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公開日 2006/06/06 18:53

BD/PDP/オーディオに再注力 − パイオニアが中期事業戦略を発表

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同社取締役社長の須藤民彦氏
パイオニア(株)は本日、機関投資家や報道向けの企業説明会を開催した。事業構造改革のコンセプトが示されるとともに、経営再建プロジェクトの内容、2009年3月までの中期事業戦略などが発表された。

冒頭、同社取締役社長の須藤民彦氏は、2007年3月期の連結業績予想を発表。売上高は前期の7,550億円に対して8,300億円、営業利益は同164億円の赤字に対して120億円と予想し、純利益でも30億円の黒字を残す計画が示された。

ホームエレクトロニクス分野は、2006年3月期に352億円の赤字だったが、今期は180億円の赤字と予想し、赤字額が大幅に削減される見通し。収益の柱であるカーエレクトロニクス分野は、今期260億円の黒字と予想している。

事業構造改革については、1月1日にカンパニー制から事業部制に移行したことや、アクティブ型有機ELの量産化中止、従業員の削減、資産の減損などを進めていることが説明された。

続いて須藤氏は、経営再建プロジェクトを発表。以下の5つのポイントに注力することを宣言した。

(1)新しい企業ビジョンの策定
(2)コアプロセスの見直しと強化
(3)風土改革
(4)オーディオ事業の再活性化
(5)連結本社の戦略・管理機能の最適配置


経営再建プロジェクト
このうち「オーディオ事業の再活性化」について須藤氏は、「当社はもともとオーディオメーカーだったが、最近ではオーディオ分野の存在感が薄くなり、私から見て魅力的な製品も少なかった。ただ、カー分野ではオーディオも利益を上げている。また、昨年発売した高額スピーカー『EXシリーズ』は専門家からの評価も高く、販売も好調だ。このように、部分的に好調なものがあっても、それが横に広がっていないのが問題だ。これを改め、プレミアムオーディオブランドとして、オーディオ分野をコア事業化する」とし、オーディオ事業に注力する意義を強調した。

続いて須藤社長は、2009年3月期の事業目標を発表。連結営業収入は9,500億円、営業利益率は3%以上を目標に掲げ、「これを達成するためには、ホームエレクトロニクス分野の収益を早期にブレークイーブン化するとともに、カーエレクトロニクス分野の営業利益率を7%以上にすることが必要だ」と説明した。

2009年3月期の事業目標

カーエレクトロニクス事業への経営リソース配分を強化

個々の事業の戦略では、まずカーエレクトロニクス事業に経営資源を重点的に配分し、強化する計画が示された。「全社から人的リソースを集め、OEM事業を強化するとともに、市販市場でのトップポジションを堅持することが重要」と説明。「カーエレクトロニクスは、パイオニアの経営安定を高めるため、絶対的に重要な事業だ」と強調した。


PDP事業では「プレミアム価値の創出」が必要とアピール
ホームエレクトロニクス事業については、PDPと光ディスクの両分野についてくわしく説明を行った。PDP事業については、「販売と生産能力のミスマッチが赤字の原因」と分析し、今後の方針については「数も重要だが、我々が大切にしているお客様に喜ばれるものを作ることが重要だ」と、クオリティに注力することを強調。その上で須藤氏は、「欧米では、パイオニアのPDPはプレミアムバリューがある製品として認められている。今後は、業界最高水準のパネル技術と高画質化技術を積極的に活用し、プレミアムバリューにふさわしいデザイン、機能、品質、使い勝手、音質を実現することが必要だ」とした。また、「他者の追随を許さない高画質技術も視野に入っている」とも述べ、今後、新たな技術を発表する可能性を示唆した。

一部で報道されている、PDP新工場を起ち上げる計画については、「今回の中期事業計画は、2009年3月までには新工場を稼働させることを前提にして策定している。時期や場所等は未定だが、北京オリンピックには間に合わせたい」とした。ただし、「PDP事業では、どこかの段階で数に挑戦しないといけなくなる。我々とやりたいというパートナーが現れたら協力するのはやぶさかでないが、現在のところ具体的な話はない。PDPの生産増強は、既存工場のスクラップ&ビルドや他社との提携など、あらゆる可能性を検討している」とも述べ、含みを残した。

家庭用光ディスク事業のうち、DVDレコーダーについては、「既存の開発資産を活かし、開発投資を抑制する」と説明。一部報道のようにDVDレコーダー自体の開発を止めることはなく、既存の技術を活かしながら、付加価値を高めていく戦略だ。「これまでは全部自前主義で来たが、今後はコラボレーションや共同開発などを検討する必要がある。工夫を重ねることで重い開発費負担を避けたい」。

また、Blu-ray Discについては、「PDP事業を進めていく上で、1080pの映像を送出するプレーヤーを持つことは必要不可欠。Blu-rayの開発では有利なポジションにおり、当面の間はリーダーシップを取れる状況にある。まずはプレーヤーの全世界展開に注力し、レコーダーはそのあとになる」とした。

Blu-ray Discプレーヤーの第一弾として発売するのは、すでにアメリカで発売することが発表されている「BDP-HD1」(関連ニュース)だが、発売時期は秋口に遅れているという。日欧での発売については、「ソフトウェアの絡みで遅れており、発売時期は決まっていない」と説明した。

家庭用光ディスク事業ではBDプレーヤーの全世界展開に注力する

光ディスク分野での部品ビジネスも拡大させる

また、PC向けの光ディスク事業では、すでに開発の中心をBlu-rayに移しているという。今後はチップやピックアップなど、部品の外販も拡大していく考えだ。

(Phile-web編集部)

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