• ブランド
    特設サイト
公開日 2015/05/16 23:03

【ヘッドホン祭】パイオニア「SE-MASTER1」開発責任者が製品に込めたこだわりを語り尽くす

試聴機には長蛇の列
編集部:小澤 麻実
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
「春のヘッドフォン祭2015」11階アネモルームのパイオニアブースには、先日発表されたばかりの超弩級ヘッドホン「SE-MASTER1」試聴機が早速登場。試聴を待つ人が長い列をつくっていた。

「SE-MASTER1」試聴機の前には長蛇の列が。


試聴はU-05と、オプションのバランス接続ケーブル「JCA-XLR30M」を使って行われた

SE-MASTER1
また13時からは、開発者責任者・瑤寺 晃氏と、AVライターの野村ケンジ氏によるトークイベントが開催された。

パイオニア 瑤寺 晃氏(左)と野村ケンジ氏

「SE-MASTER1」は開発に6年以上を費やし、英国にある世界トップクラスの録音スタジオ“AIR Studios”のサウンドエンジニアとチューニングを行ったフラグシップモデル(製品の詳細はこちら)。「パイオニアはヘッドホン開発に長い歴史があったものの、実はフラグシップモデルがなかった」ことから、開発がスタートしたという。

瑤寺氏は1987年にパイオニアに入社。スピーカー技術部にてハイエンドスピーカー“EXシリーズ”や、ウィスキーの樽材から生まれた“ピュアモルトスピーカー”などを手掛けた。SE-MASTER1の開発がスタートする際にプロジェクトチームに合流し、フラグシップたり得るサウンドを確立するための責任者として音質の追究を行ったという。

EXシリーズなどハイエンドスピーカーの開発にも携わってきた瑤寺氏

SE-MASTER1に使われたパーツ群

「SE-MASTER1」は、企画は新川崎本社チームが担当し、開発・製造は山形県天童市にある東北パイオニアが行っている。製造工程は100にのぼるというが、実はその製造はひとりの熟練した女性職人によって、全て手作業で行われているのだという。「各パーツを高精度に組み上げる必要があるため、ライン製造ではダメ。しかも日本で製造するのでなければダメだと判断しました」(瑤寺氏)。そのため製造可能台数は現状1日に5台のみとなる。全てひとりの職人の手で組み上げられ、シリアルナンバーが刻印された製品 − 野村氏も「正真正銘のハンドメイドですよね。こういうのはパイオニアだからこそできた製品だと思う」とコメントした。

ドライバーユニットの構造図


ハウジングに高剛性のアルミニウム合金を使用し、金属部品を使ってドライバーユニットをベース部に強固に固定する“フルバスケット方式”で共振を抑制

スパイクの受け部には真鍮パーツを採用


ネオジウムマグネット採用磁気回路には銅リングを配置。電流の歪みを解消することができ、広帯域化にも寄与したという

ベース、ハウジング、ハンガーの連結部にゴム部材を挟む“フローティング構造”を採用し、不要振動を低減


側圧を調整するテンションロッド(ヘッドバンドの前方の細いパーツ)を採用している

ケーブルは着脱式で、コネクターはMMCXを採用。MMCXを採用したのは「他社から様々なケーブルが出ていたので、選択肢が多いと考えたから」だという


「インピーダンス特性は45Ωとそこまで高くないので、意外なことにポタアンなんかでもちゃんと鳴る。でも、組み合わせたアンプやプレーヤーの音が全部分かっちゃうんですよね。もしかしたら手持ちシステムの総見直しが必要になっちゃうかも知れない。それがSE-MASTER1のいちばんすごいところでもあり、罪なところでもある」と、そのクオリティを賞賛する野村氏。なお、U-05との組合せ時は「ロックレンジアジャストを、プロモードで2以下にするのが良い。かなり他の環境を追い込まないといけないけど、相当良い音で楽しめる」とのこと。

瑤寺氏は「SE-MASTER1はヘッドホンで初めてAIR Studiosの認証を獲得したモデル。イギリスでのチューニングは、AIR StudiosにあるEXシリーズのスピーカーの音と聴き比べながら実施。制作者の意図をちゃんと再生できているというお墨付きをもらうことができました」とコメント。

また野村氏は「はっきり言って“遊べる”モデル。他ブランド製品とはコンセプトも音色も全然違う。日本メーカーからこういうハイエンドヘッドホンが出てきたことがとても嬉しい。ぜひ色々工夫して思い切り使い倒して欲しい」と語っていた。

パイオニアブランドのヘッドホンは、「SE-MASTER1」と「SUPERIOR CLUB SOUND」をフィーチャーしていく方針。今後は「SE-MASTER1」より手頃な価格のモデルも検討していきたいとのことだった。


そのほかパイオニアブースでは、「SUPERIOR CLUB SOUND」シリーズのヘッドホン/イヤホン群や、ポータブルヘッドホンアンプ「XPA-700」などを試聴することができる
なおこのトークイベントは、あす17日(日)11時〜12時にも開催される予定だ。あす会場に行かれる方はぜひ足を運んでみて欲しい。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
2 連載:世界のオーディオブランドを知る(3)日本発ブランドの象徴「デノン」の歴史を紐解く
3 ボーズ、ながら聴きTWS「Bose Ultra Open Earbuds」にさらに新色。計7色のカラバリを用意
4 FX-AUDIO-、ヘッドホンアンプ/プリアンプとしても使えるコンパクトDAC「DAC-T3J」。税込7480円
5 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.1】10000円未満のオススメは?
6 日本発、高コスパイヤホン新本命。final「ZE3000SV」は機能充実、そして何より音が良い!
7 BenQ、ノングレアIPSパネル搭載のプログラミング向け31.5型4Kモニター「RD320U」
8 e☆イヤホン、2025年「福耳袋」を12/20から順次販売開始。スタッフセレクト袋や100万円の「超福耳袋」も
9 装着性が向上してさらに進化! “ハイルドライバー” AMT搭載のオープン型ヘッドホン「HEDDphone TWO」を聴く
10 【インタビュー】エソテリックとティアック、進化し続ける2ブランド。世界にアピールする技術力でオーディオを推進
12/18 9:21 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX