公開日 2024/08/09 15:36
<香港ショウ>本日8/9より開幕、アジア最大規模のオーディオショウを現地よりレポート
オーディオビジュアルやヘッドホンも含む総合オーディオショウ
本日8月9日(金)より11日(日)までの3日間、香港にてアジア最大規模のオーディオショウ「香港ハイエンドオーディオショウ」が開催される。当編集部も5年ぶりに現地を訪れ、最新レポートをお届けする予定である。
前回、香港オーディオショウを取材したのは2019年。全世界的なコロナ禍の前年であると同時に、中国の政治的な干渉に対する市民デモが紛糾していた時期でもあった。香港在住者からは「危ないから来ない方が良い」と渡航を留める声がある一方で、「若い人が騒いでいるだけで、別に大したことはないよ」と冷静な声もあった。
結果的には、「オーディオショウの取材にいく」という目的においてはなにも “大したこと” はなかったわけだが(コンビニが早くに閉店してしまうなど少々の難儀はあったが)、とはいえ、その後の香港情勢も不安定な状況が続いているという報道は定期的に流れてきた。
そんなわけで、筆者としてもコロナ禍が明けてもなかなか香港への取材は前向きにはなれなかったのだが、2024年になって再び渡航を決意したのには大きく2つの理由がある。
ひとつめは、やはりアジア最大規模のショウとしての存在感。2023年の来場者数は33,000人と発表されており、ミュンヘン・ハイエンドの22,000人、アクスポナ(アメリカ・シカゴ)の10,000人よりも多い。この数字を額面通り受け取って良いのかという疑問は残るものの、かなり規模の大きいショウであることは間違いない。
ことコロナ禍前においては、「中国市場への掛け橋」という役割も大きかった。近年は上海や広州などのオーディオショウに日本メーカーが直接出展することも増えたが、それでも商習慣が異なる中国本土と直接取引するより、まずは香港で足場を固め、そこから中国市場開拓のきっかけを掴みたい、という思いもあったようだ。
近年では中国のみならず、タイやベトナムなど東南アジアのハイエンド市場の伸びも大きいと聞く。そういった新興諸国への足がかりの場としても、香港の存在感が高まっていると推測されるのだ。
もうひとつの理由は、前述のテーマとも密接に関係するが、日本のオーディオ市場そのものが大きなグローバル化の影響を受けて変容しつつある、あるいは世界の中で日本市場を改めて位置づけなおす必要があるのではないか、という問題意識である。
昨今の “日本メーカー” の製品開発の動きを見ていても、国内だけではなく北米やヨーロッパ、アジア市場からの要望を踏まえて作られているプロダクトであるな、と感じる製品が増えてきた。それは日本のものづくり、あるいは音づくりが世界においても大きく評価されているという証左でもあり、絶対的な人口を考えても日本のオーディオメーカーにさらなる発展の可能性が広がっている、ということだ。
それはステレオによる再生を志向するピュアオーディオメーカーだけではなく、アクセサリーメーカー、ポータブルオーディオメーカーも同様である。光城精工のスティック型アースは香港市場で何千本という単位で売れているというし、ブリスオーディオは今回250万円オーバーの弩級のポータブルアンプ「冨嶽」の最終バージョンを持ち込み、香港のユーザーへの試聴機会を設けている。香港、中国、アジア諸国からの要望が製品開発にも影響を与えるまでに、市場として大きく成長してきているのだ。
ちなみに便宜上「香港ハイエンドオーディオショウ」と呼んでいるが、実際はオーディオビジュアルやヘッドホン関連製品(英語圏では主にHead-Fiと呼ばれる)のブースも多く展開される、「総合オーディオショウ」である、ということも付け加えておきたい。
日本から見えるアジアのオーディオマーケットの最新情報はもちろん、アジア、あるいは世界の市場から日本はどのように見えているのか。日本メーカーが強みを活かすためにはどのような提案が必要なのか。グローバルなオーディオショウにはそれを考えるさまざまなヒントが隠れている。そんな “世界のオーディオ市場” の一端、活気を伝えることができれば幸いだ。
前回、香港オーディオショウを取材したのは2019年。全世界的なコロナ禍の前年であると同時に、中国の政治的な干渉に対する市民デモが紛糾していた時期でもあった。香港在住者からは「危ないから来ない方が良い」と渡航を留める声がある一方で、「若い人が騒いでいるだけで、別に大したことはないよ」と冷静な声もあった。
結果的には、「オーディオショウの取材にいく」という目的においてはなにも “大したこと” はなかったわけだが(コンビニが早くに閉店してしまうなど少々の難儀はあったが)、とはいえ、その後の香港情勢も不安定な状況が続いているという報道は定期的に流れてきた。
そんなわけで、筆者としてもコロナ禍が明けてもなかなか香港への取材は前向きにはなれなかったのだが、2024年になって再び渡航を決意したのには大きく2つの理由がある。
ひとつめは、やはりアジア最大規模のショウとしての存在感。2023年の来場者数は33,000人と発表されており、ミュンヘン・ハイエンドの22,000人、アクスポナ(アメリカ・シカゴ)の10,000人よりも多い。この数字を額面通り受け取って良いのかという疑問は残るものの、かなり規模の大きいショウであることは間違いない。
ことコロナ禍前においては、「中国市場への掛け橋」という役割も大きかった。近年は上海や広州などのオーディオショウに日本メーカーが直接出展することも増えたが、それでも商習慣が異なる中国本土と直接取引するより、まずは香港で足場を固め、そこから中国市場開拓のきっかけを掴みたい、という思いもあったようだ。
近年では中国のみならず、タイやベトナムなど東南アジアのハイエンド市場の伸びも大きいと聞く。そういった新興諸国への足がかりの場としても、香港の存在感が高まっていると推測されるのだ。
もうひとつの理由は、前述のテーマとも密接に関係するが、日本のオーディオ市場そのものが大きなグローバル化の影響を受けて変容しつつある、あるいは世界の中で日本市場を改めて位置づけなおす必要があるのではないか、という問題意識である。
昨今の “日本メーカー” の製品開発の動きを見ていても、国内だけではなく北米やヨーロッパ、アジア市場からの要望を踏まえて作られているプロダクトであるな、と感じる製品が増えてきた。それは日本のものづくり、あるいは音づくりが世界においても大きく評価されているという証左でもあり、絶対的な人口を考えても日本のオーディオメーカーにさらなる発展の可能性が広がっている、ということだ。
それはステレオによる再生を志向するピュアオーディオメーカーだけではなく、アクセサリーメーカー、ポータブルオーディオメーカーも同様である。光城精工のスティック型アースは香港市場で何千本という単位で売れているというし、ブリスオーディオは今回250万円オーバーの弩級のポータブルアンプ「冨嶽」の最終バージョンを持ち込み、香港のユーザーへの試聴機会を設けている。香港、中国、アジア諸国からの要望が製品開発にも影響を与えるまでに、市場として大きく成長してきているのだ。
ちなみに便宜上「香港ハイエンドオーディオショウ」と呼んでいるが、実際はオーディオビジュアルやヘッドホン関連製品(英語圏では主にHead-Fiと呼ばれる)のブースも多く展開される、「総合オーディオショウ」である、ということも付け加えておきたい。
日本から見えるアジアのオーディオマーケットの最新情報はもちろん、アジア、あるいは世界の市場から日本はどのように見えているのか。日本メーカーが強みを活かすためにはどのような提案が必要なのか。グローバルなオーディオショウにはそれを考えるさまざまなヒントが隠れている。そんな “世界のオーディオ市場” の一端、活気を伝えることができれば幸いだ。