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公開日 2011/02/07 12:31
【更新】ビクター、スタジオエンジニアと共同開発したモニターヘッドホン「HA-MX10」を発売
新開発「モニタードライバーユニット」採用
ビクターは、同社のヘッドホンやスピーカーなどオーディオ機器に関連する技術と、ビクタースタジオのエンジニアたちによる音楽制作のノウハウとを融合させ、開発したスタジオモニターヘッドホン「HA-MX10」を2月上旬に発売する。
価格はオープンだが、2万円前後での販売が予想される。
本機は同社オーディオ機器開発スタッフと、東京青山のビクタースタジオで音楽制作に関わるスタジオエンジニアが共同開発したスタジオモニターヘッドホン。それぞれの技術とノウハウを重ねあげ、ビクターの音づくりにおけるメインコンセプトである“原音再生”を実現することをねらった。
ユニットには“モニタードライバーユニット”を採用。振動板のドーム高やエッジ幅などを、徹底したシミュレーションにより分析しながら試作を重ね、ビクタースタジオでの実聴評価を繰り返して完成させたという。ドライバーは40mm口径、マグネットはネオジウムを採用している。振動板の素材は厚さ23マイクロメートルのPETフィルム。コイルは55マイクロメートルのCCAWとしている。
振動板前面に配置するサウンドディフューザーも新たに開発。特許技術を出願しているというパーツには、試作と試聴を繰り返しながら形状・大きさ・数量・位置を最適化した孔をディフューザーとして設け、高域の音圧向上と広がり感、伸びを高めるとともに、解像感が豊かで自然な音の広がりを実現したという。
ハウジング内部には背圧を最適化するため新開発の“クリアバスポート構造”を採用している。スタジオ録音の現場で使用するモニターヘッドホンは、音漏れを発生させないため密閉型のハウジングを採用するのが一般的だが、本機では密閉型ハウジング内にヘッドバンドへのジョイント部につながる「バスポート」を音道として設けたことより、従来の密閉型ヘッドホンで発生しがちだった音の“こもり”を少なくし、低音の量感を保ちながら明瞭で歯切れのよい低域再生を可能にしている。ハウジング内には3箇所にグラスウール製の吸音材を最適に配置している。
さらにスタジオユースを意識し、最大許容入力1,500mWとしたほか、使い勝手や強度に配慮したパーツを開発し、採用している。
本機の発表当日、ビクタースタジオにて新製品記者説明会が開催された。はじめに日本ビクター(株)AVコミュニケーション統括部 企画部の澤田孝氏が登壇し、本機の開発意図を説明した。
本製品の開発を始めるにあたって、音楽を製作するアーティストやレコーディングエンジニアなど“音づくりのプロ”たちが基準にしているスタジオモニタースピーカーに匹敵する表現力を、ヘッドホンで実現することが目標に掲げられたという。ビクタースタジオのエンジニアとの共同開発は、これまでウッドコーンオーディオシステムで実績があるが、ヘッドホンは今回が初めてになる。澤田氏は「ビクターがコンシューマー向けの製品などで長年培ってきたヘッドホンの音響技術をベースに、ビクタースタジオのエンジニアたちと音質評価を繰り返しながら、カットアンドトライを続けてきたことで、新しいドライバーユニットや音響構造も開発し、本機に採用できた。音楽製作の現場だけでなく、一般の方々がプライベートユースでも楽しめる、高品位なスタジオモニターヘッドホンが完成したと自負している」と語り、本機の出来映えに自信をあらわにした。
続いてビクター エンタテインメント(株)ビクタースタジオ長の高田英男氏が、スタジオエンジニアの立場から本機の共同開発を振り返った。
一般的なスタジオレコーディングでは、アーティスト、ディレクター、スタジオエンジニアのそれぞれが、ヘッドホンやモニタースピーカーと、異なる機材で演奏のモニタリングを行うことが多いという。そのため、モニタリング環境の違いを超えて、音質・音色の統一感を得ることが、良い作品をつくるうえでとても重要なファクターになると高田氏は説明する。
