<山本敦のAV進化論 第30回>
「スマホでハイレゾ」の実力とは? ドコモの “ハイレゾ対応” スマホ一斉比較テスト
■音質チェック
アプリは先述の通りドコモのメディアプレーヤーを使い、ボリュームは全体の8〜9割の位置で試聴した。先に触れておくと、この端末はギャップレス再生は非対応、USB端子からのオーディオ出力もできないという結果だった。
ノラ・ジョーンズのボーカルは自然な声質と抑揚を再現。伴奏のピアノも暖かみのあるサウンドだ。TOTOのライブは中低域の量感がほどよく、軽快なリズムを再現する。音の解像感はXperia Z3に比べると少しフォーカスが曖昧で、ボーカルの滑舌もやや緩く感じられるものの、量感と力強さのあるサウンドだ。
高域は明るく華やか。ウォークマン「F880シリーズ」でロック・ポップス系のサウンドを聴いた際の印象に近かった。ドラムソロは解像感がさほど高くないので、スティックさばきのテクニックが少し曖昧になる部分もあるが、フロアタムやバスドラなど、中低域の音の粒に弾力があり、深く沈み込むので立体感は良く出てくる。
クラシックは音の粒だちは良いのだが、輪郭の再現が少し甘めに感じる。低域は適度な量感を備えつつ、クリアさも持ち合わせてバランスがよい。生音のリアリティもハイレベルだ。全体的にレンジや解像感よりも、前方向への押し出しに特徴のあるサウンドなので、これをキャラクターとして捉えるならば、十分な存在感を持っている。ロックやポップス系の音楽を楽しく聴くのに向いているスマホではないだろうか。