公開日 2022/07/28 06:30
Astell&Kern × Campfire Audio「PATHFINDER」レビュー。今あえて有線イヤホンを選ぶ喜びがここにある
白銅の限定DAP「SP2000T Copper Nickel」を組み合わせ
Astell&KernとCampfire Audioのコラボレーションによるインイヤーモニターの第二弾、「PATHFINDER」が登場した。既存モデルをベースとしたコラボバージョンではなく、完全新規設計によるまったく新しいモデルだ。
第一弾モデルの「AK SOLARIS X」も、Campfireの既存モデル「SOLARIS」をベースとしたチューニング変更モデルといいつつ、実はドライバー構成まで変更されているという本格的コラボレーションアイテムであった。しかし、“ハイブリッドIEMの再定義” という強烈なスローガンを掲げるこの第二弾では、より深い部分から共同開発が行われたようだ。
また、コラボ云々を抜きにして見ても、世界初というKnowles製「デュアルダイヤフラムBAドライバー」を搭載したハイブリッド構成を採用するなど、要注目の最先端モデルと言える。
今回は、その注目モデルPATHFINDERの内容と実力をじっくりチェックしていこう。なお、音質チェックは同日発売されたAstell&Kernの最新DAP「A&ultima SP2000T Copper Nickel」とのコンビネーションで実施した。本記事内ではSP2000T Copper Nickelの印象もミニレビュー的に紹介しているので、こちらが気になる方もぜひチェックしてみてほしい。
ドライバー構成は3ウェイハイブリッドを採用する。高域はカスタム・デュアルBAドライバー(+T.A.E.C.)、中音域はデュアルダイヤフラムBAドライバー、中低域から低域にかけてはデュアル・カスタム・ダイナミックドライバー(+Radial Venting Technology)を割り当てている。()内はCampfire Audio独自の音響技術で、各ドライバーのポテンシャルをより引き出すのだという。
中でも気になるのは、最新型ドライバーであり、しかも中音域という最重要帯域を任されている、デュアルダイヤフラムBAドライバーだろう。
前述のように、BAドライバーメーカーであるKnowlesの最新技術であるこちらは、1つのコイルで2つの振動板を駆動し、チャンバー(=音響スペース)もそれぞれの振動板ごとに独立で用意している。Knowles社によると、小さなフットプリントを維持しながら高出力レベルを達成できるというのがその特徴だ。
つまり、振動板は2つにしつつ、磁気駆動回路は1つのまま共有とすることで、スペース効率を高めたことが大きなポイント。「従来型BAドライバー2基に相当する出力を1基で得られつつ、ドライバーの大きさは従来型1.5基分あたりで済む」とイメージすれば、その優位性に納得できることだろう。
このデュアルダイヤフラムBAドライバーによって強化された中音域に対して、高域と低域の再生能力は、Campfire Audioの技術によって強化されている。
高域にはカスタム・デュアルBAドライバーと合わせて、Campfire Audioおなじみの「T.A.E.C.=Tuned Acoustic Expansion Chamber」技術を採用している。
ドライバーからの音をチューブ状の音導管で引き回すと、チューブ独特の共鳴によって音が乱れてしまう。そこで、チューブの代わりに精密形成された音響空間=アコースティックチャンバーを通して耳に届けることで、音の乱れを回避しつつ音を整えるというのがT.A.E.C.技術だ。
中低域から低域を担当するデュアル・カスタム・ダイナミックドライバーは、このモデルで初採用となる最新技術「Radial Venting Technology」を組み合わせている。これは、不必要な音圧や低域の膨らみは生み出さず、より速くよりパワフルな低域レスポンスを作り出す、革新的なチャンバーデザインとのこと。空気圧を適切に抜く特別設計の開口部も用意されている。
「デュアル」であるから、ダイナミックドライバーは2基使用。その2基が向かい合う形で、Radial Venting Technologyチャンバーを備えた内部フレームにマウントされているのだ。振動板は10mm径で、材質はポリウレタンと液晶ポリマーの異樹脂ハイブリッドとなっている。
