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公開日 2012/04/17 11:50

【レビュー】「価格を大きく上回るクオリティ」 − TDK Life on RecordのBA型イヤホン「TH-ECBA700」を聴く

ヘッドホン・イヤホン特集 Part3
野村ケンジ
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■実売5980円前後という価格ながらBAドライバー搭載


TDK Life on Recordブランドから発売された「TH-ECBA700」、通称「CLEF-BA」は、その名のとおり同ブランドが展開するエントリー〜ミドルクラス・イヤホン「CLEF」シリーズの一員で、BA(バランスド・アーマチュア型)ドライバーを1基搭載しているのが大きな特徴となる。

TH-ECBA700

コストパフォーマンスの良さで定評ある「CLEF」シリーズなのに、高級モデルに採用される…というか部品コストが高いため高級モデルしか採用できないはずのBAドライバーが搭載されているのは、いかなるマジックが行われたのだろうか。

5,980円前後という予想実売価格を見るかぎり、通りのよい「CLEF」ネームを強引につけてみた、ということではないらしい。少なくとも、この価格でBAドライバー搭載モデルというのは、そのスペックだけでも充分にうれしい話ではある。

しかしながら、製品の詳細を見ると、BAドライバー搭載ということだけが「CLEF-BA」のアピールポイントではないことがすぐにわかる。たとえばボディには、可動式のイヤーホルダー機構を採用。ホルダー部を耳の形に合わせ微調整することで、安定したホールド性を実現しているという。

可動式のイヤーホルダー機構を採用

イヤーピースを外したところ。ノズル部の彩色もブルーになっている

一方で、ケーブルもブレイデッド(編み)被服にすることで収納時に絡まないよう工夫したり、特殊構造のL型プラグを採用して断線を起こりにくくするなど、使い勝手の面でも細やかな配慮がなされている。またケーブルの芯線には、銅線に銀を配合した「シルバーアロイ(銀合金)コード」をチョイス。音質の向上とともに、ケーブル自身の強度も高められている。

ケーブルコードは布製の外装にドットパターンを配置

プラグはL型を採用

■価格を大きく上回る、クオリティの高いサウンド


このように、BAドライバー搭載という最大の特長に加えて、さまざまな工夫が盛り込ませている「CLEF-BA」だが、実際の使い勝手はどうだろう。それを確認するべく、実際の製品を用意した。

まず最初、装着感についてだが、これはなかなかに良好だ。シリコン製と思われる、触りのよいイヤーホルダーは、多少なり動作してくれることもあって、落ち着きがよく、変な突っ張り感がない。逆に、本当にこんな低い圧力のホールドで大丈夫なのかと、不安になってしまうほどだ。しかし、ケーブルを強めに引っ張っても耳からこぼれ落ちることはないので、結構効果的に働いてくれているようだ。違和感のなさも含めて、よくできたシステムといえる。

装着イメージ

さて、実際のサウンドはというと、さすがBAドライバーというべきか、勢いのある、キレのよいイメージが第一印象として残った。

また解像度感が高く、ニュアンス表現が丁寧なのは、BAドライバーのメリットをうまく生かしきっている証拠だろう。価格を大きく上回る、クオリティの高いサウンドであることは確かだ。

特に気に入ったのが、女性ヴォーカルの歌声だ。声にリアリティがあり、さらにいつもより1、2歩近づいて歌ってくれているかのような、距離感の近さもある。特に声を張り上げた瞬間、とても芯が強く、通りのよい声を聴かせてくれるので、歌声にかなりのめる込むことができる。これはいい。

いっぽうで低域は、「CLEF」シリーズの真骨頂というべきか、かなり小型のボディであるのにもかかわらず、盛大なボリューム感が確保されている。多少フォーカス感があいまいになるものの、チューニングが絶妙で、それが中域をスポイルすることなく、ヌケのよさを妨げていないところがいい。この充分以上の迫力であれば、騒音レベルの高い屋外であっても、存分に音楽を楽しめるはずだ。

このように、サウンドクオリティに関しては、素晴らしいコストパフォーマンスを発揮している製品であることには間違いはない。DAP等に付属している純正イヤホンからのステップアップを考えている人や、高級イヤホンが気になる人などには、太鼓判でお勧めできる1台だ。

【筆者プロフィール】
野村ケンジ Kenji Nomura
ホームシアターやヘッドホン、音楽関連、カーAVなどの記事を中心に執筆活動を展開している。100インチスクリーン+TADスピーカーで6畳間極小ホームシアターを実践。さらに現在はステレオと7.1chの同居計画が進行中。好きなクルマはアルファ・ロメオなどのイタフラ系。


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