トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > レビュー記事一覧

公開日 2016/12/19 11:34
【特別企画】日本音響エンジニアリング「シルヴァン」「アンク」ユーザー訪問

ルームチューニング材「アンク」ユーザー宅を直撃。最新モデル導入で音響はどう変わったか?

林 正儀


早くから部屋を重要視して様々な製品を試してきた


日本音響エンジニアリングのルームチューニングアイテム“AGS”(Acoustic Grove System)の1号ユーザーであり、「アンク=生命の源」の名付け親でもある、目黒区在住の惣野正明さん。これまでお会いできなかったのが不思議なくらいだが、その願いがようやく叶い、JBLの5ウェイが鎮座する40畳ルームにお邪魔した次第……。

惣野さんのリスニングルームは約40畳。JBLユニットによるマルチアンプ駆動スピーカーの使い手としても有名で、左右各々5つのユニットを10台のパワーアンプ(Viola Bravo Legacy)で駆動。オーディオマニアの間では“メッカ”として知られている。前面のスピーカー側には高さ180?に揃えられた「アンク」が敷き詰められ、コーナーには「AGS」の特注モデル、天井には「アンクIIIの特注モデル」が、ドアとその対抗面には「アンクIII」が設置されている

いやあ見事というか、うらやまし過ぎる。部屋いっぱいの日本音響製品もそうだが、入った瞬間のこの響きのおいしさ気持ちよさ。静かなること森林のごとしである。どうチューンしたらこのレベルに到達できるものか。ともかく来歴や導入記をお聞きしてみたい。

惣野さんは25年ほど前、ニューヨークに滞在していた。滞在中はほぼ毎夜ライブ三昧というほどの音楽好きだ。そして大学時代からオーディオを開始。早い時期から部屋の重要さに気づいていたという。

写真右が惣野さん。筆者とは意外にも初対面。共通のオーディオ話に華が咲く

当時流行っていた吸音から、拡散に目覚めるのも早かった。少し省略するが、現在の部屋ではQRDやチューブトラップ、サーロジックなどひととおり経験済み。「でも問題は、リスニング位置で100Hz深いディップが出ることだったのです」。

ちょっと前後にずれたら薄まるけれど、そこは絶対に譲れない。グライコでの補正などもってのほかだ。「ディップ以外は奥行きや広がりなどはよかったので、好きなポイントでの音質にこだわるべきだという信念ですね」。この時点で意思の弱い私など妥協するだろう。

日本音響の製品との出会いと導入の変遷


そんな時(2009年)に出会ったのが、日本音響エンジニアリングというわけだ。試しに「シルヴァン」8枚を、色々な場所を探し自分の背後にセット。それだけでディップが大きく改善されたので、この部屋ではリア面がベストだったそうだ。

惣野さんのリスニングルームの後ろ側を見たところ

後ろには60?の奥行きがあるAGSが3列×2段で設置されていて、これがいちばん最初に導入した日本音響エンジニアリングの製品。以前本誌にて導入レポートをご紹介している

導入からほぼ7年が過ぎ、さて現在はというと……。見ての通り、背面の壁には奥行き60?のAGSと奥行23?センチのアンク。正面はアンクの2段重ねとし、コーナーだけ形状が違う「AGS」を採用。あとは天井のコーナー。そして一次反射対策ということで、天井とフロアにもそれぞれ対策をした。

天井の「アンクIII特注モデル」は最適な位置に動かせるように、レール上に設置されている

後面のコーナーにも特注の「AGS」を設置。L字型になるように作られている

スタジオグレード(それ以上かも)の環境を目指す惣野さんのポリシーは何ですか? とお尋ねすると、明快な答が帰ってきた。

「それは部屋の響きを大切にしながら、部屋が持つ“歪み(定在波やフラッターエコーなど)”を極小化することです。そうすることでスピーカーが十分フラットであれば、定在波やフラッターなどの“部屋の歪み”が無いため、スピーカーと相似形の音圧バランスが得られるはずです」。

アンプやスピーカーの歪みではなく、部屋にも歪みがあったのか!スピーカーから来る音が干渉してはいけない。読者諸氏もキモに銘じて欲しいものだ。

アンクの魅力を肌で実感する − かつて耳にしたことのない音


CHプレシジョンのプレーヤーに、惣野さんお気に入りのディスクをかけていただいた。「ジェニファー・ウオーンズ」「レナード・コーエン」、それに「カンターテ・ドミノ」などお馴染みのものだ。

スピーカーの真下に置かれた「床用アンク」の特注モデル

でもこの音は、かつて耳にしたことがない。何よりも音楽的だし、ニュアンス豊かなヴォーカルが聴覚に浸透する。そして魂をゆさぶるリアルさがこの部屋にはあるのだ。

吹き溜まり感や定在波による位相歪みが消えたせいか、奥にあった音が次々に聴こえ出す感じである。試聴角はかなり狭いのだが(45度)、スピーカーの外側まで雄大にステージが広がる立体音響。「みくりやクワイヤ」では教会の高い空間から、コーラスがフワッと舞い降りるようである。

