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公開日 2015/04/10 10:00
「DTS:X」正式発表、機能詳細や各社AVアンプ発売スケジュールが明らかに
オブジェクトベースの新音声規格
米DTSは現地時間9日、新サラウンドフォーマット「DTS:X」を正式発表した。
DTS:Xは、同社初のオブジェクトベースを採用したフォーマット。2014年1月に「DTS-UHD」という名称で開発が示唆されていたもので、今年1月の「2015 International CES」にて「DTS:X」という正式名称が発表されるとともに(関連ニュース)、22.2chオブジェクト音声のデモンストレーションが行われていた(関連ニュース)。
DTS:X自体の仕様や、ホーム用機器への展開についてなど、CES時点では公開されていなかったいくつかの情報が今回の発表で明らかにされた。
DTS:Xは、従来のチャンネルベースではなく、音声の位置情報によるサラウンド再生という考え方はドルビーの「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」と同じ。なお、DTS:Xはソースコードなどその仕様をオープンにしていることが特徴で、劇場向けのほか、AVアンプやBlu-rayディスクといったホーム用途への導入が進められているほか、ストリーミング配信なども含む多様なメディア展開を視野に入れている。
DTS:Xの基幹技術は、DTSがフリーで提供するオブジェクトベースオーディオ制作のためのオープンプラットフォーム「MDA(マルチディメンションオーディオ)」(※記事初出時、DTS:X自体をライセンス料フリーと記載していましたが、正しくはその基幹技術であるMDAがライセンス料フリーのプラットフォームでした。お詫びし訂正いたします)。MDAは、サウンドオブジェクトの位置付け、動き、音量の制御を行うための技術となる。劇場、ストリーミング配信、放送、光ディスクといった多様なメディア形式に対応できるように、MDAプラットフォームは従来のチャンネルベースの音声情報もあわせてミックスできるようになっており、サウンドエンジニアがオブジェクトベースの音声とチャンネルベースの音声を“一度で編集できる”ようにしているとのこと。
高品質音声とその忠実度を保持して提供するため、ロスレスエンコードもサポート。同時に、高ビットレートでの再生が難しいシーンにおいては、高品質ながら不可逆での再生になるようにしているという。音声はオブジェクトミックス用に96kHzまでサポートし、ステレオとマルチチャンネルミックスのために192kHzまで対応している。
■DTS:X対応劇場/対応コンテンツも準備中
DTS:Xの本格的な劇場展開に向けて、DTSではデジタルシネマに関連する製品、サービス、ソリューションを提供するGDCテクノロジー社や、QSC並びにUSLとのパートナーシップを締結。同3社が、MDAファイルを処理しレンダリングするDTS:X対応各種コンポーネントを開発販売していく。
また2015年中に、GDCテクノロジー社を通じて、アジア地域における劇場のDTS:X対応アップデートを促進していく予定とのこと。DTS:Xの映画館向けライセンスプログラムでは、既存の映画館にDTS:X対応機器をインストールし、スピーカーを推奨の実装ガイドラインに沿って設置することで可能となり、映画館の構成にはほとんど左右されずに対応できるという。
また、DTS:X対応コンテンツの制作については現在、ロサンゼルス、カリフォルニア州北部とカナダのいくつかの主要なスタジオと話し合っている最中とのことで、公式な発表はスタジオを通じて行われる。
■家庭用DTS:X対応機器、各社AVアンプ製品が'15年中に登場
ホーム用途でDTS:Xのオブジェクト音声による再生を行うためには、DTS:Xデコーダーに対応するAVアンプが必要となる。後述するが、対応AVアンプ製品は2015年に各社から登場予定で、2015年モデルでは最大11.2ch出力までをサポートする。DVD/BDのほか、ストリーミングのファイル形式にも対応する。なお、DTS:Xデコーダーは、従来のチャンネルベースによるDTSフォーマットとの互換性を確保した仕様になり、DTS-HD Master Audio以下のDTSフォーマットの機能をサポートする。
