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公開日 2011/10/20 09:50

Bluetoothイヤホン「PS 20 BT」や“プライマルシリーズ”「PS 320」など − PHIATON秋の注目機を一斉レビュー

CRESYNのスタイリッシュな「C515H」も登場
レビュー:鴻池賢三/高橋敦/Phile-web編集部
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注目のブランド「PHIATON」の高音質オンイヤーヘッドホン「PS 320」、マルチポイント機能に対応したBluetoothイヤホン「PS 20 BT」、そしてCRESYNブランドの「C515H」など、この秋話題のヘッドホン&イヤホンをピックアップして、音質&ハンドリングをレポートをお届けする。

携帯性と高音質を高次元で両立させたオンイヤータイプのトップモデル「PS 320」

PHIATONは、大手オーディオメーカーへのOEM(相手先ブランド生産)で長年の実績を持つクレシン社が展開するヘッドホンのブランドだ。同社は独自の音響技術に加え、数多くのメーカー製品を手がけてきた経験から、ヘッドホンに関連した多様なノウハウを持つ稀少な存在と言える。PHIATONブランドのヘッドホンは、暖かみのあるクラシカルなイメージを音作りとデザインで表現した“PS(プライマルシリーズ)”と、モダンデザインの“MS(モデルナシリーズをラインナップ)”し、ユーザーの幅広いニーズに応える。


ハイエンド“プライマルシリーズ”ならではの高品位なサウンドとデザイン


“プライマルシリーズ”のオンイヤーヘッドホン「PS 320」
PS320は、音作りとデザインの両面で暖かみを指向するプライマルシリーズにおいて、携帯性を重視した密閉型のオーバーヘッドモデルだ。筐体が小ぶりで122gと軽量な、耳の上に乗せるオンイヤータイプである事に加え、コンパクトに折り畳みも可能。付属のポーチを利用すれば、外出や旅行で鞄に忍ばせるのも楽々だ。

ポータビリティも高めたヘッドホン

ヒンジ部イヤーカップの部分が回転する


イヤーカップを折りたたんでコンパクトにできる

専用キャリングバッグが付属する

本機の特徴は、何と言っても携帯性と音質を高い次元で両立した点にある。本体が小さくなると心配になる音質や装着感だが、音質面ではPHIATON独自のコアキシャル・ダイナミック・ドライバーがユニークだ。

中低域を受け持つ直径40mmの中低域用ドライバーと、16mmの高域用ドライバーにより、低域から高域まで広レンジを獲得する事はもちろん、同軸上に配置される事で、低域から高域までスムーズな音の繋がり、安定した定位感、分離感を確保し、それが高域の透明感や低域の深みに現れる。

ヘッドバンドにも柔らかな素材を用いた

直径40mmの中低域用ドライバーと、16mmの高域用ドライバーにより、低域から高域まで広レンジな再現力を獲得した。イヤーパッドは柔軟性が高い

装着面では挟み圧、イヤーパッドの角度や柔らかさも適度で、オンイヤータイプながら、優しく包み込まれる感覚と遮音性の高さは特筆に値する。ケーブルが片出しで邪魔にならず、さらにケーブルのあるL側からR側への配線が露出していないのも、携帯用途で安心できる好機能と言える。

ケーブルは片だしタイプ

ミニタイプのプラグを採用している

デザイン面では、黒とシルバーのモノトーン調が落ち着いた雰囲気を醸し出し、本体外観のクロームメッキ部やレザー部の仕上げは良好で高級感が漂う。総じて、プライマルシリーズのコンセプト通り、クラシカルなイメージが音と外観の両面で見事に体現されている。

イヤーカップの外側はレザーとクロームメッキのコンビネーション仕上げ

ヒンジ部は長さ調整が可能


コンパクトな外観からは想像できない、スケール感やレンジ感とナチュラルさを備えたサウンド

まずは試聴の定番、Jennifer Warnesのアルバム「The Hunter」から『SOMEWHERE, SOMEBODY』を選択。この曲は、ジェニファーの柔らかな歌声が余韻を伴い、美しい響きと広がりが印象的なのだが、本機では高域が濁り無く真っ直ぐに伸びるのが心地良い。表現も繊細だが、サシスセソの発音が耳触りにならない巧みさも併せ持つ。

オンイヤーヘッドホンながらとても快適な装着感を実現している

コアキシャル・ダイナミック・ドライバーにより、高域を受け持つドライバーを独立させた効用だろう。ヴォーカルに艶が乗りつつ、疲れないナチュラルで高品位な音質だ。

高域の優秀さを確認した所で、Billy Joelの「Miami 2017」(Seen The Lights Go Out On Broadway/The Strangerライブ収録版)が聴いてみたくなった。期待通り、ピアノソロは高域に余裕があり、音色そのものの豊かさはもちろん、旋律の美しさを再確認できたのは収穫だった。ライブ特有のざわめきを含む空気感も、粒立ちを伴って緻密に再現され、空間の広さや実在感が得られるのも本機の良さと言えるだろう。

iPhoneの音楽再生も高品位に楽しめる

オンイヤータイプながら、パッドはしなやかで装着時に遮音性が感じられる程に密着感が高い。屋外でも微少な音、消えゆく微細な残響音、空気感すらも聴き取れ、安定したリスニング環境が維持できるのも魅力だ。携帯用途を重視した小型の本機にはむしろ欠かせない機能性と言っても良いだろう。総じて、外観のコンパクトさからは想像できないスケール感やレンジ感とナチュラルさを兼ね備えた正統派の良品だ。




【PS 320のスペック】●ドライバーユニット:40mm+16mmデュアルドライバー ●インピーダンス:32Ω ●感度:102dB ●再生周波数帯域:20Hz〜23,000Hz ●ケーブル長:1.3m ●最大入力:500mW ●質量(ケーブル除く):122g

◆PHIATONオフィシャルサイト 「PS 320」の製品情報
◆Phile-webニュースの「PS 320」関連ニュース

◆筆者プロフィール 鴻池賢三
THXISF認定ホームシアターデザイナー。ISF認定映像エンジニア。AV機器メーカー勤務を経て独立。現在、AV機器メーカーおよび関連サービスの企画コンサルタント業を軸に、AV専門誌、WEB、テレビ、新聞などのメディアを通じてアドバイザーして活躍中。2009年より(社)日本オーディオ協会「デジタルホームシアター普及委員会」委員/映像環境WG主査。

次ページNEXT:マルチポイント接続機能にいち早く対応したBluetoothイヤホン「PS 20 BT」

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