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公開日 2013/05/14 15:36
シャープ、新社長に高橋興三氏 − 奥田氏は会長に/片山会長は退任
シャープ(株)は、社長交代の役員人事を発表。現社長の奥田隆司氏が会長へ退き、現・代表取締役副社長の高橋興三氏が新社長に就任する。片山幹雄会長は退任する。6月25日開催予定の定時株主総会及びその後の取締役会において正式決定され、同日より異動予定。
■奥田氏は取締役と執行役員を退任しての会長就任
奥田氏は取締役や執行役員を退任した上で会長に就任。また、社長交代人事のほかに組織変更と人事異動も発表された。現・専務執行役員の方志教和氏が新たに代表取締役に就き、現職と兼務するほか、代表取締役 兼 副社長執行役員 技術担当の水嶋繁光氏が新たに新規事業推進本部長も兼務する。
新社長に就任する高橋興三氏は、米州本部 本部長 兼 シャープ・エレクトロニクス・コーポレーション会長 兼 社長なども歴任。アメリカで製品・デバイス全般を担当していたことなどもあった(関連ニュース)。
組織変更では、新規事業、新規チャネルおよび新地域の2013〜2014年度の商品化を加速・推進するため、研究開発本部、生産技術開発本部、戦略商品企画センターやデザインセンター、それぞれの機能の一部を統合・再編し、「新規事業推進本部」を新設。拠点を天理に置く。
新規事業推進本部では、新規事業として健康医療、クラウドサービスやロボティクス・エンジニアリングなどの事業開発・商品開発に取り組むとともに、新規チャネルや地域にフィットした商品開発を行う。
■社長交代は「経営再建の道筋が立てられたから」
奥田氏は、今回の社長交代のタイミングについて、2012年度下期の黒字化にメドがついたこと、構造改革費用の計上についても区切りがついたこと、中期経営計画に理解を示した金融機関が追加融資を内諾して資金繰りにメドが付いたことを理由に挙げる。そして「経営再建の道筋が立てられたと考えている」とした。
その一方で、「希望退職、給与や賞与の削減など、非常に重い痛みを従業員に強いているのは事実。これを非常に重く受け止めている。今回、役員人事を大幅に見直しして、これまでのシャープと決別して立てた計画を全社一丸で完遂して、『新生シャープ』というものを一刻も早く作りたい。その区切りを付けたいと考えた」と語った。
そして新社長の高橋氏について、「技術部門を皮切りに営業や海外事業など様々な部門を経験しており、これからシャープがグローバルに戦う上で大切な素養を身に着けている。リーダーシップで必ず新生シャープを作ってくれると確信している」と紹介。
自身の社長としての一年間あまりの期間については「短い期間だったが、経営再建ということで社長としての最低限の責任は果たせたのではないか。会長となっても経験を活かしながら、例えばASEAN地域の事業拡大など、黒子となって新社長を支えていきたい」と述べた。
■再生のカギは「社員全員のチャレンジ精神」 − 社内風土の改善に取り組む
高橋氏は「4月の終わりに近い段階で突然、奥田から中期計画の達成を頼むと言われ、本当に驚いた」とコメント。急な話に驚いたが、「昨年にアメリカから戻り、シャープが置かれている厳しい状況、金融機関や取引先からの様々なサポート、そして社員の頑張りをみてきたなかで、これしかない、全力で取り組んでいこう、と考えた」と決断の背景を語る。
また、「シャープは色々な技術を持っている。世界の様々なリーディングカンパニーがシャープに期待しており、色々な話をいただいた」と、同社の技術が世界中で必要とされるものであることを紹介。あわせて「お客様の視点の考え方も元々持っている。今一度、そのふたつの原点に立ち返って、社員一同力を合わせて再生、そして成長を果たしたいし、果たさなければならないと考えている」とした。
そして再生のためには「社員全員のチャレンジ精神」がポイントだと考えているとコメント。「社員に自信を取り戻してほしい」とし、「自信を持って前に歩いていく、自分で判断して自分でチャレンジしていく、上からの指示を待たないという風土に変えていかないとダメだと思う。そこを一番に変えていきたい」と語り、社内風土の改善に取り組んでいくとした。
■質疑応答
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.奥田社長に訊きたい。中期経営計画の実行を高橋さんに任せたほうがいいと判断した理由はどこにあるのか?また、自身でやりきれなかった部分がどこにあると考えているのか。
A.社内外の公約である営業利益の黒字化のメドがついた。そして経営計画にご理解いただき追加融資があり資金繰りにメドがついた。経営再建への道筋が立てられたということだ。中期経営計画発表の日を新生シャープの初日として新たな体制で新たな方向へ歩ませたいという判断だ。
やり残したことというより、経営再建の指揮をとる最低限の責任は果たしたのではないかということで達成感がある。新執行陣にあとはお願いするという気持ちでいる。
Q.大規模な役員交代だが、なぜこの規模になったのか?金融機関など外部の圧力があったのか?
