[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第132回】高橋敦の“オーディオ金属”大全 − 音と密接に関わる「金属」を知る
■純度と合金
さてここまで「純アルミ」「アルミ合金」といった言葉を特に説明もせずに使ってきてしまったので、次はそこを説明していこう。
●純金属/純度
まず、純金属や合金における主成分(元素)の含有率を「純度」と呼ぶ。身近なところでは、いやあまり身近ではない気もするが例えば、日本の基準だと金元素Auの含有率が99.99%以上の金を「純金」と呼んでよいことになっている。
同じように銀にしてもアルミにしても銅にしても鉄にしても、それぞれの主成分である元素がその大半を占め、他の元素は無視できる程度にしか混じっていないものを「純〜」と呼ぶ。しかしアルミ等の場合は金ほど厳格ではなく、例えばアルミは純度99.00%以上であれば「純アルミ」とされるようだ。
●合金
その「純金属」に対して「合金」とは何かというと、「純金属」が単一の金属元素で構成されているのに対して、複数の金属元素やその他の元素の組み合わせで構成されている金属が「合金」だ。
例を出すと「純アルミニウム」はもちろん、ほとんど完全に元素記号Alのアルミ元素のみで構成されている。対して「アルミニウム合金」と言えばアルミニウム元素を主成分として他の金属成分を少量混ぜたものだ。例えばアルミ合金の一種である「ジュラルミン」類はアルミを主成分に、銅、マグネシウム、亜鉛、マンガンといった他の金属を少量(合計5〜10%程度)混ぜて作られている。
で「どうして混ぜるの?」という話になるわけだが、混ぜて合金にすることで特性が変化して新たな特性を得られるから。引き続きアルミを例にすると、純アルミには軽いという大きな特長があるが、金属としてはかなり柔らかい部類なので強度が必要な部分には使いにくい。
そこでアルミ合金であるジュラルミンだが、こちらは純アルミよりもわずかに重くなったりはするが、純アルミより明確に高強度なので用途が大きく広がる。のだが、例えば種類によっては耐食性が低くなったり溶接がしにくくなったりと、トレードオフの弱点もできていたりする。なので用途に合う長所を持ちその代わりの弱点はその用途ではさほど問題にならない、そんな合金の開発が進み、そしてそれを選び出す適材適所がここでも大切なわけだ。
前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 次へ