公開日 2015/01/20 13:57
音楽ファンのための “ネットオーディオ” 完全ガイド【第3回】コーデックの基礎知識
タグが活かせるかどうかはコーデックで決まる
「良い音で音楽を聴く楽しさ」と「快適な音源管理・再生」をどちらも叶えてくれるもの ? それが「ネットオーディオ」だ。音源の入手方法やライブラリの管理方法、そして音源の再生方法など、ぜったい押さえておきたい基礎知識を、逆木 一(さかき はじめ)が解説。これからネットオーディオをはじめたいという方に向け、全15回にわたってお届けする。
■音楽ファイルにおけるコーデックとはなにか
情報処理の文脈における厳密な定義はさておいて、コーデックとは、要は音源をデジタルファイルとして扱う際の形式のことです。少々乱暴ですが、「コーデック」「ファイル形式」「音声フォーマット」といった単語はオーディオの文脈において基本的に同じものを指すと考えてしまってもいいでしょう。
私たちが日ごろ目にする「MP3」「FLAC」などがコーデックにあたります。音源をデジタルファイルとして扱ううえで、どのコーデックを用いるかということは大きな問題となります。
■オーディオで用いる様々なコーデック
音声だけでも様々なコーデックがありますが、オーディオに活用するうえで知っておく必要があるものはさほど多くありません。その中から5つのコーデックをピックアップし、簡単に特徴を説明します。なお、現時点でオーディオにおけるデジタルファイルは主にPCM系とDSD系がありますが、今回は絶対的に数の多いPCM系のコーデックに絞って説明します。DSDについては、追って別章を立てて紹介したいと思います。
オーディオで用いる主なコーデック
・WAV
音声データを圧縮せずに保存する形式です。非圧縮ということで必然的にファイルサイズは大きくなりますが、最も元のデータに忠実な形式と言えます。もちろん、保存や再生に際して音質劣化は生じません。
・FLAC
Free Lossless Audio Codecの頭文字をとったコーデックです。可逆圧縮という方式で、圧縮をしつつも再生時にデータは元通りになり、音質劣化を生じません。「ロスレス」とはすなわち音質劣化がないことを意味します。いわゆるハイレゾ音源が配信される際にファイル形式として採用されることが多く、オーディオの領域において一気に浸透した感があります。
・AIFF
MacにおけるWAV、という認識で問題ありません。非圧縮の形式で、ファイルサイズが他と比べて大きいのもWAV同様です。
・ALAC
一般的には「アップルロスレス」として知られているコーデックです。こちらもFLAC同様可逆圧縮方式で、音質を劣化させることなくファイルサイズを圧縮できます。以前は再生可能なハード・ソフトが少ないのが難点でしたが、近年アップル社がALACをオープンソースとしたため、その状況も改善されつつあります。
・MP3
データサイズを大幅に圧縮できる代わりにデータが元通りにならない、すなわち非可逆圧縮方式のコーデックです。一昔前はストレージの容量が今ほど大きくなかったため、ファイルサイズが小さいことは魅力となりました。しかし、「そもそもMP3でしか音源が配信されていない」というのなら仕方ありませんが、音質が劣化するうえに元に戻らない以上、ライブラリを構築するうえで、可能な限り使用は避けるべきと言えます。もっとも、例えば非圧縮/ロスレスの音源を用意したうえで、別途ポータブル用としてMP3の音源を用意する……ということであれば話は別ですが。
こうして見てみると、MP3はさておき、それ以外の4つのコーデックに関して言えば音質差はないように思えます。また、FLAC/ALACはWAV/AIFFに比べてファイルサイズを縮小できると言っても、保存のためのストレージが十分に大容量化した今、それが決定的な強みになるとも思えません。
連載目次 |
第1回「まず『音源』ありき」 第2回「タグについて理解しよう」 第3回「コーデックの基礎知識」 第4回「ライブラリを構築する」 第5回「音源の入手方法(1) CDのリッピング」 第6回「音源の入手方法(2) 配信サイトからのダウンロード」 第7回「PCオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第8回「PCオーディオで楽しむ(2) USB DACを活用する」 第9回「PCオーディオで楽しむ(3) 色々な再生ソフト」 第10回「PCオーディオで楽しむ(4) オーディオルームとPCの親和性」 第11回「ネットワークオーディオで楽しむ(1) 基礎知識」 第12回「ネットワークオーディオで楽しむ(2) サーバー」 第13回「ネットワークオーディオで楽しむ(3) プレーヤー」 第14回「ネットワークオーディオで楽しむ(4) コントロール」 第15回「様々な再生方法」 |
■音楽ファイルにおけるコーデックとはなにか
情報処理の文脈における厳密な定義はさておいて、コーデックとは、要は音源をデジタルファイルとして扱う際の形式のことです。少々乱暴ですが、「コーデック」「ファイル形式」「音声フォーマット」といった単語はオーディオの文脈において基本的に同じものを指すと考えてしまってもいいでしょう。
私たちが日ごろ目にする「MP3」「FLAC」などがコーデックにあたります。音源をデジタルファイルとして扱ううえで、どのコーデックを用いるかということは大きな問題となります。
■オーディオで用いる様々なコーデック
音声だけでも様々なコーデックがありますが、オーディオに活用するうえで知っておく必要があるものはさほど多くありません。その中から5つのコーデックをピックアップし、簡単に特徴を説明します。なお、現時点でオーディオにおけるデジタルファイルは主にPCM系とDSD系がありますが、今回は絶対的に数の多いPCM系のコーデックに絞って説明します。DSDについては、追って別章を立てて紹介したいと思います。
オーディオで用いる主なコーデック
・WAV
音声データを圧縮せずに保存する形式です。非圧縮ということで必然的にファイルサイズは大きくなりますが、最も元のデータに忠実な形式と言えます。もちろん、保存や再生に際して音質劣化は生じません。
・FLAC
Free Lossless Audio Codecの頭文字をとったコーデックです。可逆圧縮という方式で、圧縮をしつつも再生時にデータは元通りになり、音質劣化を生じません。「ロスレス」とはすなわち音質劣化がないことを意味します。いわゆるハイレゾ音源が配信される際にファイル形式として採用されることが多く、オーディオの領域において一気に浸透した感があります。
・AIFF
MacにおけるWAV、という認識で問題ありません。非圧縮の形式で、ファイルサイズが他と比べて大きいのもWAV同様です。
・ALAC
一般的には「アップルロスレス」として知られているコーデックです。こちらもFLAC同様可逆圧縮方式で、音質を劣化させることなくファイルサイズを圧縮できます。以前は再生可能なハード・ソフトが少ないのが難点でしたが、近年アップル社がALACをオープンソースとしたため、その状況も改善されつつあります。
・MP3
データサイズを大幅に圧縮できる代わりにデータが元通りにならない、すなわち非可逆圧縮方式のコーデックです。一昔前はストレージの容量が今ほど大きくなかったため、ファイルサイズが小さいことは魅力となりました。しかし、「そもそもMP3でしか音源が配信されていない」というのなら仕方ありませんが、音質が劣化するうえに元に戻らない以上、ライブラリを構築するうえで、可能な限り使用は避けるべきと言えます。もっとも、例えば非圧縮/ロスレスの音源を用意したうえで、別途ポータブル用としてMP3の音源を用意する……ということであれば話は別ですが。
こうして見てみると、MP3はさておき、それ以外の4つのコーデックに関して言えば音質差はないように思えます。また、FLAC/ALACはWAV/AIFFに比べてファイルサイズを縮小できると言っても、保存のためのストレージが十分に大容量化した今、それが決定的な強みになるとも思えません。