• ブランド
    特設サイト
公開日 2019/03/20 10:46

スマートスピーカーにもAVアンプにも使える、クアルコム多機能SoC「QCS40x」詳報

米サンディエゴで発表会が開催
山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
米クアルコムがカリフォルニア州サンディエゴの本社に世界各国からジャーナリストを集めて、スマートオーディオ向けのアプリケーションプロセッサー「QCS40x」(400番台:xには下1ケタの数字が入る)シリーズを発表した(関連ニュース)。現地で取材した詳報をお届けしたい。

クアルコムがスマートオーディオ向けのアプリケーションプロセッサー「QCS40x」シリーズを発表した

カリフォルニア州サンディエゴに拠点を構えるクアルコムの本社でプレスカンファレンスが開催された


クアルコムとCSRの技術資産が遂に融合した

クアルコムは英半導体メーカーであるCSRを2015年に買収した後、クアルコムが得意とする携帯通信技術と、オーディオ分野のスペシャリストであるCSRの設計開発ノウハウのシナジー効果を積極的に高めてきた。

アプリケーションプロセッサーとは、オーディオの分野ではあまり聴き馴染みのない単語かもしれないが、要は様々なアプリケーション処理を可能にするSoC(システム・オン・チップ)のことである。かつて携帯電話に通話・通信以外のマルチメディア処理などのアプリケーションを組み込むために、中核となるベースバンド・エンジンを拡張しながら多機能化を遂げてきたモバイル向けSoCの基本設計をベースとして、音質にも磨きを掛けたクアルコムらしいアプリケーションプロセッサーがQCS40xシリーズなのだ。

QCS40xシリーズはクアルコムとCSRの半導体の設計開発技術の融合により実現したオーディオ用SoCであると説明するQualcomm Technologies InternationalのRob Saunders氏

最新のQCS40xシリーズは、ここアメリカのサンディエゴ本社にてクアルコムのモバイル向けSoCである「Snapdraon」シリーズのチームが設計開発を主導してきた。大きな強みは先述の通り、「ベスト・イン・クラスのオーディオ品質と、クアルコムのコンピューティングリソースとコネクティビティとの連携を図ったこと」と語るのは、Qualcomm Technologies Internationalのプロダクトマーケティング部門ディレクターであるRob Saunders氏だ。

「QCS40x」シリーズの実物ICチップ。サイズは1セントコインとほぼ同じだ

型番の一部である「QCS」は「QualComm Snapdragon」の頭文字に由来しているそうだ。Saunders氏は「スマートスピーカーやワイヤレススピーカー、サウンドバー、そしてAVアンプに優れた音質と多彩な機能の拡張性が提供できる」と、QCS40xシリーズに最適なオーディオコンポーネントについて言及している。ティアワンのオーディオメーカーを対象としたICチップのサンプル出荷は今年3月から始まった。

QCS40xの詳細は、記者会見の壇上に立ったQualcomm Atherosのプロダクトマネージメント部門ディレクターであるNishant Kumar Mittal氏がプレゼンテーションを行った。Mittal氏は「最新のSoCは、次世代のスマートオーディオコンポーネントに様々な機能の実装と効率の良いパワーマネージメントを提供するものになる」と述べている。オーディオメーカーが半導体コンポーネントを統合するために必要となる負担を抑えられるので、ユーザーによりスマートな体験を提供するための開発工程にリソースを集中できるメリットもあるという。

QCS40xシリーズの詳細を壇上で説明したNishant Kumar Mittal氏


高音質と多彩なコネクティビティが両立

Mittal氏はQCS40xシリーズの“4つの特長”について、「優れたオーディオ再生品質」と、「モバイル向けSoCの開発で培ったパワーマネージメントICのアーキテクチャの資産を活した低消費電力性能」「60ms以下の低遅延性能を実現した無線伝送」、そして「AIエンジンと機械学習アルゴリズムが統合されていること」を挙げた。特に他のオーディオ専用のSoCを提供する半導体メーカーに対するクアルコムの強みは、Wi-FiやBluetoothなど無線通信技術も含め、すべて統合したチップを提供できるところに発揮されるだろう。

QCS40xシリーズのブロックダイアグラム。上位のQCS407/405にはクアッドコアのCPUやGPUが搭載される

QCS40xシリーズのラインナップは全4種類に大別される。全部入りプレミアムクラスの「QCS407」とディスプレイ機能を含む上位の「QCS405」には、オーディオメーカーがOSD(On-Screen Display)の作り込みもできるよう、1080/30p対応のAdreno GPUが統合されている。ドルビーアトモス/DTS:Xのオブジェクトオーディオ再生に対応するオプションも選択可能だ。

次ページ拡張性が充実。開発コストの負担減にも効果

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 マランツ、未踏の領域へ。「次元が異なる」弩級フラグシップコンビ「MODEL 10」「SACD 10」レビュー!
2 JBL、楽天ブラックフライデーで人気完全ワイヤレスやサウンドバーが最大36%オフ。11/21 17時より
3 DAZN、登録なしで一部コンテンツを無料視聴できる新機能。11月導入予定
4 松村北斗と上白石萌音のW主演!PMSとパニック障害を抱える男女のかけがえのない物語
5 Sonos、ブランド初のプロ向けスピーカー「Era 100 Pro」発表。PoE採用で自由かつ簡単な設置を実現
6 妥協なきデノン “もうひとつの旗艦AVアンプ”。「AVC-A10H」がデノンサラウンドアンプのあらたな一章を告げる
7 iBasso Audio、初エントリーライン「iBasso Jr.」からポータブルDAC/アンプとイヤホンを発売
8 ケーブル接続の「バランス/アンバランス」ってつまり何?
9 ビクター“nearphones”「HA-NP1T」速攻レビュー! イヤーカフ型ながら聴きイヤホンを女性ライターが使ってみた
10 ビクター、実売5000円以下の完全ワイヤレス「HA-A6T」。耳にフィットしやすいラウンド型ボディ
11/18 10:32 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX