公開日 2017/07/13 10:00
「ColorSpark」技術がDMDデバイスを活かす
LED光源がもたらす新次元の明るさ。4K DLPホームシアタープロジェクター「HT9050」レビュー
鴻池賢三
世界で初めて、4K対応DLP方式のホームシアタープロジェクター「HT8050」を製品化したBenQ。そのDLPならではのシャープな描画は唯一無二で、ホームシアターファンにとって選択肢が増えたことは喜ばしい限りだ。
BenQは長年に渡り、DLP方式のプロジェクター生産で実績のある世界的ブランド。DMDデバイスを供給するテキサスインスツルメンツ社との密接な連携により、他社に先駆けた取り組みとクオリティ面でのアドバンテージは明白だ。
そのDLP陣営の旗手とも言えるBenQが繰り出す次の一手が、新たにLED光源を採用した本機「HT9050」である。従前モデル「HT8050」と比較しつつ特徴を紹介したい。
■新たにLED光源を採用した4Kホームシアタープロジェクター
まず基本として、利用するDMDデバイス、筐体、レンズは両機共通。DMDチップは415万画素(2,716×1,528)のマイクロミラーを備える0.66型で、画素ズラしにより830万画素相当の投写を実現している。
同じ画素ズラしでも、LCDタイプはフルHD(約214万画素)パネルを用いて4倍の解像度を得る製品が一般的なのに対し、本機はより高解像度のパネルを利用している点で異なる。LCDとDLPではパネルの駆動方法や光学的な構造が大きく異なるので単純に比較できないが、画質を評価する上で頭の片隅に置いておきたいポイントだ。
光学系も両機は共通で、4K用に開発された高精度かつ高解像度な6群14枚のズーム方式を採用。ズーム位置によらず、歪みが少なくユニフォーミティーの高い映像が期待できる。またレンズ自体も最高グレードのガラス素材が奢られ、さらに独自の低分散コーティングを施して色収差を抑えるなど、4K解像度にふさわしい取り組みが随所に見られる。
ほか、マニアが心配するのは、同じ光学系で光源を変更した際に起こりうる色収差だが、HT8050の開発当初から、UHDランプとLED光源を想定した光学設計がなされ、そうした問題は無いという。
100インチ表示時の投写距離は3.00〜4.50mで、レンズシフト量は最大縦±65%、横±27%と、設置性の面でもホームシアターに適した内容だ。
先行したHT8050と新登場したHT9050の最大の違いは、光源のLED化である。そのメリットとしては、まず、光源の寿命が2万時間程度と長く、ランニングコストが低く抑えられる点である。素早く点灯して輝度や色味が安定するなど、使い勝手も良く、スタジオなどプロの現場でもLED光源を支持する声は多い。また両機間においては、光源の違いが色域の違いとなって現れている。
HT8050ではTHX認証の絡みもあり、HDTVの規格であるBT.709の忠実な色再現がトピックだった。一方、本機はDCI-P3相当(96%カバー)の広色域が特徴。また、HT8050に対して本機は後継の位置付けでなく、両機は併売される。良し悪しというよりは、目的や好みに応じて、選択肢が増えたと考えれば良い。
■DMDの特徴を活かし新次元の明るさをもたらす「ColorSpark」
本機の特徴の1つが「LED光源」であるが、Philips社の「ColorSpark」技術を採用しているのが新しい。今後、プロジェクターのキーテクノロジーとなる可能性もあるので、詳しく解説しよう。
ColorSparkの目的は、今後主流となるであろうLEDを光源に採用しつつも、より明るく色鮮やかな映像表現すること。本機はスペックとして2,200ルーメンを謳っており、これはHT8050と同じ数値。従前の手法では、LEDは1,000ルーメンが限界だったことを考えると、新次元の明るさと言える。
ColorSparkがこうした明るさを確保できる理由は、LED素子の配列にある。DMDデバイスは対角が0.66インチ(約17mm)と極小のため、できるだけ小さな点光源が理想。しかし、LED素子が1つの場合、いくら高輝度品を用いても、家庭用プロジェクター用としては1,000ルーメン程度が限界とされている。他方で、輝度を稼ぐために複数のLED素子を用いようと平面的に配置すると、光源の面積が広くなってしまって集光が難しく、拡散によるロスも問題になる。
こうした問題を解決するのがColorSparkの「High Density Multi-LED」構造である。LED素子を直列に並べ、光学部品で集光し、まるで点光源のようにDMDに光を照射する。こうすることで、強力な光を生み出し、かつ、ミラーを反射して映像を作り出す、DMDデバイスの特性上重要な、入射角と反射角の関係を守ることもでき、最終的にもパワフルな光出力を可能にしている。
