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公開日 2008/03/28 18:49
東京国際アニメフェアが開催 − BDアニメ制作担当者が語る「高画質化へのこだわり」
東京ビックサイトで3月27日から開催中の「東京国際アニメフェスティバル」。BDA主催により、「新世代パッケージメディア Blu-ray Discの魅力」と題したシンポジウムが行われた。
パネリストはソニーPCL(株)横田一樹氏、松下電器産業(株)加納康男氏、(株)ビデオテック 小山康明氏、(株)キュー・テック 平野則之氏、(株)IMAGICA 西 正徳氏の5人。BD製作に携わる現場の声を聞く機会となった。会は司会の質問に登壇者が答えるかたちで進行された。
Q.フルHD表示が可能なテレビや、BDレコーダー/プレーヤーなどが各メーカーから続々と発売されてきており、BD市場の盛り上がりを感じる。ソフト製作の現場はどのように変わったのでしょうか?
A.昨年2月からオーサリング作業を開始したが、コンスタントに仕事がきている。CM製作も請け負っているのだが、こちらでもHD映像で製作したい、という要望をいただくことが多くなった。さまざまな分野で高画質化志向が強まっていることが感じられる。(西氏)
Q.先日次世代光ディスクの規格が一本化されたことで、BD関連機器の普及が伸びていくことが予想される。今年のBDレコーダーの出荷数は150万台を超えるとの見込みもある。今年のBDへの期待を教えてください。
A.家庭内インフラが整うことで、タイトルのリリースを考えるコンテンツプロバイダーが増えると考えられる。我々としてもエンコーダーの生産ラインを増やすなどの対応を積極的に考えている。また、BD自体の製造ラインも着々と増えていると聞いている。(加納氏)
Q.BDとDVDの違いや利点はどのようなところにあるのでしょうか?
A.やはりなんと言ってもBDにはHD映像が入れられるところが利点だ。大容量のデータを効率よく圧縮し収録するために、ソフトウェアエンコーダーを使用して、DVDの十数倍のデータをディスクに収めることができるようになった。その分本編以外のメニューにアニメーションが付けられるなどの自由度が広がったため、DVDの時よりもオーサリング期間は長くなった。(小山氏)
Q.BDの画質を向上させるためこだわっているポイントや、工夫している点を教えてください。
A.
イマジカは元々フィルムの現像所がはじまり。「フィルムをいかに綺麗にビデオ信号に起こすか」「フィルムからいかにノイズを取り除くか」「いかに綺麗に色を再現するか」にこだわっている。
また、昨今フィルムを使わず全てデータで制作するDI(デジタルインターメディエイト)処理というものも利用している。これは、デジタルデータを、クオリティを保ちつつパッケージDVD/BDなどに変換できるというものだ。
また、デジタルアニメ特有の問題としてバンディング(色階調が少ないために表れる歪み)が挙げられるが、これを独自のM.A.P.S(マップス)で改善し、滑らかな画面を実現している。(西氏)
キュー・テックはレーザーディスクの制作に当初から携わっていたという経緯があり、光ディスクに収録するための映像や音声の調整・カッティングを行う実績があった。バンディングやフィルムのノイズリダクションなどを独自のスキームを使用して行い、より魅力的な映像のオーサリング・エンコーディングを目指している。(平野氏)
BDに使用されている映像フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264。ビデオテックはこのMPEGの歴史にずっと関わってきた。本編のみならずメニュー画面の製作にも関わるなど、DVDの時よりもトータルで制作に関わることが多くなったと感じている。(小山氏)
低ビットレートながら高い画質を実現するため、優れたH.264エンコーダーを開発してきた。これにより巨大なスクリーンでも、マスタークオリティと遜色ない映像の再現が可能になったと自負している。BDはポップアップメニューなどDVDにはなかった新しい機能の製作も行わなくてはならない。そのタイトルに相応しく、かつユーザーにも分かりやすいものをと考え、BDならではのメニューを制作している。(加納氏)
ソニーPCLはかなり初期からBDに関わっており、ソニーと共同でエンコーダーの開発などを行ってきた。工夫している点は、BDならではの高画質・高音質を行かせるマスタリング。BDならではのオーディオ性能をどう活かすか、メニューをどのように作るか、などを考えながら、編集からエンコード、音声作成、オーサリングなどを一貫工程で行っている。(横田氏)
Q.近い将来サービスが開始される「BD-Live」のメリットはどういうところにあると考えますか?
