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公開日 2011/09/22 19:15

J:COMと東急電鉄が横浜ケーブルビジョンを共同買収 − 「CATVで生活支援型サービスを」

ファイル・ウェブ編集部
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ジュピターテレコム(J:COM)と東京急行電鉄は、相鉄ホールディングスとの間で、相鉄が100%を保有する横浜ケーブルビジョンの全発行済株式のうち、J:COMが51%を、東急電鉄が49%を取得することに合意。本日株式譲渡契約を締結した。買収額は両社あわせて75億円。


J:COM 代表取締役社長 森修一氏(左)と、東急電鉄 代表取締役社長 野本弘文氏
今回の両社による横浜ケーブルビジョン(YCV)の株式共同取得は、CATV業界の最大手として大きな顧客基盤を有するJ:COMと、鉄道事業および日々の生活に密着した様々な事業を展開する東急電鉄が協力することで、CATVをベースにした新たな生活支援サービスを開発・展開することを企図しているという。J:COMはこれまでにも他CATV事業者の買収を行ってきたが、他社と共同での買収は今回が初めて。

これによりYCVはJ:COMの連結子会社に、東急電鉄の持分法適用関連会社となる。買収後の名称変更などは無く、コンテンツも同じものが引き続き配信されるという。

本日行われた会見では、J:COM 代表取締役社長 森修一氏と、東急電鉄 代表取締役社長 野本弘文氏が登壇し、今回の共同買収における概要および今後のCATV事業展開について説明した。


森修一氏
森氏は今回のYCV買収理由として、YCVが事業展開するサービスエリアが、J:COMのエリアと東急グループが展開するCATV事業「イッツコム」のサービスエリアに囲まれていることを挙げ、「経営リソースの有効活用、近隣局との連携など、事業戦略上さまざまな相乗効果が見込まれる」と説明。また2012年に、相鉄いずみの線と東急東横線が相互に乗り入れることについても触れ、同エリアを「活性化が予想される地域」と説明した。


サービスエリアマップ。YCVのエリアは、J:COMとイッツコムのエリアに挟まれるかたち
経営陣は、社長はJ:COM、副社長は東急から指名し、非常勤で両社から2名ずつ取締役を指名する。「両社それぞれの強みとノウハウを持ち寄り、YCV事業価値向上のために協力」することを経営方針として掲げる。

森氏は「少子化や単身世帯の増加に加え、IPテレビや様々なコンテンツ配信事業の登場など、大きな環境変化が起きている中で、CATVがどう勝ち抜いていくか」が課題と説明し、「私たちは“地域密着”を1つのポイントとしていく」と語った。


「“地域密着”を1つのポイントとしていく」という
「地域の世帯一軒一軒を訪問し、アフターサービスも手がけ、“顔の見える事業者”となることを強みとし、CATVの技術を使って生活に必須な情報・サービスを展開していきたい。たとえば高齢者の方が自宅からスーパーで買い物ができるといったようなサービスなどだ」と、今後の構想を述べた。


野本弘文氏
野本氏は東急電鉄の概要を説明。「交通と不動産という2つのコア事業を展開する私たちは、もともと都市開発をしながら鉄道を引いてきた。安心で快適で住みやすい沿線にするために、どういうサービスを行っていくべきかを考えながら取り組んできた。その中で“テレビを観るだけの道具ではなく、情報発信のインフラにする”という視点から、1987年からCATV事業“イッツコム”を開始した」。


東急電鉄の概要

CATV事業の収入は、交通/不動産といった2つのコア事業に次いでいるという
野本氏は「イッツコムは開業してからなかなか利用車が増えず、苦しい時代もあった。20年以上が経ったいま、やっとCATVが情報インフラになったと考えている」とも語った。今回のJ:COMとのYCV共同買収については、「わたしたちは街づくりの視点から、CATVをひとつのツールとしていかに活用するかという視点を持っている。J:COMはCATV事業からいかに生活支援サービスを提供していくかという視点を持っている。『CATVが何をできるか?』という部分で、今回は互いの思いが合意した」と述べた。また「イッツコムの場合、チャンネル数がアナログ40ch、デジタル60chだったが、地デジ移行でアナログの分が空いた。ここで色々な商品を紹介するなど、様々な使い方が考えられる」と説明した。

同氏は最後に、「これからさらに医療や教育、行政手続きなどのサービスも行えるようにしていきたい。20数年前に“いつか来るであろう”と予想された世界が現実化してきた。これらサービスの実現に向けて邁進したい」と結んだ。


両社とも「業界全体で手をたずさえていきたい」と思いをコメント

CATVをベースとした生活空間の創造を目指す
なお両社とも、将来的なJ:COMとイッツコムの合併などについては、現時点では考えていないと述べ、「CATVが勝ち残るために、業界全体で手を携えていきたい」とコメントした。

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