公開日 2014/05/28 11:00
山崎まさよし初ハイレゾ・ライブ録音『LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾』誕生の舞台裏
山崎さん特別インタビューも有り
国内外のメジャーアーティストが続々と注目タイトルをリリースし、盛り上がりを見せている“ハイレゾ”に、またひとつ大きなタイトルが登場した。
e-onkyo musicにて本日より192kHz/24bitで配信開始となった山崎まさよし『LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾』は、4月26日 かつしかシンフォニーヒルズにて開催されたライブ「Yamazaki Masayoshi LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾」を、ホールの響きそのままにハイレゾ音源収録したものだ。編集部はライブの現場に足を運び、音楽が生まれハイレゾに収められてゆく舞台裏を覗くことができた。
クラシックのホールで花開いた
ギター+弦楽の特別編成版ライブ
2012年以来、"SEED FOLKS"というツアータイトルをかかげて全国各地でツアーを行っている山崎さん。ツアータイトルどおり「種を蒔く人」となって、“音楽の種”、そしてこれまでの活動で育んできた花(曲)の数々を運び届けている。
タイトルに“Special”が付いた4月26日の回は、山崎さんのボーカルと愛用するギブソンのギターたち、そして弦楽カルテットだけという、非常にシンプルかつアコースティックな特別編成バージョンで行われた。会場に選ばれた かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールは、普段オーケストラの演奏会などが数多く行われている会場。収容人数は1,318席、名門オーケストラ・ウィーンフィルの本拠地であるムジークフェラインザールと同じシューボックス型の空間は、音響に優れていることで知られている。シンプルな編成から生まれる豊かな音楽が、ホールの空間でより一層豊かに響く。
Specialなライブの音をありのままに収める
TASCAMのシステム
Specialなライブの音をありのままに収めるための機材として選ばれたのは、「DA-3000」をはじめとするTASCAMブランドの製品だ。音響機器開発に実績を持つティアックの技術を活かし、ミュージシャンやスタジオ用機材を世に送り出すブランドとして1969年に誕生したTASCAM。第1弾製品であるオープンリールレコーダー「3300シリーズ」以来、「プロ機器同様、品質や信頼性に妥協をすることなく、多くの人に使用してもらえる録音機器を提供すること」という方針のもと、手頃な価格で性能と音質に優れた機器を数多く発売。多くのミュージシャンやエンジニアからの支持を獲得している。
TASCAMブランドの最新製品である「DA-3000」は、PCM 192kHz/24bitに加え2.8MHz/5.6MHz DSDにも対応する業務用マスターレコーダー/AD・DAコンバーター。「『これで録音すれば間違いない』という機材を作るべく開発された製品」(ティアック 景井氏)というとおり、多彩な録音・再生フォーマット/入出力端子に対応するほか、複数台同時走行によるマルチトラック録音も可能。音質を高める様々な技術も内蔵している点が特徴だ。電源部にはデジタル回路/アナログ回路別々の巻き線を持つEIコアトランスを搭載。出力側オーディオ回路はデュアルモノラル構成とすることで、高音質出力を実現するという。また、クロックには高精度なTCXO(温度補償型水晶発振器)も採用した。
今回の録音は「DA-3000」を12台組み合わせた24トラック収録。フォーマットはPCM 192kHz/24bitで実施した。それぞれのレコーダーは、新製品となるマスタークロックジェネレーター「CG-2000」を使って同期をとり、コンソール「DM-4800」でミキシングされる。景井氏によると、最近ハイレゾ録音を希望するアーティストは増えているが、「DA-3000」を使ってこれだけの大規模なライブレコーディングを行うのは今回が初めてなのだという。録音機材のセットアップはTASCAMチームが行い、録音/マスタリングは、長年山崎まさよしさんとタッグを組んでいるエンジニア・鈴 悟さんが担当する。
控え室に構築されたモニタリングシステムで会場の音チェックを行う鈴さんは、「非常にハイレゾリューションな耳を持っている人」と山崎さんが信頼を寄せているエンジニアだ。「今回はライブ録音なので、このホールで鳴っている音をそのまま感じられるようなサウンドを目指したい」という考えから、この場で良い音が録れるよう、マイクの立て方には気を配ったという。ボーカルやピアノ用マイクには高い周波数まで録れるものを採用。会場の空気感のカギになるオーディエンスマイクは多めに用意。ホール備え付けの天吊りマイクも使用した。この録音を後日テラミールスタジオに持ち帰り、ProToolsでミックス作業を行ったかたちだ。
実はPCM 192kHz/24bitでのミックス作業は、鈴さんにとって初めての試み。「普段は基本的に48kHz/24bitで、今年に入ってから96kHz/24bitも対応した感じ」なのだという。「今回は全トラックがバラで来るので、ミックスで対応できる幅も広がるのですが、192kHz/24bitの膨大なデータにPCが追いつくのか…未知数です。作業が終わった頃には病んでいるかも知れません(笑)」と話していた。
LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾/山崎まさよし 192kHz/24bit WAV/FLAC: アルバム¥4000 単曲¥400 http://www.e-onkyo.com/music/album/aug0001/ |
e-onkyo musicにて本日より192kHz/24bitで配信開始となった山崎まさよし『LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾』は、4月26日 かつしかシンフォニーヒルズにて開催されたライブ「Yamazaki Masayoshi LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾」を、ホールの響きそのままにハイレゾ音源収録したものだ。編集部はライブの現場に足を運び、音楽が生まれハイレゾに収められてゆく舞台裏を覗くことができた。
【CONTENTS】 ・クラシックのホールで花開いたギター+弦楽の特別編成版ライブ ・Specialなライブの音をありのままに収めるために − ハイレゾ録音の舞台裏 ・山崎まさよしさんインタビュー |
クラシックのホールで花開いた
ギター+弦楽の特別編成版ライブ
2012年以来、"SEED FOLKS"というツアータイトルをかかげて全国各地でツアーを行っている山崎さん。ツアータイトルどおり「種を蒔く人」となって、“音楽の種”、そしてこれまでの活動で育んできた花(曲)の数々を運び届けている。
タイトルに“Special”が付いた4月26日の回は、山崎さんのボーカルと愛用するギブソンのギターたち、そして弦楽カルテットだけという、非常にシンプルかつアコースティックな特別編成バージョンで行われた。会場に選ばれた かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールは、普段オーケストラの演奏会などが数多く行われている会場。収容人数は1,318席、名門オーケストラ・ウィーンフィルの本拠地であるムジークフェラインザールと同じシューボックス型の空間は、音響に優れていることで知られている。シンプルな編成から生まれる豊かな音楽が、ホールの空間でより一層豊かに響く。
Specialなライブの音をありのままに収める
TASCAMのシステム
Specialなライブの音をありのままに収めるための機材として選ばれたのは、「DA-3000」をはじめとするTASCAMブランドの製品だ。音響機器開発に実績を持つティアックの技術を活かし、ミュージシャンやスタジオ用機材を世に送り出すブランドとして1969年に誕生したTASCAM。第1弾製品であるオープンリールレコーダー「3300シリーズ」以来、「プロ機器同様、品質や信頼性に妥協をすることなく、多くの人に使用してもらえる録音機器を提供すること」という方針のもと、手頃な価格で性能と音質に優れた機器を数多く発売。多くのミュージシャンやエンジニアからの支持を獲得している。
TASCAMブランドの最新製品である「DA-3000」は、PCM 192kHz/24bitに加え2.8MHz/5.6MHz DSDにも対応する業務用マスターレコーダー/AD・DAコンバーター。「『これで録音すれば間違いない』という機材を作るべく開発された製品」(ティアック 景井氏)というとおり、多彩な録音・再生フォーマット/入出力端子に対応するほか、複数台同時走行によるマルチトラック録音も可能。音質を高める様々な技術も内蔵している点が特徴だ。電源部にはデジタル回路/アナログ回路別々の巻き線を持つEIコアトランスを搭載。出力側オーディオ回路はデュアルモノラル構成とすることで、高音質出力を実現するという。また、クロックには高精度なTCXO(温度補償型水晶発振器)も採用した。
今回の録音は「DA-3000」を12台組み合わせた24トラック収録。フォーマットはPCM 192kHz/24bitで実施した。それぞれのレコーダーは、新製品となるマスタークロックジェネレーター「CG-2000」を使って同期をとり、コンソール「DM-4800」でミキシングされる。景井氏によると、最近ハイレゾ録音を希望するアーティストは増えているが、「DA-3000」を使ってこれだけの大規模なライブレコーディングを行うのは今回が初めてなのだという。録音機材のセットアップはTASCAMチームが行い、録音/マスタリングは、長年山崎まさよしさんとタッグを組んでいるエンジニア・鈴 悟さんが担当する。
控え室に構築されたモニタリングシステムで会場の音チェックを行う鈴さんは、「非常にハイレゾリューションな耳を持っている人」と山崎さんが信頼を寄せているエンジニアだ。「今回はライブ録音なので、このホールで鳴っている音をそのまま感じられるようなサウンドを目指したい」という考えから、この場で良い音が録れるよう、マイクの立て方には気を配ったという。ボーカルやピアノ用マイクには高い周波数まで録れるものを採用。会場の空気感のカギになるオーディエンスマイクは多めに用意。ホール備え付けの天吊りマイクも使用した。この録音を後日テラミールスタジオに持ち帰り、ProToolsでミックス作業を行ったかたちだ。
実はPCM 192kHz/24bitでのミックス作業は、鈴さんにとって初めての試み。「普段は基本的に48kHz/24bitで、今年に入ってから96kHz/24bitも対応した感じ」なのだという。「今回は全トラックがバラで来るので、ミックスで対応できる幅も広がるのですが、192kHz/24bitの膨大なデータにPCが追いつくのか…未知数です。作業が終わった頃には病んでいるかも知れません(笑)」と話していた。
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