A.基本的に当社のなかで決めたこと。社内の取締役を減らすというのは迅速な意志決定を行うという狙いだ。
Q.奥田氏に訊きたい。片山氏がけじめをつけるタイミングとしては遅かったのではないか?
A.片山氏からは、会長を辞任したいという申し入れがあった。会長なりの判断があったのだろう。私は私なりの判断だが、ひとつの区切りがついたタイミングだという理解。
Q.なぜメドがついたら交代しなければならないのか?
A.自分のなかでの判断基準でそう決めたということだ。
Q.高橋氏に訊きたい。世界の企業と交渉した経験のことだが、その交渉でどういうことを感じたのか詳しくききたい。また、今後のパートナー戦略はどう考えているのか。
A.リーディングカンパニーというのはIT系だけでない。量販店などもそうだ。今回、凄くスピードを感じた。具体的な名前は明かせないが、私が訪ねるとすぐにトップが出てきて話が始まる。地ならしをしてトップにあげる、という仕事の仕方でない。決めるときはその日のうちに決めてしまう。取締役会が必要ならテレビ会議で世界中をつなぐ。シャープとしてもそういうスピード感を力一杯やってきたい。
今後のパートナー戦略については、「シャープ対その会社」という一対一の関係ではダメ。複数のファンクションを持った、新しいサプライチェーンを作っていく。そこでどういうポジションを作るか、それは強みなどをどう活かすかケースによって違ってくる。複数の企業がアライアンスを組んで、新しいサービスを作っていくという時代が始まっていると考えている。
Q.高橋氏はサムスンやクアルコムとの交渉でどんな役割を担っていたのか。
A.相手があるので言えないが、クアルコムさんの場合、私が一番始めに行ったのは昨年5月。そのときはIGZOの話ではまったくなく、チップセットの交渉にいったのが始め。私がいっただけでCEOが出てきた話をした。そこから色々な話があってMEMS IGZOのアライアンスになった。決して出資ありきの話でない。サムスンさんの場合もそう。事業の話がとっかかりだった。
Q.奥田氏に訊きたい。これまでのシャープとの決別とのことだが、決別すべきシャープとはどういうものなのか。
A.長い間に大企業病にかかっていた。チャレンジ精神が企業風土として課題になっていた。そういった風土を含め、これなでのシャープにおさらばして新生シャープを作っていきたい。
Q.高橋氏に訊きたい。片山氏の社長時代、会長時代の経営責任の総括をどう見ているか。
A.たしかに、多くの投資をしてしまった。円高などの色々な要素もあるが。当時の日本、家電業界は設備投資にものすごく執着していた。生産力を上げて勝っていこうという時代が終わりつつあったのではないか。それに我々は気付かなかった。片山氏はそこを指導していた。
ただ、経営責任をどのポイントに置くかと言うことだが、彼ひとりの判断でなく、みんながそれに賛成した。そういう時代だった。当時、シャープの人間は片山に嫌々ひっぱられていたのではない。
Q.成長ということだが感覚がずれているのではないか?今は成長より回復なのではないか。
A.私には「3日間の仕事」をしなければいけない、という信念がある。これまで、今日、明日ということだが、それを順番にやっては絶対にダメ。どんなにつらくても3日間の仕事に人材を割かなければいけない。
Q.奥田氏に訊きたい。片山会長、奥田社長の体制で意志決定が一本化されていなかったという指摘もあるが?新体制ではどのような意志決定をしていくのか。
A.報道で、不仲であるとかギャップがあると言われているがそんなことはない。ちゃんと話をして、ずっと行動してきた。どういう誤解なのか分からないがそういう報道が先行したのは残念だ。
高橋との間でのことは、私は会長になるが代表権も何もない。また、片山もフェローになる。彼はこれまでの経験を活かして後進の指導にあたる。私自身も経営にぐちゃぐちゃ言うつもりもない。もちろん経験を活かしながら、アジアの工場のたち上げなど、そういう面でサポートして黒子になってやっていきたい。何をやるにしても今後は高橋に全ての権限が集中する。これを崩さないように運営していきたい。これで必ず再建できると信じている。そして新たな産業を作っていきたい。今日を始まりとして、昔のシャープの輝きを新生シャープで取り戻したい。
■奥田氏は取締役と執行役員を退任しての会長就任
