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公開日 2019/09/27 10:46

復活のNUMBER GIRL、「ガッサガサのロック」を聴くならレコードがアツい

解散から17年、再始動
和久井光司
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2019年2月15日、突然NUMBER GIRLの再結成が発表された。メジャー・デビューから3年半で解散した日本のオルタナ・ロック史上最高のバンドが、17年ぶりに “あの4人” で活動するとあっては注目せずにはいられない。20世紀末に福岡から登場し、ふやけたJ-POP勢をなぎ倒すように真性のロックを聴かせた彼らは、アッと言う間に消えてしまった。本人たちはどうだか知らないが、多くのファンは置き去りにされたような気分だったことだろう。

解散後、向井秀徳が結成したZAZEN BOYSはNUMBER GIRLの発展形とも目されたが、若き日の焦燥をフルテンにしたアンプに突っ込んだような音とは種類が違うところがある。いや、知的な佇まいを残したまま破壊的な音塊と化すZAZEN BOYSも私は大好きなのだが、40代になったいま、 “あの4人” がどういう音を出すのかを考えるとゾクゾクするのだ。そんなバンドはNUMBER GIRLだけ、と言っても過言ではないだろう。


NUMBER GIRLを聴いて最初に感じたのは「違和感」だった

日本のロック・シーンで今年いちばんの話題となっているのが、NUMBER GIRLの再結成だ。新宿ロフトでの復活を経て夏フェスに参戦、そして東名阪福ツアー初日の8月18日、日比谷野外音楽堂で収録されたライブはWOWOWでの独占放映(9月29日20時30分〜/10月28日23時30分〜)が決まっている。(番組詳細はこちら)

1995年に福岡で結成されたNUMBER GIRLは、アヒト・イナザワ(ds)、向井秀徳(vo, g)、中尾賢太郎 45歳(b)、田淵ひさ子(g)の4人組。99年夏のメジャー・デビューから、02年4月26日に札幌のライブで解散するまで、活動期間はわずか3年半だったが、日本のロックの歴史を21世紀につないだ「歴史的なバンド」と言っていい。

ファースト・アルバムには「PIXIE DU」なんて曲があるけれど、ピクシーズやハスカー・ドゥに影響を受けたのは間違いないエッジの立ったオルタナ・ロック。しかし、ソングライターである向井秀徳の歌詞が描く独特の厭世観と、痙攣しながら疾走していくような重いバンド・サウンドで、世界でも類を見ない、唯一無二の存在となったのだ。

1stアルバム『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』

私は当時、ある高名な音楽評論家から「絶対いいから」と薦められてアルバムを聴いてみたのだが、最初はリスナーの神経を逆なでするような音がどんどん気持ちよくなり、バンドとしての達者さと向井の歌詞に引き込まれていった。

人は年齢を重ねると、自分の尺度で物を見るようになるが、いつしか自分の好みに対しても「オレはこういうのが好き」と決めてかかって、良く言えば「趣味のいい」、悪く言えば「排他的な」オトナになっていくものだ。

しかし、それはいずれにしても「若さを失っていく」方を向いている。自分の衝動を爆発させてくれる何かを求めて、「もっと面白いものはないのか?」「もっと夢中になれるものは?」と、ギラギラした目で世界を眺めているのが「若さ」であり、余裕をかましていては本当に心を躍らせてくれるものを見過ごしてしまう。

私がNUMBER GIRLを聴いて最初に感じたのは、「違和感」だった。これだけのテクニックと表現力があれば、より多くの人に受け入れられる「ポップス」をつくれるはずだ。そうすれば売れるのに、と思ったのだ。

アルバムが3曲、4曲と進むうちに、私は思い直し始めた。「いや、それはオトナの考えだ」と。そんな「計算」をするから、猫も杓子も「同じようなJ-POP」になってしまうわけで、若い世代から「本物のロック・バンド」が生まれる確率は限りなくゼロに近くなってるんじゃないか、と自戒をこめて反省してしまったのである。

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