公開日 2012/01/13 14:47
<CES>ついに立ち上がった4Kテレビ、各社最新動向とクオリティをチェック
折原一也のCESレポート(2)
今回のCESではCrystal LEDや有機ELといった新方式のディスプレイだけでなく、4K対応の液晶テレビ/ディスプレイも大いに注目を集めていた。
■東芝、シャープはすでに発表済みの4K製品を披露
日本では昨年12月から、既に4K(4倍画素QFHD)パネルを搭載した東芝「55X3」が発売されており、量販店の店頭でも画質を見られるが、東芝は今回、海外メディアや来場者に4Kパネルを見せ、高画質に対する評価に手応えを感じているようだ。
なお、昨年IFAレポートで一度紹介したことだが、北米で展示されるモデルは日本仕様の55X3とは異なり、LEDが直下型LEDのエリア駆動からエッジライト方式のエリア駆動へと変更されている。
これは北米市場では薄型化に対する市場の要求が大きいためという。結果としてローカルディミングの精度とコントラスト性能は日本仕様より劣ることになるが、デモソースの完成度が高いこともあり、その高画質ぶりを存分に見せつけていた。
シャープは、日本でも既に発表済みのデモとして、アイキューブド研究所との共同研究による「ICC 4k」の映像を公開していた。こちらも東芝と同じく4Kに特化して作り込まれた高画質エンジンを備えており、フルHDからのアップコンバートでも非常に高画質だ。なおシャープは、4Kとは別にスーパーハイビジョンソースを用いた8K液晶ディスプレイのデモ展示も行っていた。
■サムスンとパナソニックも4Kディスプレイを公開
さて、CESで初披露となった4Kディスプレイは2種類あった。
一つは筆者自身によるブースレポートでも既に取り上げたサムスンの4Kディスプレイだ。4Kパネルであるという以上の情報はほとんどないデモ展示であったが、静止画を元としたと思われるソースによる映像は、さすがに解像感が出ており、色再現性も優秀だった。
ただし動画ソースについては、最適化した映像エンジンがないためか、甘めの表示だった。あくまで技術デモという位置づけで、また発売時期も未定とのことなので、画質エンジンも含めた作り込みはまだこれからだろう。
もう一つはパナソニックがプレスカンファレンスで発表した20V型のIPS 4K液晶パネルだ。パナソニックブース内の高画質デモコーナーの、最も奥に設置されていた。展示されていたのは20.4インチで3,840×2,160ドットの4Kパネルで、画素密度は216ppiになる。ネイティブ4Kソースによって、画面に近づいてもドットがほとんど判別できない精細さを実現していた。
なおコントラストについては、画面の物理的な小ささもありバックライトコントロールが行えないため、標準的な液晶ディスプレイ並みの、1,000対1程度のコントラスト比となっていた。
◇
ここまで4Kパネルの話をしてきたが、4kテレビに対して常に付きまとうのが、4Kネイティブソースが業務用のテストソースなどを除いて存在しないという問題だ。4Kソース問題の解決の見込みを各方面に尋ねると、少なくとも北米も含めて、放送が始まる見込みがない現時点では、各社とも具体的な解決策を見いだせていないようだ。
となると期待はパッケージメディアだが、BDAについては4Kは話題に上る程度のものであって、具体的にBDAで規格化しようという段階には進んでいない。それよりもむしろ、ハリウッドの一部は映像配信のウルトラバイオレットの方に熱心になっているという。
現行BDへの4K収録は24pであれば可能だが、映画会社によって4Kマスターを潤沢に持っているところとそうでないところの差があるし、フルHDソースからのアップスケーリングと比較して、その価値をどれだけのユーザーが認めるかという問題もある。いずれ4Kディスプレイが市場に多数出回った段階になってから、具体的な話が立ち上がるかもしれない。
Crystal LED/有機EL編、4K編と、高画質というテーマについて長々と書き連ねることになったが、CESでここまで次世代の高画質技術で盛り上がったことは、近年希に見ることだった。