スピーカーは、視聴スペースに最適な形になるよう部屋の環境にあわせてフレキシブルに設置することが可能。ステレオ音声、5.1ch、7.1chなど特定のスピーカーレイアウトに作成されたコンテンツは、スピーカーの設置環境にあわせて再フォーマットできるようにしている。32台までのスピーカーの位置情報に対応し、メタデータに基づく空間マッピングを行う。
今回の発表によれば、世界のAVアンプおよびサウンドプロセッサーメーカーの約90%がDTS:Xを採用した製品を展開予定であるという。現在のところ、日本国内ではデノンからDTS:X対応予定のAVアンプ「AVR-X7200WA」が発表されている(関連ニュース)。AVR-X7200WAは5月下旬発売だが、DTS:Xへの対応時期や対応方法は決定し次第アナウンスされる予定とのこと。
そのほかにもCESの時点で、Anthem、Integra、Krell、マランツ、McIntosh、オンキヨー、Outlaw Audio、パイオニア、Steinway Lyngdorf、Theta Digital、Trinnov Audio、ヤマハといったブランドが2015年中にDTS:X対応のAVアンプを発売する予定と明かされていたが、今回の発表で、マランツのAVプリアンプ「AV8802」が今年後半にアップデートでDTS:Xに対応することが明らかになった。
さらに、オンキヨーとIntegra、ヤマハは今年秋までに複数のモデルを展開する予定という。パイオニアの詳細は後日発表される見込み。なおソニーについては言及されていない。
また、シーラスロジックやアナログ・デバイセズ、TIなどがAVアンプメーカーに提供しているDSPも、2015年中にDTS:Xに対応する。
機能としては、AVアンプからダイアログのオブジェクトを背景から持ち上げて明瞭な音声に調整できるようになるという。コンテンツ制作者がミックス時にこの機能を実装できる。
そのほか、最大8K/120fps映像の伝送に対応するMHLの最新規格「superMHL」も、DTS:Xやドルビーアトモスなどのオブジェクトフォーマットに対応する予定であることが既に発表されている(関連ニュース)。
DTS:Xは、同社初のオブジェクトベースを採用したフォーマット。2014年1月に「DTS-UHD」という名称で開発が示唆されていたもので、今年1月の「2015 International CES」にて「DTS:X」という正式名称が発表されるとともに(関連ニュース)、22.2chオブジェクト音声のデモンストレーションが行われていた(関連ニュース)。
DTS:X自体の仕様や、ホーム用機器への展開についてなど、CES時点では公開されていなかったいくつかの情報が今回の発表で明らかにされた。
DTS:Xは、従来のチャンネルベースではなく、音声の位置情報によるサラウンド再生という考え方はドルビーの「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」と同じ。なお、DTS:Xはソースコードなどその仕様をオープンにしていることが特徴で、劇場向けのほか、AVアンプやBlu-rayディスクといったホーム用途への導入が進められているほか、ストリーミング配信なども含む多様なメディア展開を視野に入れている。
DTS:Xの基幹技術は、DTSがフリーで提供するオブジェクトベースオーディオ制作のためのオープンプラットフォーム「MDA(マルチディメンションオーディオ)」(※記事初出時、DTS:X自体をライセンス料フリーと記載していましたが、正しくはその基幹技術であるMDAがライセンス料フリーのプラットフォームでした。お詫びし訂正いたします)。MDAは、サウンドオブジェクトの位置付け、動き、音量の制御を行うための技術となる。劇場、ストリーミング配信、放送、光ディスクといった多様なメディア形式に対応できるように、MDAプラットフォームは従来のチャンネルベースの音声情報もあわせてミックスできるようになっており、サウンドエンジニアがオブジェクトベースの音声とチャンネルベースの音声を“一度で編集できる”ようにしているとのこと。