A.大きく分けると「提供型」「参加型」の2つが挙げられる。「提供型」は購入者を対象に特典映像を配信できるといったサービス、「参加型」は対戦ゲームやランキング、感想掲示板などを提供できるサービスだ。これらはパッケージそのものの魅力を高めてくれる機能だと考えている。ネットワーク機能などをパソコンでなくリビングのテレビで楽しめるのも、BD-Liveならではの付加価値だと思う。(横田氏)
また、シンポジウムの最後にはバンダイビジュアル(株)の井坂浩典氏が登壇。コンテンツプロバイダーとしてのBDについて語った。井坂氏は「昨年7月からBDの発売を開始し、現在16タイトルをリリースしている。先日も『機動戦士ガンダム00』のBDリリースを発表したが、これはユーザーからは『もっとBDを増やして』という声に応えたいという考えから。本日登壇したスタジオの方々の協力なくしてはソフトの製作・販売はありえない。今年は数多くのBDタイトルが発売されるだろうし、私もこれからのBDの発展と拡売を望んでいる」と述べた。
■会場レポート
放送アナリストの佐藤和俊氏と編集部による会場のフォトレポートを以下に掲載する。なお、次号のAV REVIEWに佐藤氏による詳細なレポートを掲載予定だ。
キー局では、視聴者のライフスタイル変化に伴い、アニメを放映する機会が減っている。その代わりを果たしているのが、BSやスカパー等の衛星放送。そして、首都圏では独立U局として地デジを配信している、「TOKYO MX」もアニメ編成に力を入れている。山梨各地やつくば市などでも、ケーブルテレビで再送されているところもあるので、アニメファンなら要チェックである。
この春に、演奏所と本社屋移転を控えているのが、昨年12月に開局した、「BS11」である。「アニメ+」は同局がBS広告放送局として標榜する「人と人の出会い」を実現するため、各年代別編成に力を入れてるジャンルのひとつで、アニメから選りすぐった番組を揃えている。また、3D試験放送も昨年12月から実施中。こちらは家庭で視聴する際には3D表示対応テレビと専用メガネが必要だ。対応テレビは今年4月より全国家電量販店などで販売開始予定。ビックカメラなどでデモも行われているので、興味がある方はチェックしてみてほしい。
(Phile-web編集部)
パネリストはソニーPCL(株)横田一樹氏、松下電器産業(株)加納康男氏、(株)ビデオテック 小山康明氏、(株)キュー・テック 平野則之氏、(株)IMAGICA 西 正徳氏の5人。BD製作に携わる現場の声を聞く機会となった。会は司会の質問に登壇者が答えるかたちで進行された。
Q.フルHD表示が可能なテレビや、BDレコーダー/プレーヤーなどが各メーカーから続々と発売されてきており、BD市場の盛り上がりを感じる。ソフト製作の現場はどのように変わったのでしょうか?
Q.先日次世代光ディスクの規格が一本化されたことで、BD関連機器の普及が伸びていくことが予想される。今年のBDレコーダーの出荷数は150万台を超えるとの見込みもある。今年のBDへの期待を教えてください。
Q.BDとDVDの違いや利点はどのようなところにあるのでしょうか?
A.やはりなんと言ってもBDにはHD映像が入れられるところが利点だ。大容量のデータを効率よく圧縮し収録するために、ソフトウェアエンコーダーを使用して、DVDの十数倍のデータをディスクに収めることができるようになった。その分本編以外のメニューにアニメーションが付けられるなどの自由度が広がったため、DVDの時よりもオーサリング期間は長くなった。(小山氏)
Q.BDの画質を向上させるためこだわっているポイントや、工夫している点を教えてください。
A.
