公開日 2015/07/15 10:00
ボーズBluetoothヘッドホン「SoundLink on-ear」だけの “こだわり” を検証する
ユニークな新機能を採用
■機能面でも音質面でも大きな進化を遂げた“SoundLinkシリーズ”
現在、ボーズのオーバーヘッド型ヘッドホンは3つのラインで構成されている。ひとつはノイズキャンセリング機能を搭載した“QuietComfortシリーズ"。NCという存在を世に広め、今もブラッシュアップされ続けるブランドの顔のひとつだ。日本限定で、蒔絵や墨をデザインモチーフとした「QuietComfort 25 - JAPAN CONCEPT MODEL」の登場も記憶に新しい(関連ニュース)。
対してカジュアルなスタイリングが魅力的な“SoundTrueシリーズ”。アラウンドイヤー型「SoundTrue around-ear headphones」とオンイヤー型「SoundTrue on-ear headphones」が用意されている。
そしてBluetooth機能を搭載したのが、今回レビューする“SoundLinkシリーズ”だ。2013年にリリースされた同社初のワイヤレスモデル「Bose AE2w Bluetooth headphones(現在の名称は「SoundLink around-ear Bluetooth headphones」)」と、昨年秋に登場した「SoundLink on-ear Bluetooth headphones」をラインアップする。
製品名の通り、前者がアラウンドイヤー、後者がオンイヤーとなる。とはいえ、単なる形式の違いではない。後者はBluetoothヘッドホンとして、機能面でも音質面でも大きな進化を遂げていることが確認できた。発売時期がたった1年半ほどの違いにも関わらずだ。今回はこのSoundLink on-earを紹介したい。
■ユニークな新機能を採用
では簡単にプロフィールを紹介しておこう。コンパクトなハウジングには同社オリジナルの「TriPortテクノロジー」を採用。内部のエアフローを巧みにコントロールすることで、小型ながら自然で厚みのあるサウンドを生み出す技術だ。さらにアクティブイコライザーによってチューニングを図っている。
イヤパッドはフラットな形状で、柔軟性に富み、耳の凹凸とよく馴染んでくれる。また、ハウジング、ヘッドバンド、スライダー部などのトータルな重量バランスも吟味されており装着感は抜群だ。
駆動は内蔵の充電式リチウムイオンバッテリーが担い、付属のUSBケーブルから給電する。約3時間のフル充電で、およそ15時間の連続使用ができるというから頼もしい。ちなみにケーブルも付属しており、バッテリーが切れても有線で出音可能だ。
マイクも内蔵し、iPhoneやスマートフォンと組み合わせればヘッドセットとしても使える。右側のハウジング下面にはボリュームコントローラーと音楽の再生やポーズ、曲送り/戻し、通話/終話ができるマルチファンクションボタンを搭載する。
なお、周囲の騒音に合わせて自動的に通話音量をコントロールする「Adaptive Audio Adjustmentテクノロジー」や、騒音を抑え、通話相手に声をクリアに聴かせる「Noise Rejecting Microphone& Advanced two-microphone system」を新たに採用している。
ユニークな機能がもうひとつ。操作のステータスを音声で教える「Voice prompts」だ。例えば、プレーヤーとのペアリング時には「ペアリングできます」「接続されました」などと日本語で伝えてくれるのだ。ヘッドホンに限らず、機能やボタンが多くなると使い勝手が悪くなるものだが、こうした工夫によって回避されている。
■勢いの良さと優しさのバランスが特長
ではサウンドをチェックしてみよう。最初に聴いたのは作編曲家、ピアニストで、音楽プロデューサーとしても才能を発揮する中島ノブユキの新譜『散りゆく花』。中島のピアノを軸に、アコースティックギター、バンドネオン、オーボエ、ストリングスなどが調和する。目指したのは「新しい室内楽」だという。
2曲目「追憶のワルツ」では、ピアノの中域とアコースティックギターの中高域がしっとりと混じり合う。バンドネオンやストリングスは滑らかで落ち着きのあるトーンにまとまった。コントラバスの低域も深みがあって、響きもマイルドだ。各ミュージシャンのニュアンスに富んだプレイも堪能できた。静謐な音楽だが、メロディーやハーモニー、リズムがひじょうに密度の高い空間を織り上げている。
次は、音楽性でも音質でも、早くも今年のベスト3に入ると勝手に考えているパンチブラザーズの『The Phosphorescent Blues』。カントリーやブルーグラス、ロックやジャズなどが融合する、いうなればオルタナティブ・アメリカーナバンド。
「My Oh My」ではマンドリンやバンジョー、フィドル、ウッドベースそしてボーカルが一体となって勢いのあるサウンドで攻めて来る。特にウッドベースの鳴りは弾むようだ。だから、音楽が急激に大きくうねりだす。
スピード感も十分だ。ただ、やはり高域は角が取れて耳に優しい。この勢いの良さと優しさのバランスが、他のヘッドホンにはない長所ではないだろうか。ボーカルも伸びやかに表現し、決して荒れたり歪んだりすることもなかった。
