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公開日 2013/07/23 14:59
4K&高ユニフォーミティで「本物感」追求 − シャープ、4K AQUOS「UD1」説明会
60型「LC-60UD1」が8月10日発売
シャープ(株)は22日、4K対応液晶テレビ“AQUOS”の記者向け説明会を開催した。同社では70型の「LC-70UD1」と60型の「LC-60UD1」を発表していたが、5月21日に行われた発表会では70型のみが展示され(関連ニュース)、60型は展示されていなかった。
また60型については先日、70型と同様に「THX 4Kディスプレイ規格」の認証を取得したことが発表された。これらの追加情報を含め、再度記者向けに4K AQUOSの特徴が説明された。
■大画面テレビ普及のため3つの課題
70型の「LC-70UD1」は6月15日に発売され、販売開始からすでに1ヶ月以上が経過した。60型「LC-60UD1」は2ヶ月近く遅れ、8月10日に発売される。想定売価は70型が85万円前後、60型が65万円前後。なお商品の機能や、サイズや質量以外の主な仕様は、70型と60型とでほぼ変わらない。
70型が発売されてから、60型を早く出して欲しいという声が販売店やユーザーから多かったという。同社 デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 第一商品企画部 部長 の指出 実 氏は、「70型では設置スペースに置けないのではないか、と心配される方が多いようです。60型は手頃なサイズで置きやすいとご評価頂いています」と語る。
指出氏は大画面テレビが普及するために、3つの課題があると指摘する。
「1つめは画素の粗さ。大画面になればなるほど画素の粗さが目につきやすくなります。2つめは画面の映り込みで、特に日本では明るいリビングでテレビを見ることが多く、画面に生活空間が映りこみ、没入の邪魔になります。3つめはスペース的な問題で、大画面テレビは設置スペースに困る場面もあります」。
今回の4K AQUOSは、これらの課題にしっかりと対応したと指出氏は強調する。画素の粗さについては、4K化を行うことで画素数を一気に4倍とした。画面への映り込みに対しては「4K モスアイパネル」を採用することで対応。また設置スペースについても、スピーカーをアンダースピーカータイプとし、さらにベゼルを狭くすることで省スペース設置を可能とした。「2005年の57型液晶テレビ“AQUOS”より、今回の70型モデルの方が横幅が短い」と指出氏は指摘する。
■高ユニフォーミティでTHX の認定も取得
画質面については、エッジライト式でありながら高いユニフォーミティ(輝度均一性)を実現したことを強調する。デジタル情報家電事業本部 AVシステム開発センター 第四開発部 画質開発グループ チーフの小池晃氏は、「通常はテレビ画面の中央部分が明るく、上下左右や四隅は輝度が落ちてしまいます。この差をなるべく無くし、ユニフォーミティを高めることで、映像に奥行き感が出てきます」。
同社では、アイキューブド研究所と共同開発した「ICC PURIOS」で、製造時の調整でユニフォーミティを徹底的に高める方法を採用した。今回のUD1シリーズでもこのノウハウを活用したのかというと、そうではないという。
「ICC PURIOSはそもそも直下型バックライトですし、製造する際に徹底した測定と調整で輝度を合わせ込む手法では、生産できる数が非常に少なくなってしまいます。UD1シリーズでは、設計の段階でユニフォーミティを高める工夫を盛り込みました」(小池氏)。
具体的には、LEDと導光板のギャップ幅を高精度に揃えるなどの工夫を行った。導光板の取り付け方を工夫したほか、キャビネットの歪みで導光板が微妙にズレる現象もあらかじめ設計段階で予測するなど、部材取付のバラツキによるユニフォーミティ低下を抑えるよう、公差設計を行った。
このようなユニフォーミティ向上などの取り組みなどもあり、70型、60型とも米THX社の厳しいテストに合格し、「4K THX ディスプレイ規格認証」を取得。映画制作者の意図通りの映像を表示できる性能を持つと認められた。
小池氏はTHXの認証を取得したことについて、あくまで「THXはベース」と強調。THXモードをもとに、シャープならではの味付けを施した映画モードも用意し、映画視聴用のプリセット画質モードを2種類とした。
小池氏はまた、ユニフォーミティと奥行き感の関連性について「ユニフォーミティが高いテレビ画面は、真っ白い平らなキャンバスに例えられる。だから奥行き感が表現できる」と説明する。
■4Kテレビは自然な画作りで「本物感」表現
今回の4K AQUOS UD1シリーズは、ユニフォーミティのほかにも、自然な画作りにこだわった。
小池氏はフルHDと4Kの画質の考え方の違いを、CDとSACDに対比して説明する。「CDは解像度は低いのですが、エッジが立っており、派手に感じられる傾向があります。ロックやポップスに向いていると考えています。一方でSACDはまさにアナログのような滑らかさで、目の前で楽器を演奏しているような臨場感があります。シャープでは現在、フルHDと4Kについても、この二つと同じような考え方で画作りを行っています。つまり、フルHDではファーストインプレッションを重視した派手な画作りとする一方、4Kでは本物感を追求し、おとなしく地味な画作りとしています」。
小池氏はさらに言葉を続け、「これまでフルHDテレビでは、クアトロンなどで誰もがわかりやすい映像を目指してきたが、今回のUD1では“本物感”を追求しました」とアピール。「他社では色鮮やかといった訴求をしているところもあるようですが、色は強調しすぎると嫌に感じられることもあります。UD1では映像が不自然な見え方にならないように注意し、奥行き感、立体感を重視しました」と語る。
UD1の店頭でのデモ映像も、本物感を追求した結果、これまで店頭モードとして採用していた「ダイナミックモード」を無くし、落ち着いた映像の「高精細モード」を新たに採用した。
