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公開日 2006/04/06 18:44
HD映像を半分のビットレートで − “Wooo”に搭載されたViXS社の新LSI
加ViXS Systems社は、4月4日に発表された薄型テレビ“Wooo”に搭載されたビデオプロセッサー「XCode 2121/2111」を発表、カナダ大使館で発表会を行った。
加ViXS Systems社は、2001年1月にカナダ・トロントに設立されたファブレス半導体メーカー。ビデオプロセッサーや無線LAN用IC、ソフトウェア&システムデザインなどを行っている。ビデオプロセッサー分野では、これまで「XCodeII」シリーズをリリースし、アナログ映像を4つ同時にエンコードする製品などを発売。同シリーズはデスクトップ型“VAIO”のほぼ100%に搭載されているほか、I-Oデータ機器やピクセラ、カノープスなどのキャプチャーボード、デルや日立製作所のPCなど、数多くの採用実績を持つ。
後述するように、今回の新ビデオプロセッサー「XCode 2121/2111」が搭載している機能は数多いが、中でも注目されるのは「XCodeHD」エンジン。HD映像からHD映像へのビットレート変換や、HD映像からSD映像へのダウンスケール、MPEG2からMPEG4などへのトランスコードなどを1チップで行える。
4月4日に日立製作所が発表した薄型テレビ“Wooo”のHDDレコーダー内蔵モデル「W42P-HR9000」「W37P-HR9000」には、HDトランスコード/トランスレート技術「XCodeHD」が搭載され、約半分のビットレートでHD映像を記録できる「TSE」モードが利用できる。この機能は、今回の新ビデオプロセッサーにより実現したもの。ビデオプロセッサーの設計はViXS社が行ったが、開発にあたっては早くから日立製作所と協議を行ったという。
“Wooo”2モデルは、受信したHD映像をビットレート10〜11Mbps程度に圧縮する「TSE1」モードと、7〜8Mbps程度に圧縮する「TSE2」モードを備える。
BSデジタルのHD映像は22〜23Mbps程度、地上デジタルは16〜17Mbps程度で放送されているため、BSデジタル時はTSE1、地上デジタル時はTSE2の各モードを選択すれば、それぞれ約半分程度で記録できる。
TSE1/2とも解像度は1,440×1,080となり、BSデジタルの1,920×1,080のフルHD映像は、水平方向の解像度が若干削られることになる。地上デジタルは通常の場合1,440×1,080のため、解像度の変更は基本的に行われない。もちろん、BSデジタルをTSE2で録画したり、地上デジタルをTSE1で録画することも可能。
なお、TSE1/2モードでの録画時には、データ放送用のデータは削られる。このため、データ放送を含めたすべてのコンテンツを記録する場合は、従来通りTSモードで録画する必要がある。
ビットレート変換を行う際のXCodeHDエンジン内部の処理は、TSフォーマットで入力されたHD映像のパケット分離を行い、暗号化の解読を行う。その後ビットレート変換を行い、暗号化を行ったあと、パケットの結合をし、最後にTSフォーマットで出力するという流れになる。
なお、ビットレートを抑えながら画質を維持するアルゴリズムについては「企業秘密」(同社CEOのSally Daub氏)とのことだが、「我々はこの分野で長い開発の歴史を持っている。人間が映像を見たとき、どこに注目するかなどの分析を行い、アルゴリズムに活かしている」とヒントをくれた。またDaub氏は、今後、HD映像の低ビットレート化をさらに推し進めていく考えも示し、「MPEG4 AVC/H.264の活用も視野に入れている」という。
「XCode 2121/2111」は、MPEG2からMPEG4への変換など、トランスコードについてもサポート。録画した映像を、PSPやiPodで再生できるMPEG4映像に短時間で変換することもできる。また、2121は2本のアナログ映像を同時にMPEG2/4にエンコードする機能も備える。さらに、1つの入力から2つの違ったフォーマットやビットレートへ同時にエンコードする「ミラーエンコード」機能などもサポート。この機能を利用すれば、MPEG2とMPEG-4 CIF映像を同時に記録し、CIF映像を携帯機器へ転送する、などといったソリューションも実現できる。
ハードウェアでトランスレート/トランスコードを行うため、HD映像の変換など重い処理が高速で行える点も特徴。一例を挙げると、HD映像をSD映像に変換するのは1.3〜2倍速、SD映像のビットレートを変える場合は4〜6倍速となる。
発表会の最後には、日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ マーケティング事業部 マーケティング本部 FPDマーケティング部の担当部長 尾関考介氏が登壇。XCode HD機能を搭載した“Wooo”9000シリーズを紹介した。
また、発表会会場にはWooo9000シリーズを3台並べ、もとのHD映像とTSEモードに変換した映像、XPモードのSD画質に変換した映像を比較表示。ビットレートを半分程度にしながら、ディテールがあまり損なわれない「XCodeHD」の実力を確かめることができた。日立製作所の説明員によると、「今回、薄型テレビと同時に発表したレコーダーは、ダイジェスト再生機能『いいとこ観』の搭載に注力したため、TSEモードは搭載できなかったが、将来的にはレコーダーにXCodeHDを採用することも検討している」という。