BenQは長年に渡り、DLP方式のプロジェクター生産で実績のある世界的ブランド。DMDデバイスを供給するテキサスインスツルメンツ社との密接な連携により、他社に先駆けた取り組みとクオリティ面でのアドバンテージは明白だ。
そのDLP陣営の旗手とも言えるBenQが繰り出す次の一手が、新たにLED光源を採用した本機「HT9050」である。従前モデル「HT8050」と比較しつつ特徴を紹介したい。
■新たにLED光源を採用した4Kホームシアタープロジェクター
まず基本として、利用するDMDデバイス、筐体、レンズは両機共通。DMDチップは415万画素(2,716×1,528)のマイクロミラーを備える0.66型で、画素ズラしにより830万画素相当の投写を実現している。
同じ画素ズラしでも、LCDタイプはフルHD(約214万画素)パネルを用いて4倍の解像度を得る製品が一般的なのに対し、本機はより高解像度のパネルを利用している点で異なる。LCDとDLPではパネルの駆動方法や光学的な構造が大きく異なるので単純に比較できないが、画質を評価する上で頭の片隅に置いておきたいポイントだ。
光学系も両機は共通で、4K用に開発された高精度かつ高解像度な6群14枚のズーム方式を採用。ズーム位置によらず、歪みが少なくユニフォーミティーの高い映像が期待できる。またレンズ自体も最高グレードのガラス素材が奢られ、さらに独自の低分散コーティングを施して色収差を抑えるなど、4K解像度にふさわしい取り組みが随所に見られる。
ほか、マニアが心配するのは、同じ光学系で光源を変更した際に起こりうる色収差だが、HT8050の開発当初から、UHDランプとLED光源を想定した光学設計がなされ、そうした問題は無いという。
100インチ表示時の投写距離は3.00〜4.50mで、レンズシフト量は最大縦±65%、横±27%と、設置性の面でもホームシアターに適した内容だ。
先行したHT8050と新登場したHT9050の最大の違いは、光源のLED化である。そのメリットとしては、まず、光源の寿命が2万時間程度と長く、ランニングコストが低く抑えられる点である。素早く点灯して輝度や色味が安定するなど、使い勝手も良く、スタジオなどプロの現場でもLED光源を支持する声は多い。また両機間においては、光源の違いが色域の違いとなって現れている。
HT8050ではTHX認証の絡みもあり、HDTVの規格であるBT.709の忠実な色再現がトピックだった。一方、本機はDCI-P3相当(96%カバー)の広色域が特徴。また、HT8050に対して本機は後継の位置付けでなく、両機は併売される。良し悪しというよりは、目的や好みに応じて、選択肢が増えたと考えれば良い。
■DMDの特徴を活かし新次元の明るさをもたらす「ColorSpark」
本機の特徴の1つが「LED光源」であるが、Philips社の「ColorSpark」技術を採用しているのが新しい。今後、プロジェクターのキーテクノロジーとなる可能性もあるので、詳しく解説しよう。
ColorSparkの目的は、今後主流となるであろうLEDを光源に採用しつつも、より明るく色鮮やかな映像表現すること。本機はスペックとして2,200ルーメンを謳っており、これはHT8050と同じ数値。従前の手法では、LEDは1,000ルーメンが限界だったことを考えると、新次元の明るさと言える。
ColorSparkがこうした明るさを確保できる理由は、LED素子の配列にある。DMDデバイスは対角が0.66インチ(約17mm)と極小のため、できるだけ小さな点光源が理想。しかし、LED素子が1つの場合、いくら高輝度品を用いても、家庭用プロジェクター用としては1,000ルーメン程度が限界とされている。他方で、輝度を稼ぐために複数のLED素子を用いようと平面的に配置すると、光源の面積が広くなってしまって集光が難しく、拡散によるロスも問題になる。
こうした問題を解決するのがColorSparkの「High Density Multi-LED」構造である。LED素子を直列に並べ、光学部品で集光し、まるで点光源のようにDMDに光を照射する。こうすることで、強力な光を生み出し、かつ、ミラーを反射して映像を作り出す、DMDデバイスの特性上重要な、入射角と反射角の関係を守ることもでき、最終的にもパワフルな光出力を可能にしている。
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