公開日 2021/12/07 07:00
DAPやポタアンだけじゃない!FiiOの “イヤホンブランドとしての決定打” 「FD7」を聴いた
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第265回】
■イヤホンブランドとしてのFiiOの評価を固める決定打!
FiiOは、DAPやポータブルアンプの分野で評価の高い人気ブランドである。一方、以前まではイヤホンブランドとしての実力に、その評価が追いついていない印象もあった。おそらく「DAPやポタアンのブランドがイヤホンも出している」的な認識に留まってしまいがちで、イヤホンへの “本気度” が伝わりにくかったのかもしれない。
だが現在、同社は幅広く積極的なラインナップを展開している。堅実な進歩と挑戦的な進化を重ね続け、その成果として今、イヤホンの分野でも同社の評価は確立されつつある。そう感じているイヤホンファンも少なからずだろう。
そんなタイミングで登場した新製品「FD7」(実売税込7万9000円前後)は、その高まりつつある評価をさらに固める「決定打」になり得るモデルといえる。
■ピュア・ベリリウム振動板がすごい!
同社のラインナップの中で「FD」の型番は、シングル・ダイナミックドライバー構成採用モデルを表しており、おそらくFiiO Dynamicの略を型番名にしたものと思われる。このFD7は、その最新にしてハイエンドだ。
まず注目なのは、口径12mmの「ピュア・ベリリウム」振動板の採用だ。
振動板に求められる要素のうち、動きに応じて変形してしまわない頑強さ、動きへの応答性を高める軽さ、振動を伝える速さに注目して、主な金属素材の特性を比較するとこのようになる。
ベリリウムは、アルミどころかチタンと比べても圧倒的に頑強で、音を伝える速度も速く、比重も軽い。このように優れた材質の採用は、音響的優位につながる。
その上でさらに注目してほしいのは、「ピュア・ベリリウム」振動板の「ピュア」の部分。ここに付く「ピュア」は一般的には、「他の金属との合金ではない純粋なベリリウム」の意味合いだが、イヤホンの振動板においてはもう一つ、「樹脂などを基材として、ベリリウムによるコーティングを施したものではなく、ベリリウム材そのものだけで成形されている」の意味合いも加わる。というか、むしろそちらの意味の方がより強くプッシュされるだろう。
というのも、PET樹脂等にベリリウム・コーティングを施した振動板であれば、現在その採用例は数多くある。FiiOのラインナップでも、例えば1万円を切るエントリーモデル「FD1」がそうだ。
対して、ベリリウムそのものだけによる振動板の採用例は、これまでにもあるにはあった。だが、それは主に、20万円とかする「超」ハイエンド価格帯での話。ベリリウムは加工性が著しく低く、イヤホンの振動板として精密成形するのは容易ではないからだ。
つまり、その開発と製造コストを考えれば、それも無理からぬことと言える。だがこの「FD7」は、そのピュア・ベリリウム振動板採用にして、なんと8万円未満。破格だ!
FiiOは、DAPやポータブルアンプの分野で評価の高い人気ブランドである。一方、以前まではイヤホンブランドとしての実力に、その評価が追いついていない印象もあった。おそらく「DAPやポタアンのブランドがイヤホンも出している」的な認識に留まってしまいがちで、イヤホンへの “本気度” が伝わりにくかったのかもしれない。
だが現在、同社は幅広く積極的なラインナップを展開している。堅実な進歩と挑戦的な進化を重ね続け、その成果として今、イヤホンの分野でも同社の評価は確立されつつある。そう感じているイヤホンファンも少なからずだろう。
そんなタイミングで登場した新製品「FD7」(実売税込7万9000円前後)は、その高まりつつある評価をさらに固める「決定打」になり得るモデルといえる。
■ピュア・ベリリウム振動板がすごい!
同社のラインナップの中で「FD」の型番は、シングル・ダイナミックドライバー構成採用モデルを表しており、おそらくFiiO Dynamicの略を型番名にしたものと思われる。このFD7は、その最新にしてハイエンドだ。
まず注目なのは、口径12mmの「ピュア・ベリリウム」振動板の採用だ。
振動板に求められる要素のうち、動きに応じて変形してしまわない頑強さ、動きへの応答性を高める軽さ、振動を伝える速さに注目して、主な金属素材の特性を比較するとこのようになる。
ベリリウムは、アルミどころかチタンと比べても圧倒的に頑強で、音を伝える速度も速く、比重も軽い。このように優れた材質の採用は、音響的優位につながる。
その上でさらに注目してほしいのは、「ピュア・ベリリウム」振動板の「ピュア」の部分。ここに付く「ピュア」は一般的には、「他の金属との合金ではない純粋なベリリウム」の意味合いだが、イヤホンの振動板においてはもう一つ、「樹脂などを基材として、ベリリウムによるコーティングを施したものではなく、ベリリウム材そのものだけで成形されている」の意味合いも加わる。というか、むしろそちらの意味の方がより強くプッシュされるだろう。
というのも、PET樹脂等にベリリウム・コーティングを施した振動板であれば、現在その採用例は数多くある。FiiOのラインナップでも、例えば1万円を切るエントリーモデル「FD1」がそうだ。
対して、ベリリウムそのものだけによる振動板の採用例は、これまでにもあるにはあった。だが、それは主に、20万円とかする「超」ハイエンド価格帯での話。ベリリウムは加工性が著しく低く、イヤホンの振動板として精密成形するのは容易ではないからだ。
つまり、その開発と製造コストを考えれば、それも無理からぬことと言える。だがこの「FD7」は、そのピュア・ベリリウム振動板採用にして、なんと8万円未満。破格だ!
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