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公開日 2013/12/24 19:26

ラックスマンの新旗艦プリ「C-900u」レビュー − 石原俊が実力をチェック

注目セパレートアンプを聴く
石原俊
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■「超弩級機のC-1000fを凌駕するといっても過言ではない」

「C-900u」(関連ニュース)はラックスマンの新しいフラグシップ・プリアンプである。位置づけ的には「C-800f」の後継機ということになるのだが、実力的には同社の創業80周年を記念して造られた超弩級機の「C-1000f」(※生産完了)を凌駕するといっても過言ではない。

C-900u


フロントパネルの「容貌」はC-800fのそれをほぼ踏襲している。電源スイッチは左端の下にあり、その右にセレクターノブが、中央やや右インジケーターをはさんでその右にはヴォリュームノブがマウントされている。

C-800f

だが、下段に見える小さな三つのノブは、C-800fにはなかったものだ。インジケーター右はバランス調整ノブであり、インジケーター左の二つはトーンコントロールノブなのである。

この種のコントロール機能は1980年代までのラックスマンのプリアンプには搭載されていたし、現在でもプリメインアンプやリバイバル的なモデルには与えられているが、1990年代からの最先端機では省略されるケースが多かった。ところが本機ではコントロール機能が復活したのである。これは開発者が本機に込めたメッセージのようなものではないだろうか……?

本機の内容をみていこう。本機はディスクリート構成の非常に本格的なプリアンプである。世の中にはパッシブアッテネーターに申し訳程度のオペアンプをぶらさげてプリアンプと称しているモデルもないわけではなく、またそういうモデルの音が全て悪いわけでもないが、とにもかくにも本機はプリアンプの王道を行く設計手法が採られている。

構成は三段。初段は上質なバッファー回路である。この部分は軽視されがちだが、ソース機器とのインピーダンスの整合性をとるという大切な役目を果たしている。この部分にこだわったあたりを筆者は高く評価したい。

次段はコントロール系を司っている。音量調整回路は「新LECUA1000」と呼ばれるもので、11dBステップ×8と1dBステップ×11の電子制御抵抗器を組み合わせることで88ステップの音量調整を可能にした。同段にはトーンコントロール&バランス調整回路と、リモコンでオン/オフするラウドネス回路が組み込まれており、これらにも細心の注意が払われていることは言うまでもない。

終段は強力だ。利得は12dBもあり、この数値は「C-800f」の9.5dBを大きく上回っている。プリアンプに利得は不要という説もあるが、出力側のラインケーブルを長く引き伸ばしても安心なことや、パワーアンプをドライブするのが楽になることから、プリアンプの利得は高い方がいい。

問題はノイズをどこまで抑制できるかである。本機の終段にはラックスマン独自のODNF回路が組み込まれている。これは信号にふくまれる歪成分のみをネガティブフィードバックさせて、ノイズを完全にキャンセルする画期的な回路であり、本機に搭載されているのは最も新しいバージョン4.0である。プリミティブな真空管アンプなどでは、NFBをかける(かけすぎる)と音がつまらなくなってしまう現象が多々あるようだが、本機がそのようなモデルと次元を異にしているのは言わずもがななことがらであろう。

本機のノブ類の感触は絶品である。入力はシングルエンド3系統、バランス3系統。後者に関しては3番ホットと2番ホットを端子ごとにプリセット可能である。

背面端子部

出力はシングルエンド2系統、バランス2系統。前者に関してはバイアンプモード(バイワイヤリング端子付きのスピーカーを2系統のパワーアンプでドライブする)があり、系統ごとに出力レベルの設定が可能である。これは異種パワーアンプを使用してバイワイヤリング/バイアンプ接続を行う際に非常に便利な機能だ。

筐体の剛性は現代ハイエンド機の水準を大きく上回っており、機械的なコンストラクションはもとより、細部にいたるまで日本的な気配りがなされている。

■「音の背景の静けさには、一聴、鳥肌が立ったほど」

筆者は最終プロトタイプを「M-900u」との組み合わせで聴いた。テストロケーションはラックスマン本社の地階試聴室で、拙宅の試聴室とは比べ物にならないほど静かな環境にあるのだが、本機の音の背景の静けさには、一聴、鳥肌が立ったほどである。

本機のリモコン

この静寂感は「C-1000f」をも凌駕するほどで、しかも音量をどこまでも上げても、さらには音量調整時にさえ静けさが保たれている。

それでいてパワーアンプへの作用はヴィヴィッドで、従来のラックスマンの単体プリアンプのような引っ込み思案的な振る舞いは全くなく、堂々と自らの音質を主張する。

ではその主張とはいかなるものなのかというと、あくまでもプレーヤー等のサウンドを尊重しますといったたぐいの名プロデューサー的なステイトメントなのである。そして、もしもプレーヤー等のサウンドに足らないところがあったなら、トーンコントロール/ラウドネス機能がサポートをする。

わが国のオーディオ史上最高峰のプリアンプの出現を喜びたい。

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