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公開日 2023/05/17 20:04
NHK受信料は「視聴の対価」ではなく「特殊な負担金」。割増金やネット受信料についても説明
メディア向けの説明会を開催
NHKは、受信料制度に関するメディア向け説明会を開催。受信料は「視聴の対価」ではなくNHKが国民の知る権利に奉仕する活動を維持していくための「特殊な負担金」という性格であることや、今年4月からスタートした割増金制度などについて改めて説明を行った。
まず、日本のテレビ放送について、NHKと民放が切磋琢磨する「二元体制」により、質の高いコンテンツを制作し、放送によってあまねく全国へ届けていると説明。最高裁が「(NHKの存在意義と受信料制度の趣旨は、)国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的とし、そのために必要かつ合理的な仕組みを形作ろうとするものである」などとして放送法の受信料制度が合憲と判断したことに触れつつ、公共放送の意義を語る。
そして、NHKは放送法によって設立された法人であるであるものの、その活動が第三者、特に政府から干渉されないようにするために、“高度な自主性”を財源面から保障するのが受信料制度であると説明。受信料は、NHKが国民の知る権利に奉仕していく活動を維持運営するための「特殊な負担金」であり、「番組を視聴できる対価」とは性格が異なるとした。これは1964年に郵政省(現在の総務省)の有識者会議で出された見解に基づいたものだ。
受信契約を拒否する人のなかには受信料を視聴の対価だと捉え、番組を見ていないから契約しないと考えるケースも一定数あると認識していると説明。そうした人たちに対し、上記のような受信料の性格を丁寧に説明し理解を求めていくとした。
なお、受信料の支払いについてはNHKの受信規約に支払義務が規定されているが、この規定も放送法を受けてのもの。放送法第64条に受信契約の締結義務が定められており、その契約義務に基づいて受信規約に支払い義務を定めた二段構えの建付けになっている。
一方、例えば単身赴任で家族で別居した際には新規契約分が通常の半額になるといった割引制度や、社会福祉施設や学校、公的扶助受給者などを対象にした支払い免除制度を用意していることも紹介。割引制度では年間約656億円、免除制度では年間553億円を国民に還元している計算になるという。
また、不当な手段で受信料支払いを免れた人や、テレビ設置後も受信契約しないままの人などを対象にした割増金制度が今年4月から新たに開始されたが、「対象となる事由に該当する場合に一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用していく」という従来からの方針を改めて紹介。NHKの公共的価値や受信料制度の意義に共感してもらい、納得して受信契約の手続きや受信料の支払いをしてもらうという方針に変わりはないと説明した。
なお、受信契約をしない人への割増金は、契約申込み期限が「受信機の設置の翌々月の末日まで」、つまりテレビ設置後2ヶ月となっている。そのため(制度が4月スタートだったため)まだ適用者は出ていない。今後もし適用者が出た場合に公表するかどうかは都度判断していくとのことだった。
また、個人ごとのテレビ設置時期などをどうやって調査するのかなど具体的な運用については、割増金制度があることの周知が重要だという考え方を示す。巡回をやめる方針であることもあってテレビ設置の有無を調べる方法がないことから、制度の周知によって公平負担への理解を広げていくとした。しかし、割増金制度をいたずらに強調して契約を迫ることのないようにもしていくとした。
その訪問営業は外部企業への委託と、「地域スタッフ」などと呼ぶ個人への委託という2つの形態があるが、法人委託は9月に、個人委託も今年度末に終了する予定。かつて個人委託は数千人レベルで展開していたが、現在は数百人程度に減っているという。
ただし、訪問活動を一切取り止めるのではなく、新しい形を模索していく考えだとも説明。従来のように契約獲得のために全戸を巡回するのではなく、NHKの活動への理解促進を図るなどのための訪問活動を行う可能性を示した。
なお、受信料徴収の対象となるのは主にテレビで、ラジオは受信料制度の対象外。ワンセグやフルセグを受信できるカーナビや携帯電話も受信契約の対象になる。
昨今、NHKプラスでのインターネット配信が始まったことを受けて、スマートフォンやPCも受信契約対象になるのではないかという、いわゆる“ネット受信料”を心配する声もある。しかし、これについては2022年6月に前会長の前田晃伸氏が「受信料制度については、我々が勝手に決められる問題ではない。現在、インターネットだけを見ている人から受信料をいただくことは考えていない」とコメントしており、また、その後11月の説明会でも「総務省のワーキンググループの議論も踏まえながら、視聴者を始めとする皆さんに納得いただけるような形を検討していきたい」としていた。
本日の説明会ではネット受信料について直接的な言及はなかったものの、国民の理解の上で受信料制度が成立していくことが大前提だと説明。総務省の有識者会議や、外部有識者を入れたNHK検討会などでの意見も踏まえながら検討していくものだとした。
なお、海外ではドイツやイギリスなどでインターネット配信も受信料(に相当する制度)の対象になっている。ドイツでは最初パソコンなどで視聴することに対する受信料という仕組みだったが、現在はテレビやパソコンの有無に関わらず皆が支払う負担金制度になっているという。
