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PR 公開日 2024/06/21 06:30

キール生産のJET6トゥイーターを身近にするELAC「Solano 280.2」。最新世代の中核モデルの真価に迫る

「Solano FS 287.2」「Solano BS 283.2」をレビュー
山之内 正
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キールに本拠を置くELAC(エラック)はドイツを代表する老舗メーカーだ。同社のスピーカーを象徴する独自技術がJETトゥイーターで、現在は最新世代「JET6」への移行が順次進められている。

今回試聴した“Solano 280シリーズ”は、同社のラインナップではミドルレンジの入口に位置付けられるシリーズだが、上位シリーズに続いてJET6の導入に踏み切り、フロア型の「Solano FS 287.2」とブックシェルフ型の「Solano BS 283.2」が誕生。いずれも型番末尾の「2」がJET6世代のスピーカーの証だ。


「Solano FS 287.2」 660,000円(税込/ペア)

「Solano BS 283.2」 330,000円(税込/ペア)
JETの世代交代は約10年ぶりだという。先代の「JET5」の完成度が高かっただけに、今回のリファインは入念かつ繊細なアプローチを徹底。試行錯誤の積み重ねでさらなる性能改善に成功している。

■上位機と同じくキール本社で生産される「JET6」を導入


具体的に紹介しよう。細かく折り畳まれたカプトン素材には導電性アルミパターンがプリントされているのだが、JET6ではそのパターンの厚みを振動板の位置によって微妙に変えることで質量分布を見直し、折り畳み幅も従来の均一パターンから数種類に増やして余分な共振や歪みを抑えているという。

基本構造に踏み込んだ今回の見直しによって、可聴帯域内で共振と歪みを低減しつつ、30kHzを超える超高域でのリニアリティの改善にも成功したとされる。ハンドメイドで作り上げるJETドライバーはもちろんのこと、Solanoシリーズのスピーカーは上位機種と同様、キールの本社で生産される。


キール本社の工場で作られている「JET6」トゥイーターを搭載
JETが最新世代に更新されたこと以外は、従来の“Solano 280シリーズ”の技術と基本構成をそのまま受け継いでいる。ウーファーはアルミニウムとペーパーのハイブリッド振動板を用いた「ASコーン」を採用し、フレームにはアルミダイキャストを投入。


「ASコーン」採用のウーファー
ネットワーク回路に採用した空芯コイルやVan den hul製の内部配線もクラスを超えた贅沢な装備と言える。上位のVelaとも共通する技術が多く、強靭なアルミベースやダウンファイアリング方式のバスレフポートを採用して共振の影響を排除した堅固なキャビネットもその一つだ。


上位機種から受け継いだ曲線の美しいデザインも特徴的

底面に向けて設置されたダウンファイアリングのバスレフポート

■Solano FS 287.2を試聴 「響きが厚く豊かな低音、楽器の音色も鮮明に描く」


フロア型のSolano FS 287.2はハーモニーを下から支える低音の充実ぶりに引き込まれつつ、声や旋律楽器の表情の豊かさにも耳を奪われた。

低音はたしかに響きが厚くローエンドまでよく伸びているのだが、ベースの音像がむやみに広がったり、余分な音が残ることがないので、旋律やリズム楽器にかぶらず、すっきりとした響きに心地よさを感じる。弦楽三重奏(トリオ・ツィンマーマン)はチェロ本来の豊かな低音を確保しつつ、ヴァイオリンとヴィオラそれぞれの音色を鮮明に描き分け、細かい音符の粒立ちも鮮やかに再現した。


フロア型 Solano FS 287.2の音質をチェック
女性ヴォーカル(ペトラ・マゴーニ)は伴奏のリュートの分散和音を一音一音鮮明に聴き取れると同時に、音楽が前に進む推進力の強さを実感させる勢いあるサウンドに魅了された。力強さが際立つマゴーニのヴォーカルの魅力がここまで自然に浮かび上がってくる点に、前作からの着実な進化を聴き取ることができる。女声の限界に近い高音域もキツさや硬さとは無縁で、本来の密度の高い音色を忠実に再現した。

名録音として名高いアンセルメの「ロイヤル・バレエ・ガラ」は、金管楽器の柔らかい音色となめらかな質感が際立ち、キングズウェイホールの豊かな残響の存在も実感することができた。手前で表情豊かに歌い上げるヴァイオリンと舞曲のリズムを印象付ける低弦のピチカートの対比にも感心させられたが、打楽器もアタックが緩むことないし、ハープの発音の鮮やかさも聴き逃せない魅力の一つだ。


Solano FS 287.2は、トゥイーターの背面部にもバスレフポートを設ける

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