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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第138回】実録:FitEar 須山氏×Just ear 松尾氏スペシャル対談『あなたのお耳にジャストフィット!』

公開日 2015/11/20 11:00 高橋 敦
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■Just ear「ダブルレイヤーフィットシェル」

野村: 装着感のバリエーションとして、このショートノズル的な仕様は今後出てきそうですよね。僕は、Westoneのフレックスカナルも好きでして。耳に優しいんですよね、一般的なハードシェルに比べたら。

須山: 温まると柔らかくなる素材ですね。

高橋: じゃあせっかくなので、それ系の素材をノズル部分に採用しているJust earの松尾さんに…

松尾: 実はJust earを始めたとき、Westoneさんでそういうものが先に出ていると知らなかったんです。「そもそもこういうカスタムイヤホンってどうやって作ってるんだろう?」って調べるところから始めたくらいなんですよ。それこそFitEarさんが載っている記事や、くみたてLab 伊藤さんのブログを読んだり、材料メーカーさんに話を聞きに行ったり。Just earのシェルで使っている材料はドイツから輸入していて、そのドイツのメーカーさんにも直接会いに行ったんですね。そのときに「補聴器で使われているよ」って紹介されたのが、体温で柔らかくなる樹脂材料だったんです。これを使えば、装着性が良くなりそうだなと。それで実験用に入手して、自分で試していった中でシェルの硬い部分と柔らかい部分で素材を使い分けつつ一体化する「ダブルレイヤーフィットシェル」に落ち着いたんですけど…作るのは大変ですね。

須山: 難しいです。材質自体もよくなってきているし、各メーカーさんのノウハウも高まっているんですけど…このタイプの素材は昔からあるにはあったんですが、ノズル部分のように細い形状で穴まで空いていたりするパーツになると、経時劣化で避けたり割れたりしやすくなるんです。しかも修理が効かない。

松尾: 肉厚を薄くしてしまうのでそういうことになるんですよね。Just earでも「これだけの肉厚は確保しないといけない」という最小の大きさを決めています。実は、いままでにその大きさをクリアできなくて製作できなかったお客様もいるんですよ。製作工程も非常に手間がかかりますし。でもFitEarさんのように多くの製作経験のあるメーカーさんに対し、うちはこれから経験を積んでいこうという中で、装着感をハードシェルだけで高めるのは難しい。なので、チャレンジングではあったんですけれど、これでいこうと決めました。

野村: アプローチの違うメーカーが、ショートレッグにソフトノズルといった、それぞれのチャレンジで選択肢を広げてくれることは、ユーザーとして嬉しいですね。

高橋: 野村さんはどちらのカスタムも実際に使っていらっしゃいますけど、実感としてはどうですか?

野村: Westoneのフレックスカナルは、時期によって硬さが違うんですよね。硬い時期のものは、装着していない状態だとハードシェルくらい硬いです。でも1年くらい前に作ったものだとかなり柔らかくなっています。で、Just earはこの室温でもある程度柔らかいですよね。フレックスカナル系好きとしてはこれも好きです。ただ…硬いとか柔らかいとかじゃなくてFitEar Airの「そもそもない」っていうのは画期的だなと。

須山: トンチです。

高橋: 当たりを柔らかくするとかじゃなくて、当たらねーし!っていう。

野村: Onkyo「IE-C」シリーズも近いタイプなので、Airを体験することでそれに対しての見方も変わりましたね。

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