そのほか、受信契約の獲得に向けて、あて先の氏名や事業所名が空白のままで配達可能な「特別あて所配達郵便」や、デジタル広告といった新しい方法を活用していることも紹介。こうした活動の効果もあってか、2022年第4四半期末で計画を上回る73万件の新規契約を獲得したことも説明し、訪問営業の削減によって経費削減を図りつつ、新しい方法の活用などで受信料制度への理解促進も両立させていきたいとした。
■受信料は「特殊な負担金」
まず、日本のテレビ放送について、NHKと民放が切磋琢磨する「二元体制」により、質の高いコンテンツを制作し、放送によってあまねく全国へ届けていると説明。最高裁が「(NHKの存在意義と受信料制度の趣旨は、)国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的とし、そのために必要かつ合理的な仕組みを形作ろうとするものである」などとして放送法の受信料制度が合憲と判断したことに触れつつ、公共放送の意義を語る。
そして、NHKは放送法によって設立された法人であるであるものの、その活動が第三者、特に政府から干渉されないようにするために、“高度な自主性”を財源面から保障するのが受信料制度であると説明。受信料は、NHKが国民の知る権利に奉仕していく活動を維持運営するための「特殊な負担金」であり、「番組を視聴できる対価」とは性格が異なるとした。これは1964年に郵政省(現在の総務省)の有識者会議で出された見解に基づいたものだ。
受信契約を拒否する人のなかには受信料を視聴の対価だと捉え、番組を見ていないから契約しないと考えるケースも一定数あると認識していると説明。そうした人たちに対し、上記のような受信料の性格を丁寧に説明し理解を求めていくとした。
なお、受信料の支払いについてはNHKの受信規約に支払義務が規定されているが、この規定も放送法を受けてのもの。放送法第64条に受信契約の締結義務が定められており、その契約義務に基づいて受信規約に支払い義務を定めた二段構えの建付けになっている。
一方、例えば単身赴任で家族で別居した際には新規契約分が通常の半額になるといった割引制度や、社会福祉施設や学校、公的扶助受給者などを対象にした支払い免除制度を用意していることも紹介。割引制度では年間約656億円、免除制度では年間553億円を国民に還元している計算になるという。
■割増金制度の運用や訪問営業はどうなる?
また、不当な手段で受信料支払いを免れた人や、テレビ設置後も受信契約しないままの人などを対象にした割増金制度が今年4月から新たに開始されたが、「対象となる事由に該当する場合に一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用していく」という従来からの方針を改めて紹介。NHKの公共的価値や受信料制度の意義に共感してもらい、納得して受信契約の手続きや受信料の支払いをしてもらうという方針に変わりはないと説明した。
なお、受信契約をしない人への割増金は、契約申込み期限が「受信機の設置の翌々月の末日まで」、つまりテレビ設置後2ヶ月となっている。そのため(制度が4月スタートだったため)まだ適用者は出ていない。今後もし適用者が出た場合に公表するかどうかは都度判断していくとのことだった。
また、個人ごとのテレビ設置時期などをどうやって調査するのかなど具体的な運用については、割増金制度があることの周知が重要だという考え方を示す。巡回をやめる方針であることもあってテレビ設置の有無を調べる方法がないことから、制度の周知によって公平負担への理解を広げていくとした。しかし、割増金制度をいたずらに強調して契約を迫ることのないようにもしていくとした。
その訪問営業は外部企業への委託と、「地域スタッフ」などと呼ぶ個人への委託という2つの形態があるが、法人委託は9月に、個人委託も今年度末に終了する予定。かつて個人委託は数千人レベルで展開していたが、現在は数百人程度に減っているという。
ただし、訪問活動を一切取り止めるのではなく、新しい形を模索していく考えだとも説明。従来のように契約獲得のために全戸を巡回するのではなく、NHKの活動への理解促進を図るなどのための訪問活動を行う可能性を示した。
■“ネット受信料”の今後は?
なお、受信料徴収の対象となるのは主にテレビで、ラジオは受信料制度の対象外。ワンセグやフルセグを受信できるカーナビや携帯電話も受信契約の対象になる。
昨今、NHKプラスでのインターネット配信が始まったことを受けて、スマートフォンやPCも受信契約対象になるのではないかという、いわゆる“ネット受信料”を心配する声もある。しかし、これについては2022年6月に前会長の前田晃伸氏が「受信料制度については、我々が勝手に決められる問題ではない。現在、インターネットだけを見ている人から受信料をいただくことは考えていない」とコメントしており、また、その後11月の説明会でも「総務省のワーキンググループの議論も踏まえながら、視聴者を始めとする皆さんに納得いただけるような形を検討していきたい」としていた。
本日の説明会ではネット受信料について直接的な言及はなかったものの、国民の理解の上で受信料制度が成立していくことが大前提だと説明。総務省の有識者会議や、外部有識者を入れたNHK検討会などでの意見も踏まえながら検討していくものだとした。
なお、海外ではドイツやイギリスなどでインターネット配信も受信料(に相当する制度)の対象になっている。ドイツでは最初パソコンなどで視聴することに対する受信料という仕組みだったが、現在はテレビやパソコンの有無に関わらず皆が支払う負担金制度になっているという。
そのほか、受信契約の獲得に向けて、あて先の氏名や事業所名が空白のままで配達可能な「特別あて所配達郵便」や、デジタル広告といった新しい方法を活用していることも紹介。こうした活動の効果もあってか、2022年第4四半期末で計画を上回る73万件の新規契約を獲得したことも説明し、訪問営業の削減によって経費削減を図りつつ、新しい方法の活用などで受信料制度への理解促進も両立させていきたいとした。