公開日 2023/12/21 06:40
ゾノトーンの新世代エントリーSPケーブル「Meister SP-1700」。特筆すべき性能と魅力を6人の審査員が語る
【特別企画】オーディオアクセサリー銘機賞2024<グランプリ>受賞
革新線材PCUHDをエントリーモデルに初起用し、入念な比較試聴で編み出された新たな配合比で製品化したゾノトーン新Meisterシリーズのスピーカーケーブル「Meister SP-1700」が、優れた性能を評価され、「オーディオアクセサリー銘機賞2024」で栄えあるグランプリを受賞した。大きく進化した期待の新世代ケーブルの魅力を、審査委員6人が語る。
「Meister SP-1700」は、「6NSP-1500Meister」の後継モデルになる新製品で、導体を4種類のハイブリッド構成としている点に変化はないが、その一部を高性能導体PCUHDに変更したのが新しい部分である。この導体は上級ミドルクラスのケーブルですでに採用され、解像度など音質的な性能の進化に大きな成果を上げてきた。
「Meister SP-1700」を試聴すると優れたレスポンスがあり、音の陰影感を高め、コントラストがはっきりしている。透明度の高さや解像力もPCUHDの特徴であり、このクラスのケーブルにグンと魅力のある性能を実現させている。
このケーブルは総合的に中音に勢いがあり、低音が不足するような心配は不要だ。マリンバやピアノ曲のインパクトが力強く立ち上がってくる。輪郭も明確に描き、ケーブルを交換すると変化は大きい。また、ケーブルを長く引き回す場合にも適している。導体サイズは1.55スケア。筆者はいま、細いケーブルの実力に注目している。
「Meister SP-1700」はベーシックな定番モデルの最新形だが、こういうところにこそ、メーカーの真価が表れると言っていい。実用的なレベルで最高純度と言える6N銅を中心に4種線材のハイブリッドとした導体構成は、コストの点だけから考えても一般的には難しい。またその配分を決定するだけでも膨大な試聴を行わなければならず、そのノウハウと方程式を確立しているゾノトーンだからこそ可能なことと言える。
音は、たいへん滑らかで伸びがいい。しなやかと言った方がいいかもしれないが、どこにも澱みや膨らみがなく、低域から高域の端まで屈託のない鳴り方を見せている。レスポンスが均一で、出方に偏りのないことが基礎になっている。
そして、それによってエネルギーを失っていないのがポイントだ。構造が理に適っていることの現れである。ピアノやオーケストラでも起伏が大きく、バロックや声楽は繊細で瑞々しい。あらゆる点でバランスの整った再現性が抜きん出ている。
「Meister SP-1700」は、1mで1,870円のハイCP平行ケーブルだ。「6NSP-1500Meister」からの進化版で、音作りの要素だったHiFCを見直し、同社高級モデルで実績あるPCUHDの新採用が特徴だ。「マイスターシリーズ」として初採用した意欲作で、線材をチェンジしただけでなく、ゾノトーン得意の黄金比で入念に新規に調整している。
「シンMeister」と名乗るだけに、音の方向もガラリと刷新。従来品は音の勢いや中低域の厚みが特徴だったが、近年のハイファイ指向に合わせて、よりシャープで広帯域化した。高級ケーブルをイメージさせる広々としたワイドレンジさや、伸びやかな表現力が持ち味。
PCUHDによってS/Nや鮮度、音楽のテンションが上がり、ベース音域にかけて締まりをみせる。ジャズはリズム隊がより活発で、躍動するベースサウンドに包まれる。ヴォーカル、クラシック系もスピーカーに無駄なくエネルギーを注入、小型スピーカーがひと回り大きく感じられる。
1,870円/mという、いま時、信じられないような価格ながら、「Meister SP-1700」の表現力には舌を巻く。レンジは華奢な見た目を裏切る広さで、特に高域方向へは自然かつ澄み切った伸びやかさが耳に快い。中域は明るく前へ出る方向で、それだけだとやや表現が浮足立ちそうなところへ、どっしりとした厚みと、そこはかとない渋みも加わるのだから、このケーブルはかなりオールラウンドに使える実力派と言って良いだろう。
あくまで推測だが、高域方向へかけての素直な伸びやかさは超高純度6N銅、中域の勢いはPCUHD、厚みと渋味は錫コートOFCといった具合に、同社が得意とするハイブリッド導体技術でそれぞれの持ち味を引き出し、それを同社のお家芸である独自の黄金比率〞で最適な配合とされているのであろう。