これら各ドライバーとそれに付随する様々な技術要素や、耐久性に優れるベリリウム/銅素材によるMMCX端子などが、切削アルミシェル、高強度ステンレスパーツ、3Dプリントによる内部フレームに、精密かつ頑強にパッケージングされているのがこのPATHFINDERというわけだ。
第一弾モデルの「AK SOLARIS X」も、Campfireの既存モデル「SOLARIS」をベースとしたチューニング変更モデルといいつつ、実はドライバー構成まで変更されているという本格的コラボレーションアイテムであった。しかし、“ハイブリッドIEMの再定義” という強烈なスローガンを掲げるこの第二弾では、より深い部分から共同開発が行われたようだ。
また、コラボ云々を抜きにして見ても、世界初というKnowles製「デュアルダイヤフラムBAドライバー」を搭載したハイブリッド構成を採用するなど、要注目の最先端モデルと言える。
今回は、その注目モデルPATHFINDERの内容と実力をじっくりチェックしていこう。なお、音質チェックは同日発売されたAstell&Kernの最新DAP「A&ultima SP2000T Copper Nickel」とのコンビネーションで実施した。本記事内ではSP2000T Copper Nickelの印象もミニレビュー的に紹介しているので、こちらが気になる方もぜひチェックしてみてほしい。
世界初「デュアルダイヤフラムBAドライバー」搭載のハイブリッドドライバー
ドライバー構成は3ウェイハイブリッドを採用する。高域はカスタム・デュアルBAドライバー(+T.A.E.C.)、中音域はデュアルダイヤフラムBAドライバー、中低域から低域にかけてはデュアル・カスタム・ダイナミックドライバー(+Radial Venting Technology)を割り当てている。()内はCampfire Audio独自の音響技術で、各ドライバーのポテンシャルをより引き出すのだという。
中でも気になるのは、最新型ドライバーであり、しかも中音域という最重要帯域を任されている、デュアルダイヤフラムBAドライバーだろう。
前述のように、BAドライバーメーカーであるKnowlesの最新技術であるこちらは、1つのコイルで2つの振動板を駆動し、チャンバー(=音響スペース)もそれぞれの振動板ごとに独立で用意している。Knowles社によると、小さなフットプリントを維持しながら高出力レベルを達成できるというのがその特徴だ。
つまり、振動板は2つにしつつ、磁気駆動回路は1つのまま共有とすることで、スペース効率を高めたことが大きなポイント。「従来型BAドライバー2基に相当する出力を1基で得られつつ、ドライバーの大きさは従来型1.5基分あたりで済む」とイメージすれば、その優位性に納得できることだろう。
このデュアルダイヤフラムBAドライバーによって強化された中音域に対して、高域と低域の再生能力は、Campfire Audioの技術によって強化されている。
高域にはカスタム・デュアルBAドライバーと合わせて、Campfire Audioおなじみの「T.A.E.C.=Tuned Acoustic Expansion Chamber」技術を採用している。
ドライバーからの音をチューブ状の音導管で引き回すと、チューブ独特の共鳴によって音が乱れてしまう。そこで、チューブの代わりに精密形成された音響空間=アコースティックチャンバーを通して耳に届けることで、音の乱れを回避しつつ音を整えるというのがT.A.E.C.技術だ。
中低域から低域を担当するデュアル・カスタム・ダイナミックドライバーは、このモデルで初採用となる最新技術「Radial Venting Technology」を組み合わせている。これは、不必要な音圧や低域の膨らみは生み出さず、より速くよりパワフルな低域レスポンスを作り出す、革新的なチャンバーデザインとのこと。空気圧を適切に抜く特別設計の開口部も用意されている。
「デュアル」であるから、ダイナミックドライバーは2基使用。その2基が向かい合う形で、Radial Venting Technologyチャンバーを備えた内部フレームにマウントされているのだ。振動板は10mm径で、材質はポリウレタンと液晶ポリマーの異樹脂ハイブリッドとなっている。
これら各ドライバーとそれに付随する様々な技術要素や、耐久性に優れるベリリウム/銅素材によるMMCX端子などが、切削アルミシェル、高強度ステンレスパーツ、3Dプリントによる内部フレームに、精密かつ頑強にパッケージングされているのがこのPATHFINDERというわけだ。