イマジカは元々フィルムの現像所がはじまり。「フィルムをいかに綺麗にビデオ信号に起こすか」「フィルムからいかにノイズを取り除くか」「いかに綺麗に色を再現するか」にこだわっている。
また、昨今フィルムを使わず全てデータで制作するDI(デジタルインターメディエイト)処理というものも利用している。これは、デジタルデータを、クオリティを保ちつつパッケージDVD/BDなどに変換できるというものだ。
また、デジタルアニメ特有の問題としてバンディング(色階調が少ないために表れる歪み)が挙げられるが、これを独自のM.A.P.S(マップス)で改善し、滑らかな画面を実現している。(西氏)
キュー・テックはレーザーディスクの制作に当初から携わっていたという経緯があり、光ディスクに収録するための映像や音声の調整・カッティングを行う実績があった。バンディングやフィルムのノイズリダクションなどを独自のスキームを使用して行い、より魅力的な映像のオーサリング・エンコーディングを目指している。(平野氏)
低ビットレートながら高い画質を実現するため、優れたH.264エンコーダーを開発してきた。これにより巨大なスクリーンでも、マスタークオリティと遜色ない映像の再現が可能になったと自負している。BDはポップアップメニューなどDVDにはなかった新しい機能の製作も行わなくてはならない。そのタイトルに相応しく、かつユーザーにも分かりやすいものをと考え、BDならではのメニューを制作している。(加納氏)
ソニーPCLはかなり初期からBDに関わっており、ソニーと共同でエンコーダーの開発などを行ってきた。工夫している点は、BDならではの高画質・高音質を行かせるマスタリング。BDならではのオーディオ性能をどう活かすか、メニューをどのように作るか、などを考えながら、編集からエンコード、音声作成、オーサリングなどを一貫工程で行っている。(横田氏)
Q.近い将来サービスが開始される「BD-Live」のメリットはどういうところにあると考えますか?
また、シンポジウムの最後にはバンダイビジュアル(株)の井坂浩典氏が登壇。コンテンツプロバイダーとしてのBDについて語った。井坂氏は「昨年7月からBDの発売を開始し、現在16タイトルをリリースしている。先日も『機動戦士ガンダム00』のBDリリースを発表したが、これはユーザーからは『もっとBDを増やして』という声に応えたいという考えから。本日登壇したスタジオの方々の協力なくしてはソフトの製作・販売はありえない。今年は数多くのBDタイトルが発売されるだろうし、私もこれからのBDの発展と拡売を望んでいる」と述べた。
■会場レポート
放送アナリストの佐藤和俊氏と編集部による会場のフォトレポートを以下に掲載する。なお、次号のAV REVIEWに佐藤氏による詳細なレポートを掲載予定だ。
キー局では、視聴者のライフスタイル変化に伴い、アニメを放映する機会が減っている。その代わりを果たしているのが、BSやスカパー等の衛星放送。そして、首都圏では独立U局として地デジを配信している、「TOKYO MX」もアニメ編成に力を入れている。山梨各地やつくば市などでも、ケーブルテレビで再送されているところもあるので、アニメファンなら要チェックである。
この春に、演奏所と本社屋移転を控えているのが、昨年12月に開局した、「BS11」である。「アニメ+」は同局がBS広告放送局として標榜する「人と人の出会い」を実現するため、各年代別編成に力を入れてるジャンルのひとつで、アニメから選りすぐった番組を揃えている。また、3D試験放送も昨年12月から実施中。こちらは家庭で視聴する際には3D表示対応テレビと専用メガネが必要だ。対応テレビは今年4月より全国家電量販店などで販売開始予定。ビックカメラなどでデモも行われているので、興味がある方はチェックしてみてほしい。
(Phile-web編集部)