また、青いPVCシースの中にもう1層PEの絶縁体が配されており、それが全体の音質をピシリと締めているものと考えられる。たいへんな完成度のケーブルだ。
新たに登場した「Meister SP-1700」は、実に高いパフォーマンスを持ったエントリー価格帯ケーブルである。このクラスでありながらも、同社の特色とも言える異種導体のハイブリッド構成を採用。超高純度6NCuを中心に、この度新たに採用した高純度無酸素銅線PCUHD、錫コートOFC、そしてOFCという4種の導体を、マルチストランド・スパイラル撚りにして、1.55sqのケーブルを成形する。
加えて、取り回しの良い太さの平行ケーブルのため、セッティングも容易で実に扱いやすいことも本ケーブルの重要な特徴だ。
そのサウンドは、このクラスを超えた魅力溢れるもので、同社ならではのプレゼンス豊かな表現力が健在。歌声や各楽器の存在が明快な輪郭で立ち現れるとともに、滑らかさや温かみも内包したゾノトーンならではの描写力で、音楽に没頭させるパワーを備えている。扱いやすさも含めエントリーの決定版と言える存在だ。
「6NSP-1500Meister」と、その後継モデルとして新発売された「Meister SP-1700」とは、4種の導体のうちの1種が異なり、それ以外の3種の導体(超高純度6NCu、錫コートOFC、高純度OFC)と、絶縁体等は共通する。そしてその唯一異なる導体が、前者は「高機能純銅HiFC」であり、後者は「PCUHD」である。
HiFCは中低域がかなり膨らむ導体だった。それに比べるとPCUHDはフラットバランスなので、4種中1種だけとはいっても、単純に置き換えただけならばかなりバランスを崩したに違いない。しかしそこは「黄金比」のゾノトーンである。
新しい比率は企業秘密ゆえ具体的には明かされないが、4種中1種をまったく音調の異なる導体に換えても中低域を痩せたりはさせない。新たにPCUHDの高S/N、高い躍動感を得た上で帯域バランスも見事に整えられているのである。まさにマイスターの仕事と言うべきだろう。
(協力:前園サウンドラボ)
本記事は『オーディオアクセサリー191号』からの転載です。
上級品で採用の導体を新採用、魅力を高めて性能を進化(Text by 福田雅光)
「Meister SP-1700」は、「6NSP-1500Meister」の後継モデルになる新製品で、導体を4種類のハイブリッド構成としている点に変化はないが、その一部を高性能導体PCUHDに変更したのが新しい部分である。この導体は上級ミドルクラスのケーブルですでに採用され、解像度など音質的な性能の進化に大きな成果を上げてきた。
「Meister SP-1700」を試聴すると優れたレスポンスがあり、音の陰影感を高め、コントラストがはっきりしている。透明度の高さや解像力もPCUHDの特徴であり、このクラスのケーブルにグンと魅力のある性能を実現させている。
このケーブルは総合的に中音に勢いがあり、低音が不足するような心配は不要だ。マリンバやピアノ曲のインパクトが力強く立ち上がってくる。輪郭も明確に描き、ケーブルを交換すると変化は大きい。また、ケーブルを長く引き回す場合にも適している。導体サイズは1.55スケア。筆者はいま、細いケーブルの実力に注目している。
巧みな設計ノウハウで幅広い帯域と整ったバランスに(Text by 井上千岳)
「Meister SP-1700」はベーシックな定番モデルの最新形だが、こういうところにこそ、メーカーの真価が表れると言っていい。実用的なレベルで最高純度と言える6N銅を中心に4種線材のハイブリッドとした導体構成は、コストの点だけから考えても一般的には難しい。またその配分を決定するだけでも膨大な試聴を行わなければならず、そのノウハウと方程式を確立しているゾノトーンだからこそ可能なことと言える。
音は、たいへん滑らかで伸びがいい。しなやかと言った方がいいかもしれないが、どこにも澱みや膨らみがなく、低域から高域の端まで屈託のない鳴り方を見せている。レスポンスが均一で、出方に偏りのないことが基礎になっている。
そして、それによってエネルギーを失っていないのがポイントだ。構造が理に適っていることの現れである。ピアノやオーケストラでも起伏が大きく、バロックや声楽は繊細で瑞々しい。あらゆる点でバランスの整った再現性が抜きん出ている。