殊にアーティストは楽器の演奏から歌入れまで、全てのモニタリングをヘッドホンにゆだねることが多く、ヘッドホンの善し悪しが演奏そのものに影響してくることになるという。今回の新製品を開発するにあたって、「ビクタースタジオで使用するヘッドホンは、スタジオのリファレンスになっているモニタースピーカーの音質感を、そのままに再現できるヘッドホンにしたいと考え、開発に着手した」と高田氏は経緯を振り返る。実際にヘッドホンの音質基準になったモニタースピーカーのひとつは、今回の記者説明会が開催されたレコーディング・マスタリングスタジオのリファレンスとして活躍するGENELECのラージモニター「1035B」だったという。
高田氏は良いスタジオモニターヘッドホンの条件として、「音色、音の質感ともに素直な再現力を備えていることも大事だが、もう一つに演奏者が気持ちよく音楽を感じながら演奏できるような、音楽的な表現力の高さも重要」と語る。また大編成の録音を行う際には、各楽器の音色や細部のバランスがよく見通せる高い解像力を備えていることも重要になるという。最近では製作音源が48kHz/24bit、96kHz/24bitの高音質でつくられることが一般的になり、高解像なスタジオモニターヘッドホンを求めるニーズは必然的に高まりつつあったのだと高田氏は語る。加えてスタジオでのハードな使用に耐えうる耐久性や、手軽なメンテナンス性も本機のメリットとして盛り込まれている。
記者発表会にはアーティストの石塚まみさんがゲストに招かれ、ボーカルレコーディングの現場を再現しながら、ヘッドホンのパフォーマンスを体験できる機会も設けられた。ビクタースタジオのエンジニアグループ長である秋元秀之氏の解説を交えながら、レコーディングブースに用意されたダイナミック/リボン/コンデンサーの3種類のマイクによる音質の違いが紹介されるとともに、コンデンサー型マイクを使った石塚さんのボーカル録音を一堂で体験し、スタジオのリファレンスモニタースピーカーとHA-MX10とで聴き比べることができた。
【問い合わせ先】
日本ビクター お客様ご相談センター
TEL/0120-2828-17
価格はオープンだが、2万円前後での販売が予想される。
本機は同社オーディオ機器開発スタッフと、東京青山のビクタースタジオで音楽制作に関わるスタジオエンジニアが共同開発したスタジオモニターヘッドホン。それぞれの技術とノウハウを重ねあげ、ビクターの音づくりにおけるメインコンセプトである“原音再生”を実現することをねらった。
ユニットには“モニタードライバーユニット”を採用。振動板のドーム高やエッジ幅などを、徹底したシミュレーションにより分析しながら試作を重ね、ビクタースタジオでの実聴評価を繰り返して完成させたという。ドライバーは40mm口径、マグネットはネオジウムを採用している。振動板の素材は厚さ23マイクロメートルのPETフィルム。コイルは55マイクロメートルのCCAWとしている。
振動板前面に配置するサウンドディフューザーも新たに開発。特許技術を出願しているというパーツには、試作と試聴を繰り返しながら形状・大きさ・数量・位置を最適化した孔をディフューザーとして設け、高域の音圧向上と広がり感、伸びを高めるとともに、解像感が豊かで自然な音の広がりを実現したという。
ハウジング内部には背圧を最適化するため新開発の“クリアバスポート構造”を採用している。スタジオ録音の現場で使用するモニターヘッドホンは、音漏れを発生させないため密閉型のハウジングを採用するのが一般的だが、本機では密閉型ハウジング内にヘッドバンドへのジョイント部につながる「バスポート」を音道として設けたことより、従来の密閉型ヘッドホンで発生しがちだった音の“こもり”を少なくし、低音の量感を保ちながら明瞭で歯切れのよい低域再生を可能にしている。ハウジング内には3箇所にグラスウール製の吸音材を最適に配置している。
さらにスタジオユースを意識し、最大許容入力1,500mWとしたほか、使い勝手や強度に配慮したパーツを開発し、採用している。
本機の発表当日、ビクタースタジオにて新製品記者説明会が開催された。はじめに日本ビクター(株)AVコミュニケーション統括部 企画部の澤田孝氏が登壇し、本機の開発意図を説明した。