奥田氏は取締役や執行役員を退任した上で会長に就任。また、社長交代人事のほかに組織変更と人事異動も発表された。現・専務執行役員の方志教和氏が新たに代表取締役に就き、現職と兼務するほか、代表取締役 兼 副社長執行役員 技術担当の水嶋繁光氏が新たに新規事業推進本部長も兼務する。
新社長に就任する高橋興三氏は、米州本部 本部長 兼 シャープ・エレクトロニクス・コーポレーション会長 兼 社長なども歴任。アメリカで製品・デバイス全般を担当していたことなどもあった(関連ニュース)。
組織変更では、新規事業、新規チャネルおよび新地域の2013〜2014年度の商品化を加速・推進するため、研究開発本部、生産技術開発本部、戦略商品企画センターやデザインセンター、それぞれの機能の一部を統合・再編し、「新規事業推進本部」を新設。拠点を天理に置く。
新規事業推進本部では、新規事業として健康医療、クラウドサービスやロボティクス・エンジニアリングなどの事業開発・商品開発に取り組むとともに、新規チャネルや地域にフィットした商品開発を行う。
■社長交代は「経営再建の道筋が立てられたから」
奥田氏は、今回の社長交代のタイミングについて、2012年度下期の黒字化にメドがついたこと、構造改革費用の計上についても区切りがついたこと、中期経営計画に理解を示した金融機関が追加融資を内諾して資金繰りにメドが付いたことを理由に挙げる。そして「経営再建の道筋が立てられたと考えている」とした。
その一方で、「希望退職、給与や賞与の削減など、非常に重い痛みを従業員に強いているのは事実。これを非常に重く受け止めている。今回、役員人事を大幅に見直しして、これまでのシャープと決別して立てた計画を全社一丸で完遂して、『新生シャープ』というものを一刻も早く作りたい。その区切りを付けたいと考えた」と語った。
そして新社長の高橋氏について、「技術部門を皮切りに営業や海外事業など様々な部門を経験しており、これからシャープがグローバルに戦う上で大切な素養を身に着けている。リーダーシップで必ず新生シャープを作ってくれると確信している」と紹介。
自身の社長としての一年間あまりの期間については「短い期間だったが、経営再建ということで社長としての最低限の責任は果たせたのではないか。会長となっても経験を活かしながら、例えばASEAN地域の事業拡大など、黒子となって新社長を支えていきたい」と述べた。
■再生のカギは「社員全員のチャレンジ精神」 − 社内風土の改善に取り組む
高橋氏は「4月の終わりに近い段階で突然、奥田から中期計画の達成を頼むと言われ、本当に驚いた」とコメント。急な話に驚いたが、「昨年にアメリカから戻り、シャープが置かれている厳しい状況、金融機関や取引先からの様々なサポート、そして社員の頑張りをみてきたなかで、これしかない、全力で取り組んでいこう、と考えた」と決断の背景を語る。
また、「シャープは色々な技術を持っている。世界の様々なリーディングカンパニーがシャープに期待しており、色々な話をいただいた」と、同社の技術が世界中で必要とされるものであることを紹介。あわせて「お客様の視点の考え方も元々持っている。今一度、そのふたつの原点に立ち返って、社員一同力を合わせて再生、そして成長を果たしたいし、果たさなければならないと考えている」とした。
そして再生のためには「社員全員のチャレンジ精神」がポイントだと考えているとコメント。「社員に自信を取り戻してほしい」とし、「自信を持って前に歩いていく、自分で判断して自分でチャレンジしていく、上からの指示を待たないという風土に変えていかないとダメだと思う。そこを一番に変えていきたい」と語り、社内風土の改善に取り組んでいくとした。
■質疑応答
以下、質疑応答の模様をお届けする。
Q.奥田社長に訊きたい。中期経営計画の実行を高橋さんに任せたほうがいいと判断した理由はどこにあるのか?また、自身でやりきれなかった部分がどこにあると考えているのか。
A.社内外の公約である営業利益の黒字化のメドがついた。そして経営計画にご理解いただき追加融資があり資金繰りにメドがついた。経営再建への道筋が立てられたということだ。中期経営計画発表の日を新生シャープの初日として新たな体制で新たな方向へ歩ませたいという判断だ。
やり残したことというより、経営再建の指揮をとる最低限の責任は果たしたのではないかということで達成感がある。新執行陣にあとはお願いするという気持ちでいる。
Q.大規模な役員交代だが、なぜこの規模になったのか?金融機関など外部の圧力があったのか?