ワイヤレスだからといって音途切れやサウンドの欠落感を心配することはない(それは過去のことになったようだ)。だから、こうした名演奏をどこにいようと、味わうことができるのである。
(中林 直樹)
>>ボーズ製品サイトはこちら |
現在、ボーズのオーバーヘッド型ヘッドホンは3つのラインで構成されている。ひとつはノイズキャンセリング機能を搭載した“QuietComfortシリーズ"。NCという存在を世に広め、今もブラッシュアップされ続けるブランドの顔のひとつだ。日本限定で、蒔絵や墨をデザインモチーフとした「QuietComfort 25 - JAPAN CONCEPT MODEL」の登場も記憶に新しい(関連ニュース)。
対してカジュアルなスタイリングが魅力的な“SoundTrueシリーズ”。アラウンドイヤー型「SoundTrue around-ear headphones」とオンイヤー型「SoundTrue on-ear headphones」が用意されている。
そしてBluetooth機能を搭載したのが、今回レビューする“SoundLinkシリーズ”だ。2013年にリリースされた同社初のワイヤレスモデル「Bose AE2w Bluetooth headphones(現在の名称は「SoundLink around-ear Bluetooth headphones」)」と、昨年秋に登場した「SoundLink on-ear Bluetooth headphones」をラインアップする。
製品名の通り、前者がアラウンドイヤー、後者がオンイヤーとなる。とはいえ、単なる形式の違いではない。後者はBluetoothヘッドホンとして、機能面でも音質面でも大きな進化を遂げていることが確認できた。発売時期がたった1年半ほどの違いにも関わらずだ。今回はこのSoundLink on-earを紹介したい。
■ユニークな新機能を採用
では簡単にプロフィールを紹介しておこう。コンパクトなハウジングには同社オリジナルの「TriPortテクノロジー」を採用。内部のエアフローを巧みにコントロールすることで、小型ながら自然で厚みのあるサウンドを生み出す技術だ。さらにアクティブイコライザーによってチューニングを図っている。
イヤパッドはフラットな形状で、柔軟性に富み、耳の凹凸とよく馴染んでくれる。また、ハウジング、ヘッドバンド、スライダー部などのトータルな重量バランスも吟味されており装着感は抜群だ。
駆動は内蔵の充電式リチウムイオンバッテリーが担い、付属のUSBケーブルから給電する。約3時間のフル充電で、およそ15時間の連続使用ができるというから頼もしい。ちなみにケーブルも付属しており、バッテリーが切れても有線で出音可能だ。
マイクも内蔵し、iPhoneやスマートフォンと組み合わせればヘッドセットとしても使える。右側のハウジング下面にはボリュームコントローラーと音楽の再生やポーズ、曲送り/戻し、通話/終話ができるマルチファンクションボタンを搭載する。
なお、周囲の騒音に合わせて自動的に通話音量をコントロールする「Adaptive Audio Adjustmentテクノロジー」や、騒音を抑え、通話相手に声をクリアに聴かせる「Noise Rejecting Microphone& Advanced two-microphone system」を新たに採用している。
ユニークな機能がもうひとつ。操作のステータスを音声で教える「Voice prompts」だ。例えば、プレーヤーとのペアリング時には「ペアリングできます」「接続されました」などと日本語で伝えてくれるのだ。ヘッドホンに限らず、機能やボタンが多くなると使い勝手が悪くなるものだが、こうした工夫によって回避されている。
■勢いの良さと優しさのバランスが特長
ではサウンドをチェックしてみよう。最初に聴いたのは作編曲家、ピアニストで、音楽プロデューサーとしても才能を発揮する中島ノブユキの新譜『散りゆく花』。中島のピアノを軸に、アコースティックギター、バンドネオン、オーボエ、ストリングスなどが調和する。目指したのは「新しい室内楽」だという。
2曲目「追憶のワルツ」では、ピアノの中域とアコースティックギターの中高域がしっとりと混じり合う。バンドネオンやストリングスは滑らかで落ち着きのあるトーンにまとまった。コントラバスの低域も深みがあって、響きもマイルドだ。各ミュージシャンのニュアンスに富んだプレイも堪能できた。静謐な音楽だが、メロディーやハーモニー、リズムがひじょうに密度の高い空間を織り上げている。
次は、音楽性でも音質でも、早くも今年のベスト3に入ると勝手に考えているパンチブラザーズの『The Phosphorescent Blues』。カントリーやブルーグラス、ロックやジャズなどが融合する、いうなればオルタナティブ・アメリカーナバンド。
「My Oh My」ではマンドリンやバンジョー、フィドル、ウッドベースそしてボーカルが一体となって勢いのあるサウンドで攻めて来る。特にウッドベースの鳴りは弾むようだ。だから、音楽が急激に大きくうねりだす。
スピード感も十分だ。ただ、やはり高域は角が取れて耳に優しい。この勢いの良さと優しさのバランスが、他のヘッドホンにはない長所ではないだろうか。ボーカルも伸びやかに表現し、決して荒れたり歪んだりすることもなかった。
ワイヤレスだからといって音途切れやサウンドの欠落感を心配することはない(それは過去のことになったようだ)。だから、こうした名演奏をどこにいようと、味わうことができるのである。
(中林 直樹)