本製品の開発を始めるにあたって、音楽を製作するアーティストやレコーディングエンジニアなど“音づくりのプロ”たちが基準にしているスタジオモニタースピーカーに匹敵する表現力を、ヘッドホンで実現することが目標に掲げられたという。ビクタースタジオのエンジニアとの共同開発は、これまでウッドコーンオーディオシステムで実績があるが、ヘッドホンは今回が初めてになる。澤田氏は「ビクターがコンシューマー向けの製品などで長年培ってきたヘッドホンの音響技術をベースに、ビクタースタジオのエンジニアたちと音質評価を繰り返しながら、カットアンドトライを続けてきたことで、新しいドライバーユニットや音響構造も開発し、本機に採用できた。音楽製作の現場だけでなく、一般の方々がプライベートユースでも楽しめる、高品位なスタジオモニターヘッドホンが完成したと自負している」と語り、本機の出来映えに自信をあらわにした。
続いてビクター エンタテインメント(株)ビクタースタジオ長の高田英男氏が、スタジオエンジニアの立場から本機の共同開発を振り返った。
一般的なスタジオレコーディングでは、アーティスト、ディレクター、スタジオエンジニアのそれぞれが、ヘッドホンやモニタースピーカーと、異なる機材で演奏のモニタリングを行うことが多いという。そのため、モニタリング環境の違いを超えて、音質・音色の統一感を得ることが、良い作品をつくるうえでとても重要なファクターになると高田氏は説明する。
殊にアーティストは楽器の演奏から歌入れまで、全てのモニタリングをヘッドホンにゆだねることが多く、ヘッドホンの善し悪しが演奏そのものに影響してくることになるという。今回の新製品を開発するにあたって、「ビクタースタジオで使用するヘッドホンは、スタジオのリファレンスになっているモニタースピーカーの音質感を、そのままに再現できるヘッドホンにしたいと考え、開発に着手した」と高田氏は経緯を振り返る。実際にヘッドホンの音質基準になったモニタースピーカーのひとつは、今回の記者説明会が開催されたレコーディング・マスタリングスタジオのリファレンスとして活躍するGENELECのラージモニター「1035B」だったという。
高田氏は良いスタジオモニターヘッドホンの条件として、「音色、音の質感ともに素直な再現力を備えていることも大事だが、もう一つに演奏者が気持ちよく音楽を感じながら演奏できるような、音楽的な表現力の高さも重要」と語る。また大編成の録音を行う際には、各楽器の音色や細部のバランスがよく見通せる高い解像力を備えていることも重要になるという。最近では製作音源が48kHz/24bit、96kHz/24bitの高音質でつくられることが一般的になり、高解像なスタジオモニターヘッドホンを求めるニーズは必然的に高まりつつあったのだと高田氏は語る。加えてスタジオでのハードな使用に耐えうる耐久性や、手軽なメンテナンス性も本機のメリットとして盛り込まれている。
記者発表会にはアーティストの石塚まみさんがゲストに招かれ、ボーカルレコーディングの現場を再現しながら、ヘッドホンのパフォーマンスを体験できる機会も設けられた。ビクタースタジオのエンジニアグループ長である秋元秀之氏の解説を交えながら、レコーディングブースに用意されたダイナミック/リボン/コンデンサーの3種類のマイクによる音質の違いが紹介されるとともに、コンデンサー型マイクを使った石塚さんのボーカル録音を一堂で体験し、スタジオのリファレンスモニタースピーカーとHA-MX10とで聴き比べることができた。
【問い合わせ先】
日本ビクター お客様ご相談センター
TEL/0120-2828-17
関連リンク
- ジャンルヘッドホン(単体)
- ブランドVICTOR
- 型番HA-MX10
- 発売日2011年2月上旬
- 価格¥OPEN(予想実売価格20,000円前後)
【SPEC】●型式:ダイナミック型 ●出力音圧レベル:108dB/1mW ●再生周波数帯域:10Hz〜28,000Hz ●インピーダンス:56Ω ●最大許容入力:1,500mW(IEC) ●コード:約2.5mOFC、φ3.5mm ステレオミニプラグ付 ●質量(コード含まず):約260g ●付属品:変換プラグアダプター