A.基本的に当社のなかで決めたこと。社内の取締役を減らすというのは迅速な意志決定を行うという狙いだ。
Q.奥田氏に訊きたい。片山氏がけじめをつけるタイミングとしては遅かったのではないか?
A.片山氏からは、会長を辞任したいという申し入れがあった。会長なりの判断があったのだろう。私は私なりの判断だが、ひとつの区切りがついたタイミングだという理解。
Q.なぜメドがついたら交代しなければならないのか?
A.自分のなかでの判断基準でそう決めたということだ。
Q.高橋氏に訊きたい。世界の企業と交渉した経験のことだが、その交渉でどういうことを感じたのか詳しくききたい。また、今後のパートナー戦略はどう考えているのか。
A.リーディングカンパニーというのはIT系だけでない。量販店などもそうだ。今回、凄くスピードを感じた。具体的な名前は明かせないが、私が訪ねるとすぐにトップが出てきて話が始まる。地ならしをしてトップにあげる、という仕事の仕方でない。決めるときはその日のうちに決めてしまう。取締役会が必要ならテレビ会議で世界中をつなぐ。シャープとしてもそういうスピード感を力一杯やってきたい。
今後のパートナー戦略については、「シャープ対その会社」という一対一の関係ではダメ。複数のファンクションを持った、新しいサプライチェーンを作っていく。そこでどういうポジションを作るか、それは強みなどをどう活かすかケースによって違ってくる。複数の企業がアライアンスを組んで、新しいサービスを作っていくという時代が始まっていると考えている。
Q.高橋氏はサムスンやクアルコムとの交渉でどんな役割を担っていたのか。
A.相手があるので言えないが、クアルコムさんの場合、私が一番始めに行ったのは昨年5月。そのときはIGZOの話ではまったくなく、チップセットの交渉にいったのが始め。私がいっただけでCEOが出てきた話をした。そこから色々な話があってMEMS IGZOのアライアンスになった。決して出資ありきの話でない。サムスンさんの場合もそう。事業の話がとっかかりだった。
Q.奥田氏に訊きたい。これまでのシャープとの決別とのことだが、決別すべきシャープとはどういうものなのか。
A.長い間に大企業病にかかっていた。チャレンジ精神が企業風土として課題になっていた。そういった風土を含め、これなでのシャープにおさらばして新生シャープを作っていきたい。
Q.高橋氏に訊きたい。片山氏の社長時代、会長時代の経営責任の総括をどう見ているか。
A.たしかに、多くの投資をしてしまった。円高などの色々な要素もあるが。当時の日本、家電業界は設備投資にものすごく執着していた。生産力を上げて勝っていこうという時代が終わりつつあったのではないか。それに我々は気付かなかった。片山氏はそこを指導していた。
ただ、経営責任をどのポイントに置くかと言うことだが、彼ひとりの判断でなく、みんながそれに賛成した。そういう時代だった。当時、シャープの人間は片山に嫌々ひっぱられていたのではない。
Q.成長ということだが感覚がずれているのではないか?今は成長より回復なのではないか。
A.私には「3日間の仕事」をしなければいけない、という信念がある。これまで、今日、明日ということだが、それを順番にやっては絶対にダメ。どんなにつらくても3日間の仕事に人材を割かなければいけない。
Q.奥田氏に訊きたい。片山会長、奥田社長の体制で意志決定が一本化されていなかったという指摘もあるが?新体制ではどのような意志決定をしていくのか。
A.報道で、不仲であるとかギャップがあると言われているがそんなことはない。ちゃんと話をして、ずっと行動してきた。どういう誤解なのか分からないがそういう報道が先行したのは残念だ。
高橋との間でのことは、私は会長になるが代表権も何もない。また、片山もフェローになる。彼はこれまでの経験を活かして後進の指導にあたる。私自身も経営にぐちゃぐちゃ言うつもりもない。もちろん経験を活かしながら、アジアの工場のたち上げなど、そういう面でサポートして黒子になってやっていきたい。何をやるにしても今後は高橋に全ての権限が集中する。これを崩さないように運営していきたい。これで必ず再建できると信じている。そして新たな産業を作っていきたい。今日を始まりとして、昔のシャープの輝きを新生シャープで取り戻したい。