「今後は中国メーカーなどがド派手な店頭モードの4Kテレビを店頭に置き、アピールすることが考えられますが、今回のUD1のような“本物”的な見え方は、日本メーカーでなければできません。それができるのが日本メーカーの価値だと考えています」(小池氏)。
また60型については先日、70型と同様に「THX 4Kディスプレイ規格」の認証を取得したことが発表された。これらの追加情報を含め、再度記者向けに4K AQUOSの特徴が説明された。
■大画面テレビ普及のため3つの課題
70型の「LC-70UD1」は6月15日に発売され、販売開始からすでに1ヶ月以上が経過した。60型「LC-60UD1」は2ヶ月近く遅れ、8月10日に発売される。想定売価は70型が85万円前後、60型が65万円前後。なお商品の機能や、サイズや質量以外の主な仕様は、70型と60型とでほぼ変わらない。
70型が発売されてから、60型を早く出して欲しいという声が販売店やユーザーから多かったという。同社 デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 第一商品企画部 部長 の指出 実 氏は、「70型では設置スペースに置けないのではないか、と心配される方が多いようです。60型は手頃なサイズで置きやすいとご評価頂いています」と語る。
指出氏は大画面テレビが普及するために、3つの課題があると指摘する。
「1つめは画素の粗さ。大画面になればなるほど画素の粗さが目につきやすくなります。2つめは画面の映り込みで、特に日本では明るいリビングでテレビを見ることが多く、画面に生活空間が映りこみ、没入の邪魔になります。3つめはスペース的な問題で、大画面テレビは設置スペースに困る場面もあります」。
今回の4K AQUOSは、これらの課題にしっかりと対応したと指出氏は強調する。画素の粗さについては、4K化を行うことで画素数を一気に4倍とした。画面への映り込みに対しては「4K モスアイパネル」を採用することで対応。また設置スペースについても、スピーカーをアンダースピーカータイプとし、さらにベゼルを狭くすることで省スペース設置を可能とした。「2005年の57型液晶テレビ“AQUOS”より、今回の70型モデルの方が横幅が短い」と指出氏は指摘する。
■高ユニフォーミティでTHX の認定も取得
画質面については、エッジライト式でありながら高いユニフォーミティ(輝度均一性)を実現したことを強調する。デジタル情報家電事業本部 AVシステム開発センター 第四開発部 画質開発グループ チーフの小池晃氏は、「通常はテレビ画面の中央部分が明るく、上下左右や四隅は輝度が落ちてしまいます。この差をなるべく無くし、ユニフォーミティを高めることで、映像に奥行き感が出てきます」。
同社では、アイキューブド研究所と共同開発した「ICC PURIOS」で、製造時の調整でユニフォーミティを徹底的に高める方法を採用した。今回のUD1シリーズでもこのノウハウを活用したのかというと、そうではないという。
「ICC PURIOSはそもそも直下型バックライトですし、製造する際に徹底した測定と調整で輝度を合わせ込む手法では、生産できる数が非常に少なくなってしまいます。UD1シリーズでは、設計の段階でユニフォーミティを高める工夫を盛り込みました」(小池氏)。
具体的には、LEDと導光板のギャップ幅を高精度に揃えるなどの工夫を行った。導光板の取り付け方を工夫したほか、キャビネットの歪みで導光板が微妙にズレる現象もあらかじめ設計段階で予測するなど、部材取付のバラツキによるユニフォーミティ低下を抑えるよう、公差設計を行った。
このようなユニフォーミティ向上などの取り組みなどもあり、70型、60型とも米THX社の厳しいテストに合格し、「4K THX ディスプレイ規格認証」を取得。映画制作者の意図通りの映像を表示できる性能を持つと認められた。
小池氏はTHXの認証を取得したことについて、あくまで「THXはベース」と強調。THXモードをもとに、シャープならではの味付けを施した映画モードも用意し、映画視聴用のプリセット画質モードを2種類とした。
小池氏はまた、ユニフォーミティと奥行き感の関連性について「ユニフォーミティが高いテレビ画面は、真っ白い平らなキャンバスに例えられる。だから奥行き感が表現できる」と説明する。
■4Kテレビは自然な画作りで「本物感」表現
今回の4K AQUOS UD1シリーズは、ユニフォーミティのほかにも、自然な画作りにこだわった。
小池氏はフルHDと4Kの画質の考え方の違いを、CDとSACDに対比して説明する。「CDは解像度は低いのですが、エッジが立っており、派手に感じられる傾向があります。ロックやポップスに向いていると考えています。一方でSACDはまさにアナログのような滑らかさで、目の前で楽器を演奏しているような臨場感があります。シャープでは現在、フルHDと4Kについても、この二つと同じような考え方で画作りを行っています。つまり、フルHDではファーストインプレッションを重視した派手な画作りとする一方、4Kでは本物感を追求し、おとなしく地味な画作りとしています」。
小池氏はさらに言葉を続け、「これまでフルHDテレビでは、クアトロンなどで誰もがわかりやすい映像を目指してきたが、今回のUD1では“本物感”を追求しました」とアピール。「他社では色鮮やかといった訴求をしているところもあるようですが、色は強調しすぎると嫌に感じられることもあります。UD1では映像が不自然な見え方にならないように注意し、奥行き感、立体感を重視しました」と語る。
UD1の店頭でのデモ映像も、本物感を追求した結果、これまで店頭モードとして採用していた「ダイナミックモード」を無くし、落ち着いた映像の「高精細モード」を新たに採用した。
「今後は中国メーカーなどがド派手な店頭モードの4Kテレビを店頭に置き、アピールすることが考えられますが、今回のUD1のような“本物”的な見え方は、日本メーカーでなければできません。それができるのが日本メーカーの価値だと考えています」(小池氏)。