公開日 2019/05/09 06:00
ソニー「Xperia 1」は “音” もすごい、完全ワイヤレスが途切れない! ドルビーアトモスも最高の仕上がり
<山本敦のAV進化論 第175回>
ハイレゾ楽曲を「ミュージック」アプリに入れて再生してみると、やはりXperia 1も従来のXperiaシリーズらしく、解像度が高くて見晴らしのよい中高域が印象に残るサウンドだった。繊細なニュアンスの再現性に富んでいて、ジャズの女性ボーカルやクラシックの音源が心地よく楽しめる。
ただ、従来のXperiaシリーズと同じく、イヤホン出力のパワーがやや不足しているように感じる。アウトドアで音楽を聴くと、ボリュームを最大に近いレベルまで上げても、地下鉄の中など騒音の多い場所では聴きづらく感じることがある。USB Type-C直結のポータブルDACアンプ「Maktar SPECTRA X」を合わせてみると、ゼンハイザーのイヤホン「IE 800 S」やヘッドホンも朗々と鳴ってくれた。特にハイレゾ再生を楽しむ際にはポータブルタイプのDAC内蔵ヘッドホンアンプを用意するといいだろう。
■「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」に対応
クアルコムの最新モバイル向けSoCである「Snapdragon 855 Mobile Platform」は、同社のワイヤレスオーディオ新技術「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」を標準仕様に組み込んでいる。この技術については、クアルコムの担当者にインタビューした際にも詳しくレポートしているので、ここで繰り返し詳しく説明することはしないが、簡単に言うと完全ワイヤレスイヤホンの接続性能、バッテリーの持続性能を高められる技術だ。ひいては、完全ワイヤレスイヤホンによるリスニング体験そのものが向上したり、プロダクトデザインの自由度が高まる効果も期待されている。
Qualcomm TrueWireless Stereo Plus(以下:TWS Plus)の技術をメリットとしてフルに活かすためには、クアルコムが完全ワイヤレスイヤホンなどのBluetoothオーディオ向けに開発したSoC「QCC51xx」シリーズ、または「QCC302x」シリーズを搭載した完全ワイヤレスイヤホンが必要だ。
Snapdragon 855を搭載するスマホにペアリングすると、先にスマホ側でL/Rの音声信号を分離してから、左右のイヤホンに独立した音声ストリームをダイレクトに送り出す。結果、音切れが少なくなって、バッテリーも長持ちする。XperiaはこのTWS Plusに対応する日本メーカー最初のスマホとしてMWCで脚光を浴びた。
筆者宅にはQCC3026を搭載するAVIOTの完全ワイヤレスイヤホン「TE-D01d」があったので、今回は本機をリファレンスにしてTWS Plusの使い勝手を試した。
ペアリングの方法は通常通り、スマホの設定アプリを開いてから「機器接続」>「新しい機器とペア設定する」を選ぶ。イヤホンをペアリングモードにすると “TE-D01d_R” と “TE-D01d_L” 、つまり左右のイヤホンがペアリング対象のデバイスとして表示される。どちらか一方を選択すると先にそちら側からペアリング完了の通知が聞こえ、少し待つと自動的に反対側のコネクションが確立したことを音声ガイドが知らせてくれる。
画面には特にTWS Plusでつながっていることを示す表示がないので一瞬不安になるが、機器接続の設定画面をよく見ると「利用可能なメディアデバイス」としてRとL、両側のTE-D01dが表示されたままになっている。マスター側としてつながった方には「有効」の表示が加わり、スレーブ側は電池残量だけが表示されているが、音はしっかり両側からきこえてくる。
TWS Plusではない場合の表示をグーグルのPixel 3 XLで確認すると、利用可能なメディアデバイスとして、TE-D01d_Rの製品名が1件だけ表示されていた。
なおTWS Plusモードで接続中に、イヤホン片側だけでモノラル使いしたい場合、はRかLの詳細設定に入って「メディアの音声」をオフにすると、片側だけから音楽がきこえてくる。
■接続性能をテストしてみた
最近の完全ワイヤレスイヤホンはそもそも音切れやノイズの発生が改善されており、ペアリングできてしまえば音楽リスニング中は特にストレスを感じることも少なくなった。TWS Plusで接続されているTE-D01dは、Xperia 1に接続されている状態で両耳をしっかりと手で覆ってみても音が途切れず、接続性がまた一段と安定していた。大型連休で混み合う吉祥寺の街中で1時間ほど歩きながら試してみても、Xperia 1との組み合わせでは1度も音切れやノイズに悩まされなかった。