<山本敦のAV進化論 第30回>
「スマホでハイレゾ」の実力とは? ドコモの “ハイレゾ対応” スマホ一斉比較テスト
ユーザーの耳に最適化したサウンドが設定できる
サムスン「GALAXY Note Edge」
■音まわりのプロフィール
曲面有機ELによる「エッジスクリーン」を搭載したことも話題を呼んでいるGALAXYシリーズのファブレット。メインディスプレイには約5.6インチ/2560×1440ピクセルの高精細な有機ELが使われている。今期のドコモのスマートフォンで最速となるCPUは2.7GHzクアッドコア仕様と、ハイスペックに仕上がっている。内蔵メモリーはXperia Z3と同様に32GBで、最大128GBまでのmicroSDカードが使える。
ハイレゾはイヤホン端子からの96kHz/24bit出力に対応する…だけじゃない。本機ではUSBからのハイレゾ出力にGALAXYシリーズとして初めて対応した。USB経由は192kHz/24bitまで対応するが、ファイル形式はWAV/FLACだけで、DSDには非対応。この点はXperia Z3が一歩リードだ。ハイレゾ再生はプリインされている「ミュージック」アプリのほか、ドコモの「メディアプレーヤー」でも可能とリリースには書いてあるが、聴き比べてみると「メディアプレーヤー」では低域がこもり、全体の解像度が失われ、明らかに音質が劣る。「ミュージック」プレーヤーをメインで使った方が良さそうだ。
CDリッピングやMP3の圧縮音源を最大192kHz/24bitのハイレゾ相当にまで向上させるビクターエンターテインメント「K2HD」(関連ニュース)を採用した点は要注目。これはグローバル展開される本機の、日本版モデルだけが採用するプレミアム機能だ。再生画面から右上メニューの「設定」を選ぶと「K2HD」のON/OFFが選べる。有効になるのは「ミュージック」アプリでの再生時のみ。聴き比べてみると高域の雑味が取れて、ボーカルは声のエッジが柔らかくなり、自然な広がり感と余裕が生まれる。
音まわりの設定メニューではイコライザー機能の「Sound Alive」を搭載。4軸座標上から好みの音質を選択したり、真空管アンプの音をシミュレートしたモードも用意されている。
注目の「Adapt Sound」はGALAXY S IIIの頃から登場した機能で、「ユーザーの耳に合わせた音」が自動で最適化できるというもの。元々は音楽再生だけでなく、音声通話時の聴感も高めるために用意されているものだが、この効果が実にてきめんなのだ。設定画面では何パターンかのビープ音を聴き分けながら、ユーザーの耳に最適なカスタマイズ値をつくる。設定直後にON/OFFの効果を比べられるのだが、明らかに音の鮮度が変化する。最近の新しいGALAXYシリーズには基本機能として搭載されているので、お持ちの方はぜひ試してみて欲しい。
再生時のメニュー表示は前モデルの「GALAXY Note 3」から大きく進化した。再生画面にはハイレゾ音源であることを表す「UHQ」アイコン表示のほか、サンプリング周波数とビット深度を表示。再生画面の右上メニューアイコンをタップしてから「詳細」を選べば、ファイルの形式などより詳細な楽曲情報も確認ができる。左下の楽曲リストアイコンをタップすれば、聴きたい曲を素速くサーチできる。
音楽再生時にもエッジスクリーンは大活躍する。エッジスクリーンをスワイプすると表示するメニューが切り替わるのだが、音楽再生中はコントローラーと楽曲のタイトル、カバーアートが表示できる。メイン画面でほかのアプリを実行しながら、音楽再生をエッジスクリーンで操作するといった使い方が可能だ。他にも「マルチウィンドウ表示」機能を使えば、ブラウザとミュージックアプリを2画面表示して、音楽を聴きながらミュージシャンに関連する情報をWeb検索といった楽しみ方ができそうだ。スマホによるカジュアルな音楽リスニングを徹底追求した、ユーザーの痒いところに手が届く仕様が満載されている。
反面、使いにくく感じた点はmicroSDカードのスロットが背面パネルを開けた内側にあるので、本体側面に設けたXperiaやARROWSに比べてカードの交換がスムーズに行えないところ。ハイレゾの楽曲アーカイブが増えるとSDカードの交換頻度も高まるので、悩ましいところだ。
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