公開日 2015/01/16 13:15
コンプライCEOが語る、音楽リスニングを変えるイヤホンチップ開発秘話
【特別企画】新素材によるフォームチップ開発中
Comply(コンプライ)TMは、イヤホンに装着する交換用のフォームチップを手がける米国のブランドとして、イヤホンマニアの間ではよく名が知られた存在だ。ここ最近のトピックとしては、「2015 International CES」でスポーツ用に開発された防水・防汗仕様の新イヤホンチップが発表されたことも記憶に新しい(関連ニュース)。
コンプライTMのフォームチップ製品は、独自開発の低反発ウレタン素材を採用することでフレキシブルな形状変化を可能とし、これにより個人によって形状が異なる耳穴へのフィット性を高め、同時に遮音性にも優れる点を特徴としている。これは体温によって柔らかくなるフォーム素材で、長時間装着しても違和感なく使用できることがポイントだ(コンプライTM製品の詳細はこちら)。
今回Phile-webでは、現在同社が特別な発泡素材を使った新イヤホンチップを開発中という情報をキャッチ。Complyブランドを立ち上げた米Hearing ComponentsのPresident兼CEOであるロバート・オリヴェイラ氏に話を伺うことができた。
■補聴器事業や軍用のフォームチップ開発からスタートしたコンプライTM
−− 今回は、新製品のお話も含めてお伺いしていきたいと思います。まずはおさらいの意味も込め、オリヴェイラさんが創業されたコンプライTMというブランドの概要について改めてお聞かせ下さい。
ロバート・オリヴェイラ氏(以下、オリヴェイラ氏): よろしくお願いします。私はコンプライTMを創業する前は3M社に務めており、人口内耳技術開発(※耳が不自由な方の内耳に電極を挿入して音が聞こえる感覚を与える技術)の責任者をしていました。当時、世界初の医療用人口内耳を開発したのですが、その後に3M社側から新技術の発展と推進へ取り組むことを推奨されたんです。そこで、耳や聴覚に関する最先端技術の開発で得た知見を活かし、補聴器事業を行うベンチャー企業としてコンプライTMブランドを立ち上げました。1986年のことでした。しばらくは3Mに在籍しながらコンプライTMの補聴器事業も同時に行っていたのですが、1990年に3Mを退社して自宅にオフィスを構え、コンプライTMの事業を独立して行うようになり現在に至ります。
−− なるほど。ちなみに最初は補聴器事業の会社だったということですが、イヤホンチップの開発はいつから始めたんですか?
オリヴェイラ氏: 1990年に独立したときからです。しかしイヤホンチップといっても、最初は軍用の製品でした。軍隊では通信用にイヤホンを使うんですが、例えばヘリコプターに乗っていて終始プロペラの音がして騒がしいような環境でも、イヤホンから流れる言葉は正しく聞き取れないといけないわけです。このときから、耳の形状にフィットさせることでしっかりした遮音性を確保することを念頭に、イヤホンチップの開発を行ってきました。
−− いま「耳の形状にフィットさせることで遮音性を高める」とおっしゃいましたが、基本的な思想は現在のコンシューマー向けイヤホンチップ開発と共通しているわけですね。
オリヴェイラ氏: そうですね。フィット性を高めることで、遮音性を向上し耳の安全を守ることについて当時から配慮してきました。イヤホンチップが挿入される耳中の外耳道は薄くて柔らかい場所ですから、その形にフィットするものを作らなくては耳自体を傷つけてしまいます。そこで、耳の形に合わせられるように柔らかい発泡素材を開発しました。元々「Comply(コンプライTM)」というブランド名も、「compliant=準拠する、あわせる」という単語からつけたものです。
−− よくわかりました。ちなみに、コンシューマー向けイヤホンのフォームチップを開発されたのはいつからなんですか?