高品質音声とその忠実度を保持して提供するため、ロスレスエンコードもサポート。同時に、高ビットレートでの再生が難しいシーンにおいては、高品質ながら不可逆での再生になるようにしているという。音声はオブジェクトミックス用に96kHzまでサポートし、ステレオとマルチチャンネルミックスのために192kHzまで対応している。
■DTS:X対応劇場/対応コンテンツも準備中
DTS:Xの本格的な劇場展開に向けて、DTSではデジタルシネマに関連する製品、サービス、ソリューションを提供するGDCテクノロジー社や、QSC並びにUSLとのパートナーシップを締結。同3社が、MDAファイルを処理しレンダリングするDTS:X対応各種コンポーネントを開発販売していく。
また2015年中に、GDCテクノロジー社を通じて、アジア地域における劇場のDTS:X対応アップデートを促進していく予定とのこと。DTS:Xの映画館向けライセンスプログラムでは、既存の映画館にDTS:X対応機器をインストールし、スピーカーを推奨の実装ガイドラインに沿って設置することで可能となり、映画館の構成にはほとんど左右されずに対応できるという。
また、DTS:X対応コンテンツの制作については現在、ロサンゼルス、カリフォルニア州北部とカナダのいくつかの主要なスタジオと話し合っている最中とのことで、公式な発表はスタジオを通じて行われる。
■家庭用DTS:X対応機器、各社AVアンプ製品が'15年中に登場
ホーム用途でDTS:Xのオブジェクト音声による再生を行うためには、DTS:Xデコーダーに対応するAVアンプが必要となる。後述するが、対応AVアンプ製品は2015年に各社から登場予定で、2015年モデルでは最大11.2ch出力までをサポートする。DVD/BDのほか、ストリーミングのファイル形式にも対応する。なお、DTS:Xデコーダーは、従来のチャンネルベースによるDTSフォーマットとの互換性を確保した仕様になり、DTS-HD Master Audio以下のDTSフォーマットの機能をサポートする。
スピーカーは、視聴スペースに最適な形になるよう部屋の環境にあわせてフレキシブルに設置することが可能。ステレオ音声、5.1ch、7.1chなど特定のスピーカーレイアウトに作成されたコンテンツは、スピーカーの設置環境にあわせて再フォーマットできるようにしている。32台までのスピーカーの位置情報に対応し、メタデータに基づく空間マッピングを行う。
今回の発表によれば、世界のAVアンプおよびサウンドプロセッサーメーカーの約90%がDTS:Xを採用した製品を展開予定であるという。現在のところ、日本国内ではデノンからDTS:X対応予定のAVアンプ「AVR-X7200WA」が発表されている(関連ニュース)。AVR-X7200WAは5月下旬発売だが、DTS:Xへの対応時期や対応方法は決定し次第アナウンスされる予定とのこと。
そのほかにもCESの時点で、Anthem、Integra、Krell、マランツ、McIntosh、オンキヨー、Outlaw Audio、パイオニア、Steinway Lyngdorf、Theta Digital、Trinnov Audio、ヤマハといったブランドが2015年中にDTS:X対応のAVアンプを発売する予定と明かされていたが、今回の発表で、マランツのAVプリアンプ「AV8802」が今年後半にアップデートでDTS:Xに対応することが明らかになった。
さらに、オンキヨーとIntegra、ヤマハは今年秋までに複数のモデルを展開する予定という。パイオニアの詳細は後日発表される見込み。なおソニーについては言及されていない。
また、シーラスロジックやアナログ・デバイセズ、TIなどがAVアンプメーカーに提供しているDSPも、2015年中にDTS:Xに対応する。
機能としては、AVアンプからダイアログのオブジェクトを背景から持ち上げて明瞭な音声に調整できるようになるという。コンテンツ制作者がミックス時にこの機能を実装できる。
そのほか、最大8K/120fps映像の伝送に対応するMHLの最新規格「superMHL」も、DTS:Xやドルビーアトモスなどのオブジェクトフォーマットに対応する予定であることが既に発表されている(関連ニュース)。