3DやスマートTVといった新路線も良いが、高画質な2D映像は、やはりオーディオビジュアルの本流だ。画質が良いものを作れば世間から支持を集める状況が今後も続き、今後、実際の商品の発売が続くことを期待したい。
(折原一也)
■東芝、シャープはすでに発表済みの4K製品を披露
日本では昨年12月から、既に4K(4倍画素QFHD)パネルを搭載した東芝「55X3」が発売されており、量販店の店頭でも画質を見られるが、東芝は今回、海外メディアや来場者に4Kパネルを見せ、高画質に対する評価に手応えを感じているようだ。
なお、昨年IFAレポートで一度紹介したことだが、北米で展示されるモデルは日本仕様の55X3とは異なり、LEDが直下型LEDのエリア駆動からエッジライト方式のエリア駆動へと変更されている。
これは北米市場では薄型化に対する市場の要求が大きいためという。結果としてローカルディミングの精度とコントラスト性能は日本仕様より劣ることになるが、デモソースの完成度が高いこともあり、その高画質ぶりを存分に見せつけていた。
シャープは、日本でも既に発表済みのデモとして、アイキューブド研究所との共同研究による「ICC 4k」の映像を公開していた。こちらも東芝と同じく4Kに特化して作り込まれた高画質エンジンを備えており、フルHDからのアップコンバートでも非常に高画質だ。なおシャープは、4Kとは別にスーパーハイビジョンソースを用いた8K液晶ディスプレイのデモ展示も行っていた。
■サムスンとパナソニックも4Kディスプレイを公開
さて、CESで初披露となった4Kディスプレイは2種類あった。
一つは筆者自身によるブースレポートでも既に取り上げたサムスンの4Kディスプレイだ。4Kパネルであるという以上の情報はほとんどないデモ展示であったが、静止画を元としたと思われるソースによる映像は、さすがに解像感が出ており、色再現性も優秀だった。
ただし動画ソースについては、最適化した映像エンジンがないためか、甘めの表示だった。あくまで技術デモという位置づけで、また発売時期も未定とのことなので、画質エンジンも含めた作り込みはまだこれからだろう。
もう一つはパナソニックがプレスカンファレンスで発表した20V型のIPS 4K液晶パネルだ。パナソニックブース内の高画質デモコーナーの、最も奥に設置されていた。展示されていたのは20.4インチで3,840×2,160ドットの4Kパネルで、画素密度は216ppiになる。ネイティブ4Kソースによって、画面に近づいてもドットがほとんど判別できない精細さを実現していた。
なおコントラストについては、画面の物理的な小ささもありバックライトコントロールが行えないため、標準的な液晶ディスプレイ並みの、1,000対1程度のコントラスト比となっていた。
ここまで4Kパネルの話をしてきたが、4kテレビに対して常に付きまとうのが、4Kネイティブソースが業務用のテストソースなどを除いて存在しないという問題だ。4Kソース問題の解決の見込みを各方面に尋ねると、少なくとも北米も含めて、放送が始まる見込みがない現時点では、各社とも具体的な解決策を見いだせていないようだ。
となると期待はパッケージメディアだが、BDAについては4Kは話題に上る程度のものであって、具体的にBDAで規格化しようという段階には進んでいない。それよりもむしろ、ハリウッドの一部は映像配信のウルトラバイオレットの方に熱心になっているという。
現行BDへの4K収録は24pであれば可能だが、映画会社によって4Kマスターを潤沢に持っているところとそうでないところの差があるし、フルHDソースからのアップスケーリングと比較して、その価値をどれだけのユーザーが認めるかという問題もある。いずれ4Kディスプレイが市場に多数出回った段階になってから、具体的な話が立ち上がるかもしれない。
Crystal LED/有機EL編、4K編と、高画質というテーマについて長々と書き連ねることになったが、CESでここまで次世代の高画質技術で盛り上がったことは、近年希に見ることだった。
3DやスマートTVといった新路線も良いが、高画質な2D映像は、やはりオーディオビジュアルの本流だ。画質が良いものを作れば世間から支持を集める状況が今後も続き、今後、実際の商品の発売が続くことを期待したい。
(折原一也)