公開日 2017/12/08 11:30
PS Audioの新時代を切り拓く、DAC/プリ「Gain Cell DAC」とパワーアンプ「S300」をレビュー
DAC/プリとパワーアンプ
■“オーディオの未来”を提示するStellarシリーズ
今年5月に開催されたOTOTEN 2017に合わせて来日したPS AudioのCEO、ポール・マクゴヴァン氏は、目を輝かしながら私にStellarシリーズのコンポーネントを紹介してくれた。Nuwaveシリーズの後継に位置付けられるという「Gain Cell DAC」とクラスDパワーアンプ「S300」「M700」を示して、「スタイリッシュだろう?」と言った。確かに、仕上がりの良いアルミボードを巧みに重ね合わせたスレンダーなデザインは印象的で、音を聴く前から強く興味を惹かれた。
興味を抱いた理由はデザインだけではない。PS Audioはここ数年でラインナップの刷新を加速してきたが、その内容はこの最新モデルへ期待を抱かずにはいられないものだった。
フォノアンプの開発から出発したPS Audioは、アンプメーカーとして地位を確立。90年代後半にはいち早く取り組んだクリーン電源は、オーディオにおける電源の重要性を改めてハイエンドオーディオファンに知らしめた。
そして、ハイレゾ再生にも独自のアプローチで早くから取り組んできた同社は、その取り組みを一層強化。今年2月に登場したフラグシップとなるプレーヤー「Direct Stream Memory Player(DMP)」(関連ニュース)では、ディスク再生とハイレゾ再生を高次元で融合させた。先行して登場していたフラグシップDAC「Direct Stream DAC(DSDAC)」はDSDに重点を置き、全ての入力信号をFPG内でDSDへアップコンバートしてD/A変換を行なう。
一方でアンプにも引き続き注力し、真空管と半導体をハイブリッドしたフラグシップモデルBHKシリーズを展開している。
こうした広範にわたって先進的なPS Audioの直近の取り組みを経て、手頃な価格帯で登場するという「Gain Cell DAC」と「S300/M700」がどのような製品になるのか、期待せずにはいられなかった。
■増幅ゲイン変更によるボリューム調整を実現した「Gain Cell DAC」
「Gain Cell DAC」は、“DAC”という名称が与えられているが、プリアンプとしての機能も備えている。入力はXLR/RCAのアナログに加えて、USBを含むデジタル入力を搭載する。特にアナログ入力はXLRバランスを1系統、RCAアンバランスを3系統備える。ヘッドホンアンプも内蔵している。
この多数のアナログ入力を考えると、Gain Cell DACは、DACというよりはアナログ・プリアンプとしてのイメージが強いように感じた。今発売されているDAC/プリアンプで、アナログ入力をこれほど多く備えている製品は多くない。愛用のCDプレーヤーやレコード再生用のフォノイコライザーも接続して、プリアンプとして使って欲しいという同社の意図が見えてくる。
筐体のトップカバーを開けて、その意図をよりはっきりと確信した。内部には、アナログ伝送の音質を極めようと開発された、「Gain Cell」と呼ばれるラインアンプ・モジュールが搭載されていた。
ブルーのカバーで覆われたこのGain Cellは、ディスクリート構成のラインアンプ・モジュールで、左右のチャンネルに1基ずつ使用されている。その一方で、本機はプリアンプにも関わらずアナログボリュームも電子ボリュームも搭載していない。どういうことかというと、このGain Cellモジュールにおいて増幅ゲインを変えることで、音量調整を行う仕組みを取っているのだ。
この手法が理想的かつ画期的な点は、ボリューム可変による音質劣化、音質変化が避けられ、さらには高S/Nで低インピーダンスの出力が確保できることだ。アナログ入力された信号は、Gain Cellモジュールで増幅され、最短距離でアナログ出力されることになる。
今年5月に開催されたOTOTEN 2017に合わせて来日したPS AudioのCEO、ポール・マクゴヴァン氏は、目を輝かしながら私にStellarシリーズのコンポーネントを紹介してくれた。Nuwaveシリーズの後継に位置付けられるという「Gain Cell DAC」とクラスDパワーアンプ「S300」「M700」を示して、「スタイリッシュだろう?」と言った。確かに、仕上がりの良いアルミボードを巧みに重ね合わせたスレンダーなデザインは印象的で、音を聴く前から強く興味を惹かれた。
興味を抱いた理由はデザインだけではない。PS Audioはここ数年でラインナップの刷新を加速してきたが、その内容はこの最新モデルへ期待を抱かずにはいられないものだった。
フォノアンプの開発から出発したPS Audioは、アンプメーカーとして地位を確立。90年代後半にはいち早く取り組んだクリーン電源は、オーディオにおける電源の重要性を改めてハイエンドオーディオファンに知らしめた。
そして、ハイレゾ再生にも独自のアプローチで早くから取り組んできた同社は、その取り組みを一層強化。今年2月に登場したフラグシップとなるプレーヤー「Direct Stream Memory Player(DMP)」(関連ニュース)では、ディスク再生とハイレゾ再生を高次元で融合させた。先行して登場していたフラグシップDAC「Direct Stream DAC(DSDAC)」はDSDに重点を置き、全ての入力信号をFPG内でDSDへアップコンバートしてD/A変換を行なう。
一方でアンプにも引き続き注力し、真空管と半導体をハイブリッドしたフラグシップモデルBHKシリーズを展開している。
こうした広範にわたって先進的なPS Audioの直近の取り組みを経て、手頃な価格帯で登場するという「Gain Cell DAC」と「S300/M700」がどのような製品になるのか、期待せずにはいられなかった。
■増幅ゲイン変更によるボリューム調整を実現した「Gain Cell DAC」
「Gain Cell DAC」は、“DAC”という名称が与えられているが、プリアンプとしての機能も備えている。入力はXLR/RCAのアナログに加えて、USBを含むデジタル入力を搭載する。特にアナログ入力はXLRバランスを1系統、RCAアンバランスを3系統備える。ヘッドホンアンプも内蔵している。
この多数のアナログ入力を考えると、Gain Cell DACは、DACというよりはアナログ・プリアンプとしてのイメージが強いように感じた。今発売されているDAC/プリアンプで、アナログ入力をこれほど多く備えている製品は多くない。愛用のCDプレーヤーやレコード再生用のフォノイコライザーも接続して、プリアンプとして使って欲しいという同社の意図が見えてくる。
筐体のトップカバーを開けて、その意図をよりはっきりと確信した。内部には、アナログ伝送の音質を極めようと開発された、「Gain Cell」と呼ばれるラインアンプ・モジュールが搭載されていた。
ブルーのカバーで覆われたこのGain Cellは、ディスクリート構成のラインアンプ・モジュールで、左右のチャンネルに1基ずつ使用されている。その一方で、本機はプリアンプにも関わらずアナログボリュームも電子ボリュームも搭載していない。どういうことかというと、このGain Cellモジュールにおいて増幅ゲインを変えることで、音量調整を行う仕組みを取っているのだ。
この手法が理想的かつ画期的な点は、ボリューム可変による音質劣化、音質変化が避けられ、さらには高S/Nで低インピーダンスの出力が確保できることだ。アナログ入力された信号は、Gain Cellモジュールで増幅され、最短距離でアナログ出力されることになる。