オリヴェイラ氏: コンシューマー向けの交換用フォームチップを単体製品として発売したのは2004年からです。ちょうどiPodの登場により、ポータブルオーディオプレーヤー市場が盛り上がってきたタイミングですね。ちなみに、第一弾モデルは現在も販売している「Pシリーズ」でした。音楽リスニング用フォームチップの開発については、軍用モデルとはまた違ったこだわりがあります。
−− Pシリーズは、縦長形状で遮音性の高さを特徴とするモデルですよね。では続いて、まさに今おっしゃった「音楽リスニング用ならではのフォームチップ開発のこだわり」についてお伺いしていきたいと思います。
コンプライTMのフォームチップ製品は、独自開発の低反発ウレタン素材を採用することでフレキシブルな形状変化を可能とし、これにより個人によって形状が異なる耳穴へのフィット性を高め、同時に遮音性にも優れる点を特徴としている。これは体温によって柔らかくなるフォーム素材で、長時間装着しても違和感なく使用できることがポイントだ(コンプライTM製品の詳細はこちら)。
今回Phile-webでは、現在同社が特別な発泡素材を使った新イヤホンチップを開発中という情報をキャッチ。Complyブランドを立ち上げた米Hearing ComponentsのPresident兼CEOであるロバート・オリヴェイラ氏に話を伺うことができた。
■補聴器事業や軍用のフォームチップ開発からスタートしたコンプライTM
−− 今回は、新製品のお話も含めてお伺いしていきたいと思います。まずはおさらいの意味も込め、オリヴェイラさんが創業されたコンプライTMというブランドの概要について改めてお聞かせ下さい。
ロバート・オリヴェイラ氏(以下、オリヴェイラ氏): よろしくお願いします。私はコンプライTMを創業する前は3M社に務めており、人口内耳技術開発(※耳が不自由な方の内耳に電極を挿入して音が聞こえる感覚を与える技術)の責任者をしていました。当時、世界初の医療用人口内耳を開発したのですが、その後に3M社側から新技術の発展と推進へ取り組むことを推奨されたんです。そこで、耳や聴覚に関する最先端技術の開発で得た知見を活かし、補聴器事業を行うベンチャー企業としてコンプライTMブランドを立ち上げました。1986年のことでした。しばらくは3Mに在籍しながらコンプライTMの補聴器事業も同時に行っていたのですが、1990年に3Mを退社して自宅にオフィスを構え、コンプライTMの事業を独立して行うようになり現在に至ります。
−− なるほど。ちなみに最初は補聴器事業の会社だったということですが、イヤホンチップの開発はいつから始めたんですか?
オリヴェイラ氏: 1990年に独立したときからです。しかしイヤホンチップといっても、最初は軍用の製品でした。軍隊では通信用にイヤホンを使うんですが、例えばヘリコプターに乗っていて終始プロペラの音がして騒がしいような環境でも、イヤホンから流れる言葉は正しく聞き取れないといけないわけです。このときから、耳の形状にフィットさせることでしっかりした遮音性を確保することを念頭に、イヤホンチップの開発を行ってきました。
−− いま「耳の形状にフィットさせることで遮音性を高める」とおっしゃいましたが、基本的な思想は現在のコンシューマー向けイヤホンチップ開発と共通しているわけですね。
オリヴェイラ氏: そうですね。フィット性を高めることで、遮音性を向上し耳の安全を守ることについて当時から配慮してきました。イヤホンチップが挿入される耳中の外耳道は薄くて柔らかい場所ですから、その形にフィットするものを作らなくては耳自体を傷つけてしまいます。そこで、耳の形に合わせられるように柔らかい発泡素材を開発しました。元々「Comply(コンプライTM)」というブランド名も、「compliant=準拠する、あわせる」という単語からつけたものです。
−− よくわかりました。ちなみに、コンシューマー向けイヤホンのフォームチップを開発されたのはいつからなんですか?
オリヴェイラ氏: コンシューマー向けの交換用フォームチップを単体製品として発売したのは2004年からです。ちょうどiPodの登場により、ポータブルオーディオプレーヤー市場が盛り上がってきたタイミングですね。ちなみに、第一弾モデルは現在も販売している「Pシリーズ」でした。音楽リスニング用フォームチップの開発については、軍用モデルとはまた違ったこだわりがあります。
−− Pシリーズは、縦長形状で遮音性の高さを特徴とするモデルですよね。では続いて、まさに今おっしゃった「音楽リスニング用ならではのフォームチップ開発のこだわり」についてお伺いしていきたいと思います。
次ページより良い音楽リスニングのため「フォームチップが外耳道とどのように接触するか」を最重要視
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