導体の見直しと再設計により、広帯域で伸びやかかつ躍動的(Text by 林 正儀)
「Meister SP-1700」は、1mで1,870円のハイCP平行ケーブルだ。「6NSP-1500Meister」からの進化版で、音作りの要素だったHiFCを見直し、同社高級モデルで実績あるPCUHDの新採用が特徴だ。「マイスターシリーズ」として初採用した意欲作で、線材をチェンジしただけでなく、ゾノトーン得意の黄金比で入念に新規に調整している。
「シンMeister」と名乗るだけに、音の方向もガラリと刷新。従来品は音の勢いや中低域の厚みが特徴だったが、近年のハイファイ指向に合わせて、よりシャープで広帯域化した。高級ケーブルをイメージさせる広々としたワイドレンジさや、伸びやかな表現力が持ち味。
PCUHDによってS/Nや鮮度、音楽のテンションが上がり、ベース音域にかけて締まりをみせる。ジャズはリズム隊がより活発で、躍動するベースサウンドに包まれる。ヴォーカル、クラシック系もスピーカーに無駄なくエネルギーを注入、小型スピーカーがひと回り大きく感じられる。
レンジが広く伸びやかな表現で、オールラウンドに使える実力派(Text by 炭山アキラ)
1,870円/mという、いま時、信じられないような価格ながら、「Meister SP-1700」の表現力には舌を巻く。レンジは華奢な見た目を裏切る広さで、特に高域方向へは自然かつ澄み切った伸びやかさが耳に快い。中域は明るく前へ出る方向で、それだけだとやや表現が浮足立ちそうなところへ、どっしりとした厚みと、そこはかとない渋みも加わるのだから、このケーブルはかなりオールラウンドに使える実力派と言って良いだろう。
あくまで推測だが、高域方向へかけての素直な伸びやかさは超高純度6N銅、中域の勢いはPCUHD、厚みと渋味は錫コートOFCといった具合に、同社が得意とするハイブリッド導体技術でそれぞれの持ち味を引き出し、それを同社のお家芸である独自の黄金比率〞で最適な配合とされているのであろう。
また、青いPVCシースの中にもう1層PEの絶縁体が配されており、それが全体の音質をピシリと締めているものと考えられる。たいへんな完成度のケーブルだ。
プレゼンス豊かな表現に加え歌声や各楽器の存在も明快(Text by 生形三郎)
新たに登場した「Meister SP-1700」は、実に高いパフォーマンスを持ったエントリー価格帯ケーブルである。このクラスでありながらも、同社の特色とも言える異種導体のハイブリッド構成を採用。超高純度6NCuを中心に、この度新たに採用した高純度無酸素銅線PCUHD、錫コートOFC、そしてOFCという4種の導体を、マルチストランド・スパイラル撚りにして、1.55sqのケーブルを成形する。
加えて、取り回しの良い太さの平行ケーブルのため、セッティングも容易で実に扱いやすいことも本ケーブルの重要な特徴だ。
そのサウンドは、このクラスを超えた魅力溢れるもので、同社ならではのプレゼンス豊かな表現力が健在。歌声や各楽器の存在が明快な輪郭で立ち現れるとともに、滑らかさや温かみも内包したゾノトーンならではの描写力で、音楽に没頭させるパワーを備えている。扱いやすさも含めエントリーの決定版と言える存在だ。
新規導体で帯域バランスを向上、S/Nや躍動感を高めた(Text by 園田洋世)
「6NSP-1500Meister」と、その後継モデルとして新発売された「Meister SP-1700」とは、4種の導体のうちの1種が異なり、それ以外の3種の導体(超高純度6NCu、錫コートOFC、高純度OFC)と、絶縁体等は共通する。そしてその唯一異なる導体が、前者は「高機能純銅HiFC」であり、後者は「PCUHD」である。
HiFCは中低域がかなり膨らむ導体だった。それに比べるとPCUHDはフラットバランスなので、4種中1種だけとはいっても、単純に置き換えただけならばかなりバランスを崩したに違いない。しかしそこは「黄金比」のゾノトーンである。
新しい比率は企業秘密ゆえ具体的には明かされないが、4種中1種をまったく音調の異なる導体に換えても中低域を痩せたりはさせない。新たにPCUHDの高S/N、高い躍動感を得た上で帯域バランスも見事に整えられているのである。まさにマイスターの仕事と言うべきだろう。
(協力:前園サウンドラボ)
本記事は『オーディオアクセサリー191号』からの転載です。