【問い合わせ先】
ViXS Systems Japan(株)
TEL/045-317-3051
(Phile-web編集部)
加ViXS Systems社は、2001年1月にカナダ・トロントに設立されたファブレス半導体メーカー。ビデオプロセッサーや無線LAN用IC、ソフトウェア&システムデザインなどを行っている。ビデオプロセッサー分野では、これまで「XCodeII」シリーズをリリースし、アナログ映像を4つ同時にエンコードする製品などを発売。同シリーズはデスクトップ型“VAIO”のほぼ100%に搭載されているほか、I-Oデータ機器やピクセラ、カノープスなどのキャプチャーボード、デルや日立製作所のPCなど、数多くの採用実績を持つ。
後述するように、今回の新ビデオプロセッサー「XCode 2121/2111」が搭載している機能は数多いが、中でも注目されるのは「XCodeHD」エンジン。HD映像からHD映像へのビットレート変換や、HD映像からSD映像へのダウンスケール、MPEG2からMPEG4などへのトランスコードなどを1チップで行える。
4月4日に日立製作所が発表した薄型テレビ“Wooo”のHDDレコーダー内蔵モデル「W42P-HR9000」「W37P-HR9000」には、HDトランスコード/トランスレート技術「XCodeHD」が搭載され、約半分のビットレートでHD映像を記録できる「TSE」モードが利用できる。この機能は、今回の新ビデオプロセッサーにより実現したもの。ビデオプロセッサーの設計はViXS社が行ったが、開発にあたっては早くから日立製作所と協議を行ったという。
“Wooo”2モデルは、受信したHD映像をビットレート10〜11Mbps程度に圧縮する「TSE1」モードと、7〜8Mbps程度に圧縮する「TSE2」モードを備える。
BSデジタルのHD映像は22〜23Mbps程度、地上デジタルは16〜17Mbps程度で放送されているため、BSデジタル時はTSE1、地上デジタル時はTSE2の各モードを選択すれば、それぞれ約半分程度で記録できる。
TSE1/2とも解像度は1,440×1,080となり、BSデジタルの1,920×1,080のフルHD映像は、水平方向の解像度が若干削られることになる。地上デジタルは通常の場合1,440×1,080のため、解像度の変更は基本的に行われない。もちろん、BSデジタルをTSE2で録画したり、地上デジタルをTSE1で録画することも可能。
なお、TSE1/2モードでの録画時には、データ放送用のデータは削られる。このため、データ放送を含めたすべてのコンテンツを記録する場合は、従来通りTSモードで録画する必要がある。
ビットレート変換を行う際のXCodeHDエンジン内部の処理は、TSフォーマットで入力されたHD映像のパケット分離を行い、暗号化の解読を行う。その後ビットレート変換を行い、暗号化を行ったあと、パケットの結合をし、最後にTSフォーマットで出力するという流れになる。
なお、ビットレートを抑えながら画質を維持するアルゴリズムについては「企業秘密」(同社CEOのSally Daub氏)とのことだが、「我々はこの分野で長い開発の歴史を持っている。人間が映像を見たとき、どこに注目するかなどの分析を行い、アルゴリズムに活かしている」とヒントをくれた。またDaub氏は、今後、HD映像の低ビットレート化をさらに推し進めていく考えも示し、「MPEG4 AVC/H.264の活用も視野に入れている」という。
「XCode 2121/2111」は、MPEG2からMPEG4への変換など、トランスコードについてもサポート。録画した映像を、PSPやiPodで再生できるMPEG4映像に短時間で変換することもできる。また、2121は2本のアナログ映像を同時にMPEG2/4にエンコードする機能も備える。さらに、1つの入力から2つの違ったフォーマットやビットレートへ同時にエンコードする「ミラーエンコード」機能などもサポート。この機能を利用すれば、MPEG2とMPEG-4 CIF映像を同時に記録し、CIF映像を携帯機器へ転送する、などといったソリューションも実現できる。
ハードウェアでトランスレート/トランスコードを行うため、HD映像の変換など重い処理が高速で行える点も特徴。一例を挙げると、HD映像をSD映像に変換するのは1.3〜2倍速、SD映像のビットレートを変える場合は4〜6倍速となる。
発表会の最後には、日立製作所 ユビキタスプラットフォームグループ マーケティング事業部 マーケティング本部 FPDマーケティング部の担当部長 尾関考介氏が登壇。XCode HD機能を搭載した“Wooo”9000シリーズを紹介した。
また、発表会会場にはWooo9000シリーズを3台並べ、もとのHD映像とTSEモードに変換した映像、XPモードのSD画質に変換した映像を比較表示。ビットレートを半分程度にしながら、ディテールがあまり損なわれない「XCodeHD」の実力を確かめることができた。日立製作所の説明員によると、「今回、薄型テレビと同時に発表したレコーダーは、ダイジェスト再生機能『いいとこ観』の搭載に注力したため、TSEモードは搭載できなかったが、将来的にはレコーダーにXCodeHDを採用することも検討している」という。
【問い合わせ先】
ViXS Systems Japan(株)
TEL/045-317-3051
(Phile-web編集部)