低音も荘厳かつ自然そのもので、すばらしくクリア。オルガンのペダル音域はその方向まで指させる感じで、パイプを流れる空気の渦が見えそうな体験であった。

次のテーマはアンクの天井との隙間。現在は継ぎ足し用の「アンク」でその効果を試しているところ

さて、アンクの魅力を肌で実感できた今回の訪問記。オーディオルームの広い範囲でバランスが崩れないことも特筆したい。次回の訪問ではどんな進化をみせてくれるのだろうか。楽しみに待つ。




【問い合わせ先】
日本音響エンジニアリング(株)(公式サイト)
〒130-0021 東京都墨田区緑1-21-10
コンシューマー営業部
TEL/03-3634-7567


■惣野さん執筆
「オーディオルームAGS導入記」その1
「オーディオルームAGS導入記」その2
(日本音響エンジニアリング公式サイト内)




「シルヴァン/アンク」 過去のレポート/レビュー記事
  
ルームチューニング材「アンク」愛用者訪問 − 高級オーディオと音楽、製品の効果が堪能できる “理想郷”

新たな船出を迎えたルームチューニング材「AGS」を評論家・林正儀が体験!

サムネイル 「アンク」を評論家 田中伊佐資が自宅で試す

女性ユーザーがルームチューニング材「アンク・ミニ」で“極上のリスニング空間"を生み出すまで

3.3畳の狭小空間がコンサートホールに!? 日本音響「アンク/シルヴァン」の調音効果とは?

日本音響「アンク」ユーザーを訪ねる - 筋金入りのオーディオファンが認めたルームチューニング材の実力

日本音響のルームチューニング材「コーナーアンク」を天井まで増設 - その効果を実況体験する

日本音響のルームチューニング材「アンク」 ユーザー訪問 - 「長時間聴いていても疲れなくなりました」

日本音響のルームチューニング材「コーナーアンク」の効果は? 愛用ユーザーを訪ねる

低域の定在波を見事に解消 ? 日本音響のルームチューニング材「アンク」実例訪問

「不満点の解消だけに終わらないルームチューニング材」 ? ユーザーが語る「シルヴァン/アンク」の魅力

「狭い空間だからこそルームチューニングが重要」 ? 日本音響「シルヴァン/アンク」ユーザーを訪ねる

ルームチューニング材「シルヴァン/アンク」ユーザー訪問記 ? 新製品「アンクIII」は「霧が晴れるような効果」

ルームチューニング材「シルヴァン/アンク」ユーザーを訪ねる ? 新設のリスニング室でどう効果を発揮した?

パラゴンやGIYAの鳴り方はどう変わった? ? 「シルヴァン」ユーザーを訪ねる

「オーディオの経験値が上がった気がします」 ? 日本音響「シルヴァン/アンク」ユーザー訪問レポート

あのジャズ喫茶がルームチューニング材「アンク」を採用 ? 導入過程と効果を徹底レポート!

“響き過ぎる"広大な空間でも絶大な効果 ? 日本音響「シルヴァン/アンク」ユーザーを訪ねる

リビングが理想の音響空間に変貌するマンション・オーディオの必需品 ? 「シルヴァン」愛用ユーザーを訪ねる

【AGS vs ジャズ喫茶】全国にその名を轟かせる“名物"オーナーに「シルヴァン」の効果は通用するのか!?

SYLVAN vs. アバンギャルド - ルームチューニング特別レビュー

柱状拡散体“AGS"初の民生用モデル「Sylvan」を聴く

ルームチューニング材“AGS"に新モデル「アンク」登場

都市と森林の共生を図り、“音も良い銀行"がeco japan cup を受賞 - キーパーソンが狙いを語る

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 ヤマダデンキ、「ブラックフライデー」セールを11/16より開始。ベスト電器、マツヤデンキでも開催
2 iPhone買い換え、手持ちモデルを手放す際に必ずやっておくべきこととは?
3 ケーブル接続の「バランス/アンバランス」ってつまり何?
4 「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ」11月23日・24日開催。出展メーカーや連続試聴イベントの内容はコチラ!
5 <Inter BEE>ゼンハイザー、国内未発売製品を初お披露目/NHK、“自由に変形する”ディスプレイ/コルグ「Live Extreme」試聴デモ
6 THIEAUDIO「Origin」は低音好き垂涎!骨伝導搭載・クアッドハイブリッド構成のイヤホンを聴く
7 B&Wの人気シリーズ、トゥイーター・オン・トップ式ブックシェルフ3機種の魅力を探る
8 ビクター“nearphones”「HA-NP1T」速攻レビュー! イヤーカフ型ながら聴きイヤホンを女性ライターが使ってみた
9 MUSE HiFi、真空管搭載ポータブルDAC/AMP「M5 ULTRA」。ESS社と独自回路を共同開発
10 スピーカーの“原音再生”をデジタルフィルターで解決!テレビや車に搭載広がるEilex PRISMの秘密に迫る
11/15 10:43 更新

WEB