大まかな印象だ。
例えばドラムスはEX-HR9では、スタンパシンとよい具合に乾いた木材の音色のように心地よくやや硬質で、膨らみすぎずに軽やかに抜ける。EX-HR7だと木材らしさのうち暖かみや柔らかさの方が強まり、少し「緩めた」チューニングという印象だ。より大口径のウーファーとより大容量のキャビネットの特性を素直に発揮していると感じる。
EX-HR7の方が実は優位かもと思える点としては、空間の広がりの豊かさがある。ツイーター前方に設置されたディフューザー(拡散器)の効果か、音の響きがきれいに広がっている印象だ。このあたりはK2との相乗効果が大きいとも言える。といっても空間性全般で言えばEX-HR9にも、フルレンジ1発の点音源による定位の明瞭さという優位がある。
なお両モデルとも、低音と高音それぞれ±4段階のイコライザーと低音強化機能「AHB」をリモコン上に使いやすく配置し、それらを一括一発解除できる「フラット」ボタンも用意。好みに合わせて音質調整も行いやすい。ポイントとしては高音イコライザーはEX-HR9、AHBはEX-HR7の方が、それぞれのスピーカーの特性と兼ね合いからなのか、より派手に効く印象だ。
ということで最初に述べたように、この2モデルは音の傾向が異なり、一概に「予算があれば上位モデルが正解!」というわけでもない。その音のちがいを把握した上で、自分の好みと照らし合わせて選んでほしい。
シリーズにはトップエンドの「EX-HR9」、ミドルクラスの「EX-HR7」、エントリーの「EX-HR5」が用意されている。以前にはEX-HR9と従来機のARシリーズとの比較試聴を行ったが(関連記事)、今回は新シリーズのなかでEX-HR9とEX-HR7をピックアップして比較しつつ紹介していこう。この2モデルはスピーカーがドライバー構成からして異なっており、音質傾向のちがいは単なる上位・下位のそれではないというのがポイントだ
■スペック面ではどこが違う?
まずはレシーバー部(プレーヤー&アンプ部)を見てみよう。
EX-HR9のみに装着されている両サイドのウッドパネルは、雰囲気作りであると同時に、不要振動制御が主な狙い。両モデル共通装備の底面MDF材アークベースも同様の狙いだ。底面のインシュレーター(脚部)は、EX-HR9のみ真鍮無垢削り出し。本シリーズはCDプレーヤーが一体化されているため、そこから発生する振動への対策が重要。EX-HR9はその点がより入念だ。
しかしアコースティックな部分の差に対して、エレクトリックあるいはデジタルな部分の能力はおおよそ同等。独自のデジタルアンプ技術の最新版「New DEUS」、非ハイレゾ=CD再生時に高域成分やダイナミクスを推測補完してハイレゾに接近させる「New K2テクノロジー」といった主要技術は共通だ。
両モデルの最大の差異はやはりスピーカー。EX-HR9は口径9cmのフルレンジ1基。EX-HR7は11cmウーファーと2cmツイーターによる2ウェイ。
EX-HR9のフルレンジドライバーの振動板では表側に十字に貼られているチェリーの薄板「異方性振動板」は、EX-HR7のウーファーの裏側にも同じように貼られている。磁気回路後部に設置される音響パーツ「八角形ウッドブロック」も、メイプルとチェリーと木種は異なるが、同様に装備。
しかし共通点は多いにせよ、フルレンジと2ウェイ、それに伴うキャビネット容積のちがいは、やはり大きい。
また、EX-HR9ではチェリー無垢材と明記されているキャビネット材は、EX-HR7では特に記載がない。「無垢材」にこだわりたい方は確認した方がよいだろう。
■音質傾向の違いは?
実際の音質がどのように異なるのかだが、木材の暖かみを生かしつつもスパンとした抜けや膨らませすぎない音像ですっきり感もあるEX-HR9。対して中低域の太さや厚みをどんと確保したEX-HR7というのが、大まかな印象だ。
例えばドラムスはEX-HR9では、スタンパシンとよい具合に乾いた木材の音色のように心地よくやや硬質で、膨らみすぎずに軽やかに抜ける。EX-HR7だと木材らしさのうち暖かみや柔らかさの方が強まり、少し「緩めた」チューニングという印象だ。より大口径のウーファーとより大容量のキャビネットの特性を素直に発揮していると感じる。
EX-HR7の方が実は優位かもと思える点としては、空間の広がりの豊かさがある。ツイーター前方に設置されたディフューザー(拡散器)の効果か、音の響きがきれいに広がっている印象だ。このあたりはK2との相乗効果が大きいとも言える。といっても空間性全般で言えばEX-HR9にも、フルレンジ1発の点音源による定位の明瞭さという優位がある。
なお両モデルとも、低音と高音それぞれ±4段階のイコライザーと低音強化機能「AHB」をリモコン上に使いやすく配置し、それらを一括一発解除できる「フラット」ボタンも用意。好みに合わせて音質調整も行いやすい。ポイントとしては高音イコライザーはEX-HR9、AHBはEX-HR7の方が、それぞれのスピーカーの特性と兼ね合いからなのか、より派手に効く印象だ。
ということで最初に述べたように、この2モデルは音の傾向が異なり、一概に「予算があれば上位モデルが正解!」というわけでもない。その音のちがいを把握した上で、自分の好みと照らし合わせて選んでほしい。