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公開日 2015/10/09 09:55

「UD-503」はなぜDACに「AK4490」を採用したのか? ティアック × AKM 特別座談会

両社の技術者が最終製品とDACについて語る
構成/編集部:風間雄介
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ハイレゾの普及拡大に合わせて、USB-DACやDAC内蔵アンプなどが人気を集めている。そんな中、オーディオファンのあいだでは、搭載しているDACも機器選定時のポイントの一つとなっている。数あるDACブランドの中で、いま大きな注目を集めているのが旭化成エレクトロニクス(AKM)。以前からハイエンドオーディオ機器に多数搭載されている定番ブランドだが、2014年に「VELVET SOUND」を発表し、「原音重視」を掲げて新製品群を次々に投入。採用例が増えてきている。

今回はそのAKM製DACを採用した大手メーカー、ティアックを訪問した。初回ロットが瞬時に予約で埋まり品切れ状態となるなど、大ヒットを記録している「UD-503」をテーマに、ティアックの開発者とAKMの技術者で座談会をセッティングした。

ティアック「UD-503」。ヘッドホンアンプの実力も高めたUSB-DACだ

前機種「UD-501」が好評だったティアックだが、その後継機であるUD-503で、DACをAKMの「AK4490」に変更した。なぜDACを変えたのだろうか? DACが最終的な音に果たす役割の大きさ、DAC選びの基準などについて、興味深い話を聞くことができた。

UD-503に搭載された「AK4490」。UD-503は左右に1つずつ、計2基が搭載されている

AKMは2014年に「VELVET SOUND」というブランドを発表。「原音重視」を掲げて製品投入を行っている

ーー 今回の座談会では、ティアックさんから加藤さんと渡邊さんのお二人、そしてAKMさんからは佐藤さんと安仁屋さんのお二人にご出席頂きました。まずは読者の方々に、ふだんどのようなお仕事をされているかご説明いただけますか?

加藤徹也氏(以下敬称略、以下同):私はティアックで商品企画を担当しており、技術的な観点から具体的にどういう製品にしようか、システム設計や音質の監修などを行っています。

渡邊和夫氏:ティアックの渡邊です。製品の開発を担当しています。デジタル回路、アナログ回路、電源部など電気回路すべての開発を行っています。

安仁屋満氏:プレミアム系のオーディオの開発を担当しております。

佐藤友則氏:私はAKMでハイエンドのADCとDACの開発、それからそれぞれの製品の音決めを行っています。

左から順にティアックの加藤氏、渡邊氏、AKMの佐藤氏、安仁屋氏

ーー 佐藤さんはAKMで「オーディオマイスター」という肩書きをお持ちで、発表会イベントなどにも登場されていらっしゃいます。以前、当サイトでAKMさんにインタビューさせていただいたときもDACについて詳しくお話し頂きました。

今回のテーマは、大ヒットを記録しているUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「UD-503」、そして10月下旬に発売されるネットワークプレーヤー/USB-DAC「NT-503」です。どちらもティアックさんが得意とされている「デュアルモノラル」思想で作られており、DACにもAKM「AK4490」が2つ使われていますね。


ティアック(株)取締役 開発部長 加藤徹也氏
加藤:はい。いまご紹介頂いた通り、UD-503もNT-503も、どちらもティアック伝統の「デュアルモノラル思想」で作られています。もちろんDACの内部でもL/Rを綺麗に分けて開発して頂いていると思いますが、我々としてはわずかな干渉も許したくない。それで、LとRに1つずつ、計2つの「AK4490」を使っています。デュアルモノラル思想はDACだけではなく、すべてに渡っています。電源も左右別々ですし、アナログ回路も別々になっています。この小さい筐体に詰め込むのはかなり苦労したのですが、それが実際に音楽を聴いていただくときの音場感に、非常に効いてきます。

渡邊:チップ内部でL/Rが分かれていても、たとえば電源が1つであれば、それが干渉につながる可能性が出てきます。ですから我々としてはDACも左右に分けて音質を向上させているわけです。これがセットメーカーとしてのこだわりですね。

次ページティアック開発陣が語る、UD-503の開発で苦労した点

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